解雇230 試用期間中の解雇が有効と判断された理由とは?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばっていきましょう。

今日は、試用期間中の解雇無効地位確認等請求に関する裁判例を見てみましょう。

A社事件(大阪地裁平成28年11月18日・労判ジャーナル60号88頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に新卒者として採用されたものの、見習期間(試用期間)中、業務遂行に必要なの魚力を著しく欠くとして、留保解約権に基づく解雇の意思表示を受けた元従業員が、Y社に対し、同解雇は解雇権の濫用であり無効であると主張し、労働契約上の権利を有する地位の確認を求めるとともに、平成26年1月から本判決確定の日までの賃金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、毎日のように書損を発生させ、その都度指導教育しても、同じ過誤を繰り返し、その過誤の内容は、受取証の相手方の氏名記載欄に自分の名前を記載したり、誤った金額や預り目的を記載したりするなど、注意力の欠如が甚だしく、およそ金融機関の職員として弁解することができないものであり、また、Xは、研修が8か月目に至っても本人確認手続の内容さえ十分に理解しておらず、その後指導教育を継続したとしても、Y社の総合職の職員として必要な程度の職務能力を身につけさせることが著しく困難であることが予想され、さらに、Xは、顧客から通帳を受け取った際、預り証を渡さなかったり、定期預金について顧客の依頼とは異なる処理を行おうとしたりするなど、Y社の信用失墜を招きかねない行為も繰り返すなどの各事情にかんがみれば、Xは、総合職の新入社員に求められる職務能力を備えておらず、今後指導教育を継続しても、Y社の総合職の職員として必要な能力を身につけさせる見込みも立たなかったというべきであるから、本件解雇は、留保解約権の行使として客観的に合理的な理由があり、社会通念上も相当であるから、有効であるといえる。

ミスのレベルが非常に低いこと、何度も指導教育したのに改善されないことをちゃんと立証できるように訴訟前から準備しておくことが大切です。

こういう事案を見ると、つくづく採用試験や面接で適性を見抜くことの大変さを痛感しますね。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。