労働者性20 営業支援業務従事者の労働者性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、労働契約上の労働者に基づく解雇無効地位確認請求に関する裁判例を見てみましょう。

AGORA TECHNO事件(東京地裁平成28年8月19日・労判ジャーナル57号40頁)

【事案の概要】

本件は、ITソリューション事業などを行うY社と契約を締結し、営業支援等の業務を行ったXが、Y社との契約は労働契約であったが、平成26年5月29日、解雇されたものの、本件解雇は解雇権の濫用であり無効であるとして、地位確認、未払賃金等を請求した事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 XとY社は自由な意思において労働契約ではなく業務委託として本件契約を締結し、本件契約を継続したと認められ、本件契約の形式において、本件契約が労働契約であったとは認められず、そして、Y社の他の従業員が勤務表、休暇・遅刻・早退の届出、日報などにより管理されていたのに対し、Xはその提出を求められていなかったと認められ、本件契約において日々具体的な営業活動を行うことなどを求められていたとは認められないことにも照らせば、XはY社の指揮命令下にあったとは認められず、また、Y社代表者はXに対し成果が上がれば報酬の増額を考える旨供述したと認められるから、報酬はXの業務の成果に対する対価としての性質であったと認められ、労務提供の対価であったとは認められず、さらに、Xは、会社外部の事業者として報酬を請求していることなどからは、事業者性が認められること等から、本件契約の形式面、当事者の意思、指揮命令下の労働、報酬の労務対価性、事業者性などの観点から総合的に検討しても、本件契約は請負契約としての業務委託契約であったと認められ、労働契約であったとは認められない。

これだけの事情がそろえば、労働者性は否定されるでしょうね。

もっとも、一般的には、労働者性に関する判断は本当に難しいです。業務委託等の契約形態を採用する際は事前に顧問弁護士に相談することを強くおすすめいたします。