Daily Archives: 2016年8月26日

不当労働行為151(両磐酒造(団交拒否)事件)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、和解協定の履行に関する団体交渉に応じなかったことが不当労働行為にあたるとされた命令を見てみましょう。

両磐酒造(団交拒否)事件(平成28年2月23日・労判1136号170頁)

【事案の概要】

本件は、和解協定の履行に関する団体交渉に応じなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

Y社は、夏の中元シーズン期間は忙しいので棚上げし、団交は中元シーズンおよびお盆の終わった頃にしてほしいと回答し、団交に応じなかったものである。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 再雇用は労働条件と密接に関連しているものであるから、少数組合といえども、規程に関し団体交渉の申入れがあれば、会社は団体交渉に応じなければならない。

2 また、会社は、和解協定において、再雇用に関する規程を早急に整備し、次回のAの契約更新時以降は、整備した規程に基づき再雇用の手続を行うという内容を組合と合意した。しかし、Aの契約更新満了日であった7月31日の翌日である8月1日時点では、就業規則以外に具体的手続などを定めた関連規程を整備していないことが認められる。そのような状況の中で、就業規則に再雇用に関する規定が作成されていることを理由に団体交渉に応じないのは、正当な理由があるとはいえない

業務多忙を理由に団交を延期することだけで当然に不当労働行為に該当するわけではありません。

本件の場合には、上記のように団交を延期しておきながら、雇止めをしたために不当労働行為と判断されています。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。