退職勧奨12(エム・シー・アンド・ピー事件)

おはようございます。

さて、今日は、度重なる退職強要の違法性と休職期間満了を理由とする解雇の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

エム・シー・アンド・ピー事件(京都地裁平成26年2月27日・労判1092号6頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で雇用契約を締結していたXが、➀退職強要により精神的苦痛を被ったとして不法行為に基づいて慰謝料200万円及びこれに対する遅延損害金の支払い、②休職期間満了により退職扱いされたことについて、これが無効であるとして536条2項に基づく賃金(月額29万円)及びこれに対する遅延損害金の支払い、③未払残業代50万6309円及び遅延損害金の支払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

退職勧奨は違法
→慰謝料30万円を支払え

解雇は無効

【判例のポイント】

Xに対する退職勧奨については、合計5回の面談が行われ、第2回面談は1時間、第3回面談は約2時間及び第5回面談は約1時間行われている。そして、第2回面談では、Dは、Xが、退職勧奨を拒否した場合、今後Y社としてどのように対応するのか聞いたところ、退職勧奨に同意したら自己都合退職になる、そうでない場合は解雇である、解雇の条件の通常の業務に支障をきたしているというのにあてはまると思う旨述べ、また、Xが、休職という手段はなく、選択肢としては合意するか解雇かの2つなのかと尋ねたところ、Dは、基本はそうなる、会社として退職勧奨するのはそういうことである旨述べるなどしており、退職勧奨に応じなければ解雇する可能性を示唆するなどして退職を求めていること、第2回面談及び第3回面談で、Xは、自分から辞めるとは言いたくない旨述べ退職勧奨に応じない姿勢を示しているにもかかわらず、繰り返し退職勧奨を行っていること、Xは業務量を調整してもらえれば働ける旨述べたにもかかわらずそれには応じなかったこと、第2回面談は約1時間及び第3回面談は約2時間と長時間に及んでいることなどの諸事情を総合考慮すると、退職勧奨を行った理由がXの体調悪化に起因するものであること、第5回面談でXはY社代表者に退職勧奨はするが解雇はしないということを確認したことなどを勘案しても、Y社のXに対する退職勧奨は、退職に関する労働者の自由な意思形成を促す行為として許容される限度を逸脱し労働者の退職についての自由な意思決定を困難にするものであったと認められ、Xの退職に関する自己決定権を侵害する違法なものと認めるのが相当である

平成23年8月22日以降のY社のXに対する退職勧奨は、Xが退職の意思のないことを表明しているにもかかわらず、執拗に退職勧奨を行ったもので、強い心理的負荷となる出来事があったものといえ、これによりXのうつ病は自然経過を超えて悪化したのであるから、精神障害の悪化について業務起因性が認められる。
そうすると、Y社は、Xを休職期間の満了により退職したとのY社の主張は採用できず、XはY社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあるというべきである

会社にとっては非常に厳しい判断です。

実務において、退職勧奨の程度に悩まれる企業も少なくないと思います。

必ず顧問弁護士に相談をしながら正解のないケース・バイ・ケースの対応をするほかないと感じます。