お知らせ【フランチャイズ契約⑬】契約締結後の情報提供義務

フランチャイズ契約締結後におけるフランチャイザーの情報提供義務について教えて下さい。

1.フランチャイザーは、フランチャイジーに対して、フランチャイズ契約締結前だけでなく、契約締結後においても、契約に付随する義務として、フランチャイザーの情報提供義務を負います
  
 したがって、フランチャイズ契約締結前の研修さえ実施すれば、あとは全てフランチャイザーにお任せ、というわけにはいかないのです。

2.過去の裁判例を見ても、「フランチャイザーは、フランチャイズ契約を締結した後においても、フランチャイジーの店舗の立地条件、営業状況等に応じて効率的な投下資本がなされるように、客観的かつ正確な情報を提供し、指導する義務を信義則上負っているというべきである」(千葉地裁平成6年12月12日判決)とするものや「フランチャイザーはフランチャイジーに対して商品に関して正確な情報を提供するべきであると解される」(千葉地裁平成13年7月5日判決)とするものがあります。

3.実際には、フランチャイザーの経営指導の内容には、店舗経営上の有益情報の提供が含まれることから、契約締結後の情報提供義務は、多くの場合、フランチャイザーの経営指導義務の問題に集約されます。

4.近年、コンビニエンス・ストアのフランチャイザーがフランチャイジーに代わって支払った商品仕入代金の支払状況についてフランチャイジーに対して報告する義務を負うかが問題となりました。

 最高裁は、フランチャイザーに対する商品仕入代金決済事務の委託は民法の準委任の性質を有するものととらえ、仕入代金の支払状況についてのフランチャイザーの報告義務を認めました(最高裁平成20年7月4日判決)。

 つまり、この最高裁判決によれば、フランチャイザーは、フランチャイジーに無断で仕入価格を水増しすることはできないことになります。

 あくまでフランチャイザーの獲得すべき利益は、基本的には毎月のロイヤルティということになります。