不当労働行為78(ミカド観光センター事件)

おはようございます。

さて、今日は、ストを主導した組合役員らを懲戒解雇したこと等と不当労働行為に関する命令を見てみましょう。

ミカド観光センター事件(長崎県労委平成25年8月5日・労判1077号92頁)

【事案の概要】

X組合は、平成23年11月、ストライキを実施し、その後、ストライキを解除した。

Y社は、前日までストライキに参加していた組合員10名に対し、自宅待機を命じた。

Y社は、上記10名のうち、X2およびX3を懲戒解雇した。また、X5からX10に対し、ミカド市場等への配置転換を、X4に対してさらに1か月の自宅待機を命じた。その後、Y社はX4を懲戒解雇した。

これらのY社の行為および組合が求めた当該行為に関する団体交渉に対するY社の対応が、労組法7条1号から3号に該当する不当労働行為であるとしてX組合が救済を申し立てた。

【労働委員会の判断】

懲戒解雇、配置転換、自宅待機命令は、いずれも不当労働行為に該当する

【命令のポイント】

1 本件自宅待機命令は、本件ストライキに最後まで参加した10名に対して行われたものであるが、本件ストライキが正当な組合活動と認められることは前述のとおりである。また、上記のとおり、本件自宅待機命令に合理的な理由が認められない一方で、Y社はX組合を嫌悪していたことが認められるのであるから、本件ストライキを違法と決め付けたY社が、組合嫌悪意思をもって本件自宅待機命令を行ったと認めるのが相当である

2 本件懲戒解雇についても合理的な理由が認められない一方で、Y社がX組合を嫌悪していたことが認められるのであるから、本件ストライキを違法と決め付けたY社が、組合嫌悪意思をもって本件懲戒解雇を行ったと認めるのが相当である。そして、X組合の要職にあった3名を懲戒解雇することにより会社内における組合活動を困難にさせ、組合のさらなる弱体化を図ったものと認めることができる。X組合組合員の減少が著しいことは前述のとおりである

3 本件配置転換は、本件自宅待機命令に引き続いて行われたものである。本件ストライキが正当な組合活動と認められること、本件自宅待機命令が不当労働行為に該当することは前述のとおりであり、また、上記のとおり、本件は移転命令について合理的な理由が認められない一方で、Y社がX組合を嫌悪していたことが認められるのであるから、本件ストライキを違法と決め付けたY社が、組合嫌悪意思をもって本件ストライキがなかったならば行うことのなかった配転をあえて行ったと認めるのが相当である

あまりコメントすることがないほど明白な不当労働行為ですね。

顧問弁護士や顧問社労士がいないのでしょうか。

「あのー、社長、100%不当労働行為ですよ・・・」とか言ってあげる人がいなかったのでしょうか。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。