【成年後見⑰】任意後見の使い方を教えてほしい

任意後見制度の利用形態について教えて下さい。

まず、任意後見に関する簡単なご説明については【成年後見②】をご参照ください。
ここでは、もう少し詳しい内容についてご説明いたします。
任意後見契約の効力は、契約締結の時から生ずるのではなく、本人の判断能力が不十分となり家庭裁判所が任意後見監督人を選任したときから生じます
任意後見制度の大きな利点は、希望する任意後見人を、自ら事前の契約によって決めることができる点にあります。
つまり、しっかりとした判断能力があるうちに将来の備えができる点が特長です。
任意後見契約には、以下の3つの形式があります。
① 今のところ何の後見的支援も必要としない場合、将来に備えて契約のみを締結しておく場合(「将来型」)。
② まだ契約を結ぶ能力はあるが、体調によって判断能力に支障がでることも考えられる場合には、直ちに任意後見監督人選任申立てを家庭裁判所にすることによって速やかに任意後見人としての支援を開始する契約をする場合(「即効型」)。
③ 契約と同時に財産管理などを委任する契約を同時に作成し、直ちに支援を依頼する場合(「移行型」)。
なお、「移行型」は、通常の任意代理の委任契約と任意後見契約を同時に締結し、本人の判断能力低下前の事務は「任意代理の委任契約」により処理し、判断能力低下後の事務は「任意後見契約」による任意後見人として行うことになります。
また、知的障害者等の「親なき後」(親の老後や死後)の保護のために任意後見契約を活用する方法も考えられます。
すなわち、子(知的障害者等)本人に判断能力がある限り、自ら煮に後見契約を締結することができ、親の老後・死後に任意後見受任者が任意後見監督人の選任を申し立てることにより、任意後見人による保護が開始されます。
本人が未成年の場合も、親権者の同意を得て自ら任意後見契約を締結することができます。
また、子本人に判断能力がない場合でも、子本人が未成年の間に、親が親権に基づいて、子に代わって任意後見契約を締結することも可能です。