管理監督者33(フォロインプレンディ事件)

おはようございます。

さて、今日は、直営飲食店元店長または店長代理による未払賃金請求と管理監督者性に関する裁判例を見てみましょう。

フォロインプレンディ事件(東京地裁平成25年1月11日・労判1074号83頁)

【事案の概要】

Y社は、飲食店の経営等を目的とする会社である。

Xは、Y社との間で、労働契約を締結し、Y社の直営飲食店で勤務した。

Xは、Y社に対し、未払割増賃金を請求した。

Y社は、Xが店長または店長代理を務めていた期間、管理監督者に該当していたと主張し争った。

【裁判所の判断】

Xは、管理監督者ではない。
→Y社に対し、335万余円の割増賃金及び同額の付加金の支払いを命じた。

【判例のポイント】

1 労働基準法41条2号の趣旨は、いわゆる管理監督者については、職務及び責任の重要性並びに勤務実態に照らし、法定労働時間の枠を超えて勤務する必要があるため、法定労働時間等の規制に服させるのが適切でなく、また職務の内容及び権限並びに勤務実態に照らし、労働時間を自由に定めることができ、賃金等の待遇に照らし、労働時間等に関する規定の適用を除外されても、労働基準法1条の基本理念及び同法37条1項の趣旨に反しないと解されるため、労働時間、休憩及び休日に関する規定の適用を排除するところにあると解するのが相当である

2 Xは、平成21年1月末ころから同年8月5日までは「隠れやA店」の店長として、同年11月から平成22年4月までの間は「隠れやB店」の店長代理として、それぞれ稼働しており、アルバイト従業員の採用やその従業員らの労働時間の決定について一定の権限を有していたというのであるが、店長又は店長代理の地位は、XがY社に在籍していた当時における直営の6店舗、フランチャイズ加盟店舗を含めれば50を超える店舗のうち1つの長であって、2か月に1回の頻度で行われる店長会議及び主として毎年度末に開催される経営者会議への参加が義務付けられていたというものの、各店長又は店長代理はその1人として参加するにすぎなかったというのである。また、店長又は店長代理固有の業務は、営業日報・営業月報の作成、毎月のシフトの作成と各従業員の実労働時間の報告、年度ごとの事業計画書の作成、年度末に開催される経営者会議への参加等であり、それ以外は、店舗の営業時間のほとんどにおいて、配下のアルバイト従業員と同様の業務に従事するのが通常の形態であり、平成21年1月末ころ以降のXの基本給は22万円であるほか、役職手当等の権限ないし役職に対応する手当が支給されていたこともなかったというのである。
これらの事情に加え、「隠れやA店」の閉店の際に、Xの意見を聴取した形跡が窺われないこと等を総合すると、Y社が経営する飲食店の店長又は店長代理は、配下のアルバイト従業員等の採用や労働時間の決定等を行っていたものの、Y社そのものの重要決定事項への発言力や影響力があったとまではいえないし、労働時間についても自由に決定することができる状況にあったとは認め難い。また、賃金等の待遇に関しても、労働時間等に関する規定の適用を除外されても、労働基準法1条の基本理念及び同法37条1項の趣旨に反しないということができるものであったとまでは認められない。

久しぶりの管理監督者性に関する裁判例です。 絶滅危惧種です。

上記判例のポイント1は参考になります。

付加金も満額認められていますので、すごい金額になっていますね。

判決までいかずに和解で終わることはできなかったのでしょうか・・・。

管理監督者性に関する対応については、会社に対するインパクトが大きいため、必ず顧問弁護士に相談しながら進めることをおすすめいたします。