【自己破産⑮】代表的な債権調査項目を教えてほしい

債権の調査を行うにあたり、代表的な債権調査項目を教えて下さい。

破産手続開始の申立ては、一般的に、資金繰り表に基づき、資金繰りが破綻する直前の時期、例えば、支払手形の資金を確保できない場合における決済日の直前に行われることが多いです。
これは、事業者が支払手形の不渡りを出した場合、その他資金繰りの破綻が債権者に知れると、債務者の信用状態に鑑み、直ちに銀行等の金融機関による預金口座の閉鎖や取立て騒ぎ等の事態が生ずるおそれがあることが理由です。
不渡り期日が迫っている場合等、資金繰りが破綻に瀕している場合には、破綻の期日に即して直ちに各債権者に受任通知を発送することができるよう、債権者に関する聴取を優先的に行います。
代表的な債権調査項目及び具体的な対応策として、以下のものがあげられます。
1 労働債権(優先的破産債権)が存在する
労働債権は労働者の生活に直結し、破産手続上も優先して取り扱われるものであるから、事業所閉鎖と同時に全ての労働者を解雇し、破産申立て前に労働債権を精算しておくことが望ましい。
2 租税債権(優先的破産債権)が存在する
原則として、破産手続内において対応する。
3 債務者が保証している
保証額を確認し、債権者一覧に記載する。
4 抵当権等、破産手続上別除権として扱われるものが存在する
担保権付物件がいわゆるオーバーローン状態にあるかどうかを速やかにチェックする。
5 預かり品等、取戻権の対象となるものが存在する
第三者の所有物件であるから、破産財団に混入しないよう、注意して管理し、申立代理人において権利関係を速やかに調査の上、債務者が担保権を保有しているものを除き、破産申立前に権利者に返還しておくことが望ましい。
6 買掛債務が存在する
反対債権があるかどうかを確認し、債権者に相殺権行使の有無を確認する。
7 リース契約が存在する
原則として担保権が付着していることが多いため、権利関係を調査の上、解約し返還手続をとる。
8 賃貸借契約が存在する
動産賃貸借契約は原則としてリース契約と同様の取扱いとなる。不動産については、住居の場合、賃料が高額で生計を圧迫する場合には解約すべきであるが、破産手続開始決定後転居となる場合には裁判所の転居許可が必要になり、また敷金等契約の解除に伴って返還される金員は破産財団を構成するので注意を要する。
9 電話加入契約が存在する
連絡の必要があるため電話回線は可能であれば1回線残しておいてもよい。個人事業者の場合、必要のない回線は全て使用料が生じないよう休止手続をとり、破産管財人の換価に備える。
10 水道契約が存在する
居住する期間の水道代は支払う必要がある。事業所の場合には特に必要がなければ解約手続をとる。
11 電気供給契約が存在する
居住する期間の電気代は支払う必要がある。事業所の場合には、事業所を閉鎖すれば原則として電気の供給は不要となるため、特に必要がある場合を除き、事業所閉鎖に合わせて直ちに解約手続をとる。