労働災害66(O社事件)

おはようございます。

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←先日、顧問契約を結ばせていただいている福井県の社労士の先生にお会いしてきました。

写真は、先生にご馳走になった越前がにです。

このほか、カニのお刺身、焼きがに、せいこがに、かに雑炊などなどをいただきました。

めちゃくちゃおいしかったです!!

先生、今度は、静岡で倍返しですよ! 是非、静岡にお越し下さいませ。

今日は、午前中は、債権回収の裁判が1件、新規相談が2件入っています。

午後は、新規相談が1件、裁判の打合せが2件、刑事事件(否認事件)の証人尋問が入っています。

今日も一日がんばります!!

さて、今日は、キッチンフロアチームリーダーの突然死と業務起因性に関する裁判例を見てみましょう。

O社事件(神戸地裁平成25年3月13日・労判1076号72頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に勤務していたXがY社における過重な労働によって心臓性突然死したのは、Y社の安全配慮義務違反によるものであると主張して、Y社に対して、債務不履行又は不法行為に基づき損害賠償請求をした事案である。

【裁判所の判断】

Y社に対し、合計約1億円の支払いを命じた。

【判例のポイント】

1 Xにおいて、発症前2か月間にわたって80時間を超える時間外労働がなされており、当時の業務状況等も考慮すると身体的、精神的に負担のかかる過重な労働であったといえ、それによってXに対して過重とそれに伴う睡眠不足により、疲労を蓄積した状態に陥って心身の不調を来した末、心臓性突然死により死亡したものといえ、Xの業務と死亡との間に相当因果関係が認められる。

2 使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負うと解するのが相当であり、使用者に代わって労働者に対し業務上の指揮監督を行う権限を有する者は、使用者の上記注意義務の内容に従って、その権限を行使すべきである。そして、使用者ないし上記権限者がこの義務に反した場合は、使用者の債務不履行を構成するとともに不法行為を構成する。
また、使用者が認識すべき予見義務の内容は、生命、健康という被害法益の重大性に鑑み、安全性に疑念を抱かせる程度の抽象的な危惧であれば足り、必ずしも生命、健康に対する障害の性質、程度や発症頻度まで具体的に認識する必要はない

3 これを本件についてみると、以上の認定事実によれば、A店において、退勤打刻後残業が恒常的に行われていたことは、平成15年12月のQ事件によって明らかになり、退勤打刻後残業等により申告されていた労働時間を大幅に超えて残業していることをY社の労働時間を管理する者が認識し得たものといえるにもかかわらず、Y社は賃金不払い残業の原因について解明して、過重になっていた業務を軽減して適正化するなどの対策を執ることなく、単に退勤打刻後残業等の賃金不払い残業の規制を強化しただけであったから、Y社は、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務に反していたものといえる。したがって、Y社には上記義務違反による不法行為責任があるものと認められる。

残業時間が長い場合、使用者が具体的に労働者の健康状態を認識していないとしても、安全配慮義務違反に問われてしまいます。

労働時間の管理は、使用者の義務であることを再認識する必要がありますね。