お知らせ【フランチャイズ契約⑨】立地や出店に関する個別情報提供義務

フランチャイザーの立地や出店に関する個別情報提供義務について教えて下さい。

1.立地や出店に関する個別具体的な事項についてフランチャイザーが負う情報提供義務は、原則として、消極的情報提供義務にとどまります。

 消極的情報提供義務とは、フランチャイザーが加盟希望者に情報を提供する場合には、その情報は客観的かつ合理的根拠に基づくことが必要であり、加盟希望者の判断を誤らせるものであってはならないという意味です。

2.もっとも、当該情報の重要性や具体性、提供の容易性、フランチャイザーと加盟希望者の知識および経験の格差、当事者の交渉経緯等に照らして積極的情報提供義務を負う場合もあります
 
 たとえば、フランチャイザーが加盟希望者との間で、立地診断や売上予測を提示する旨の合意をしていたならば、フランチャイザーは信義則ないし当該合意を根拠に加盟希望者に対して個別的な売上予測や収益予測を積極的に提供する義務を負うと考えられます。

3.また、売上予測に重大な影響を与えるリスク情報については、そのことを知れば加盟希望者が加盟を断念する可能性がある以上、フランチャイザーは加盟希望者に対して積極的に情報を提供する義務を負うものと考えられます。

 過去の裁判例においても、加盟店開発担当者のマイナス評価を立地評価書に記載しなかった場合(福岡高裁平成18年1月31日判決)や、フランチャイザー社内で算出した売上予測値を開示せずに、それより高い数値の同一県下の平均売上高だけを提示した場合(名古屋地裁平成13年5月18日判決)に、フランチャイザーの債務不履行を認めたものがあります。

4.このほか、たとえば、近隣店舗が売上不振に陥っていたにもかかわらず、その情報を開示しなかった場合(千葉地裁平成13年7月5日判決)や、リロケイト物件を勧誘するに際して旧店舗の売上実績等の情報を十分伝えなかった場合(仙台地裁平成21年11月26日判決)に、フランチャイザーの債務不履行を認めたものがあります。