Daily Archives: 2014年1月23日

労働災害69(園田競馬場事件)

おはようございます。

__

←先日、常磐町にある「ピッツェリア レジーナ」に行ってきました。

写真は、「カルツォーネ」です。

生地を二つ折りにして焼いてあるピザです。

中にはソーセージ等が入っています。

これはこれでおいしいです。

お店が街中にあるので、行きやすくていいですね。 

今日は、午前中は、新規相談が1件と離婚調停が1件入っています。

午後は、新規相談、裁判の打合せ、ラジオの打合せが入っています。

今日も一日がんばります!!

さて、今日は、同一職場の警備員によるマークレディ殺害と業務起因性に関する裁判例を見てみましょう。

園田競馬場事件(大阪高裁平成24年12月25日・労判1079号98頁)

【事案の概要】

本件は、兵庫県競馬組合園田競馬場において、マークレディ(園田競馬場において勝馬投票券購入のためのマークシートの記入方法等を案内する担当係員の通称)として稼働していたXが、園田競馬場で警備員として勤務していたCに殺害されたことにつき、Xの遺族が、本件災害がXの業務に起因するものであると主張して、労働者災害補償保険法に基づく遺族補償年金と遺族補償年金前払一時金及び葬祭料とをそれぞれ不支給とした尼崎労働基準監督署長の各処分の取消しを求めた事案である。

原審は、原告の請求をいずれも棄却した。

【裁判所の判断】

原判決を取り消す。

遺族保障年金等不支給処分を取り消す。

【判例のポイント】

1 ・・・このような観点からすると、労働者(被災者)が業務遂行中に、同僚あるいは部下からの暴行という災害により死傷した場合には、当該暴行が職場での業務遂行中に生じたものである限り、当該暴行は労働者(被災者)の業務に内在または随伴する危険が現実化したものと評価できるのが通常であるから、当該暴行が、労働者(被災者)との私的怨恨または労働者(被災者)による職務上の限度を超えた挑発的行為もしくは侮辱的行為によって生じたものであるなど、もはや労働者(被災者)の業務とは関連しない事由によって発生したものであると認められる場合を除いては、当該暴行は業務に内在または随伴する危険が現実化したものであるとして、業務遂行性を認めるが相当である
そして、その判断に当たっては、暴行が発生した経緯、労働者(被災者)と加害者との間の私的怨恨の有無、労働者(被災者)の職務の内容や性質(他人の反発や恨みを買いやすいものであるか否か。)、暴行の原因となった業務上の事実と暴行との時間的・場所的関係などが考慮されるべきである

2 ・・・男性警備員が、来場者や警備員を含めて圧倒的に男性が多い園田競馬場において、近隣で1対1の関係にもなり得る数少ない魅力的な女性であるマークレディに対して、恋愛感情を抱くことも決してないとはいえず、その結果、男性警備員が良識を失い、ストーカー的行動を引き起こすことも、全く予想できないわけではない
そして、これは、前記のそれぞれの採用条件や配置状況等に照らすと、単なる同僚労働者間の恋愛のもつれとは質的に異なっており、いわばマークレディとしての職務に内在する危険性に基づくものであると評価するのが相当である。
現に、本件組合も、マークレディと来場者との間のセクハラ行為を巡るトラブルやマークレディと警備員との間のセクハラ発言を巡るトラブルの存在を把握している(なお、判明している件数は少ないものの、このようなトラブルは性質上表沙汰にならないものも少なくないものと考えられる。)。

園田競馬場とマークレディに対する裁判所の評価のしかたが印象的です。

労災であるか否かを判断する以上、今回の結論を導くためには、このような評価が必要になってきます。