【民事再生①】民事再生手続を利用する上での注意点は?

民事再生手続を利用するか否かを判断する際、どのような点に注意をすればいいですか。

1 まず、民事再生とは、経済的窮境にある法人が、裁判所の関与のもとで、会社の経営陣が原則として引き続き経営を継続しながら(いわゆるDIP型、民再38条1項)、自主的に再生計画案を立案し、債権者の多数決による承認を得て法人の再建を図る手続です。
2 民事再生手続を利用するか否かは、真に事業を再建できる事業計画を立てられるか否かが大きなポイントとなります。
その判断における基本的な視点は、当該会社について、その属する業界全体の経営環境を前提として、当面の運転資金に関して資金繰りの目処がつくかどうか、また、事業継続によって、既発生の債権を再生計画に基づき弁済しつつ、事業を継続するに足りる収益を得る見込みがあるかどうかです。
3 民事再生手続においては、再生計画に基づく弁済率が、再生債務者が破産したと仮定したときに再生債務者が得るであろう清算配当率を上回ることが必要となります(清算価値保障原則、民再174条2項4号)。
また、民事再生の場合、再生計画案を可決するためには、「債権者集会に出席した又は書面等投票をした議決権者の頭数の過半数の同意」(頭数要件)及び「債権者集会に出席していない又は書面等投票をしていない議決権者を含めた議決権の総額の2分の1以上の議決権を有する者の同意」(議決権数要件)が必要です(民再172条の3第1項)。
したがって、再生計画案の可決における債権者の意向は非常に重要です。