Monthly Archives: 9月 2017

本の紹介719 「型を破る人」の時代(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
「型を破る人」の時代: “ズバ抜けた結果”を出せる人は、何をしているか (単行本)

サブタイトルは、「”ズバ抜けた結果”を出せる人は、何をしているか」です。

内容については特段目新しいものはありませんが、王道を行く内容です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

だいたいにおいて、コンサルタントやコーチなどの指導を受けるときに問題になるのは、自分が何をすべきかわからないことではなく、本当は心の奥底では『自分は変わりたくない』と思っていることなのだ。変わるつもりのない人が、何か新しい行動を起こすことはできない。・・・必要なのは、よりより方法を見つけることではなく、自分を変える勇気をもつことなんだ。」(220頁)

その通りですね。

みんな今よりももっと良くなりたいと願うけれど、今の生活は変えたくないのです。

いわゆるコンフォートゾーンからは出たくないけれど、今よりも良くなりたいわけです。

人はこれをわがままと呼びます。

原因と結果の法則を持ち出すまでもなく、行動を変えなければ結果は変わるはずはないのです。

んなことはみんなわかっているわけで。

でも体が言うことを聞かないのです。

今さらしんどい努力をしたくないのです。

人生を変えたければ、日々の習慣を変えるしかないと確信しています。

コンフォートゾーンから出るしかないのです。

不当労働行為176 労組委員長らの発言を記載した文書を掲示・回覧したことの不当労働行為該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、覚書締結交渉の膠着状態を打開しようとして労組委員長らの発言の言葉じりを捉えた文書を掲示または回覧した措置につき、不当労働行為に該当するとされた事案を見てみましょう。

京都生協事件(中労委平成29年3月1日・労判1158号154頁)

【事案の概要】

本件は、覚書締結交渉の膠着状態を打開しようとして労組委員長らの発言の言葉じりを捉えた文書を掲示または回覧した措置につき、不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

初審京都府労委は、不当労働行為にあたらないと判断した。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 ・・・以上の記載は、いずれも本件交渉における執行部の対応を批判する内容を含み、26年度覚書が締結できない責任が専ら執行部にあるかのような行き過ぎともいえる部分があるといえるのであるが、その多くは、Y社の立場からみた意見の表明やその前提となる事実等の指摘として許容される範囲に収まっているとも判断できる余地がないわけではない。

2 以上によれば、本件各書面提示のうち、Y社が、組合員を含むパート職員に対し、「パート労組執行部は『私たち(労組執行部)はこの内容で理解できるが、代議員に納得させる自信がないので、人事教育部が代議員会に出席し説明してほしい。』と述べました。」との記載がある26.3.6書面を提示したことについては、たとえ同提示の目的として、雇用関係の終了というパート職員の不利益を生じさせないこと等のために26年度雇用契約書の提出を呼び掛けることが含まれているとしても、本件交渉の膠着状態を打開し、本件交渉を有利に進めるために、いまだ同年度覚書の締結に至っていないのは、執行部の対応に問題があるからであるかのようにパート職員に印象付け、執行部を批判にさらさせることにより、X組合に対し同年度覚書締結に関する協議の再開に応じるよう圧力を掛け、X組合の運営に影響を与えようとしたものといわざるを得ず、労組法7条3号の支配介入に当たる。

初審と異なる判断です。

個人的には中労委の判断の方がしっくりきます。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介718 真経営学読本(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
真経営学読本

この本は、経営者に限らず、すべての社会人が読むに値します。

そして、何度も繰り返し読むに値します。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

私は、人間関係においては、一つの大きな法則があると思っています。それは、『自分が相手にしたことが自分に返ってくる』という法則です。これは、『ミラー効果』とか『鏡の法則』などとも言われています。つまり、過去、自分が周りの人たちに、どのようにかかわって、どのようなことをしてきたかが、全部自分に返ってくるのです。
仕事も人間関係ですから同じ法則が働きます。もし、周りが自分を助けてくれないとしたら、それは自分が周りを助けてこなかったからです。周りから応援され、助けてもらおうと思ったら、まず自分が周りを応援し、周りを助けることです。それをどれだけやっているかで、周りが自分を助けてくれるかどうかが決まります。」(171頁)

もうそのまんまです(笑)

他責ではなく自責からしか何も生まれません。

人のせい、環境のせいにしているうちは、人生は何も変わりません。

自分が変わるしかありません。

配転・出向・転籍34 配転命令の必要性が否定された事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、組合員2名に対する配転命令の有効性と不当労働行為該当性に関する事案を見てみましょう。

廣川書店(配転)事件(東京地裁平成29年3月21日・労判1158号48頁)

【事案の概要】

本件は、東京都文京区所在の出版社であるY社の従業員であり、労働組合の組合員であるX1及びX2が、Y社から、平成28年2月1日付けで、埼玉県所在のZ分室で勤務するように命じられたこと(本件配転命令)について、これは就業場所の変更を伴う配転命令であるところ、Y社には配転を命じる権限がないので、本件配転命令は法的根拠を欠き違法、無効である、そうでなくとも、本件配転命令は裁量権の濫用に当たり、又は労働組合法7条1号所定の不当労働行為に当たり違法、無効であって、不法行為を構成すると主張して、Y社に対し、それぞれ、Z分室に勤務する義務のない地位にあることの確認と、精神的苦痛の慰謝料50万円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

1 Y社は、X1に対し、30万円+遅延損害金を支払え

2 X2が、Yに対し、Z分室に勤務する義務のない地位にあることを確認する。

3 Y社は、X2に対し、30万円+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 XらがZ分室で行っている業務は、それらが業務の全てであるかどうかは別にして、基本的に従前と同様の内容であるから、それらを敢えて本社社屋から片道約1時間かかるZ分室まで赴いて行う意味があるのか、大いに疑問がある上、Y社が命じた勤務形態が、午前9時に本社社屋に出社し、タイムカードを打刻してからZ分室に向かい、同所で作業後、午後5時には本社社屋に戻るということであり、Z分室への往復に要する2時間程度の間は業務が処理できず、停滞を余儀なくされることも勘案すれば、本件配転命令は明らかに不合理であり、Z分室にXらを配転する業務上の必要性があるとは容易に認めることはできず、むしろ、このような配転には業務上の必要性がないという推定が働くというべきである。

2 ・・・加えて、Xらは外気を壁や扉で遮断する措置が講じられていない倉庫の一角という、およそ事務作業をするのに適さないと思われる作業場におり、同所は、Xらが平成28年3月10日に調査した際には、暖房の近くでも摂氏14度しかなく、そのことを伝えられたY社がヒーターを設置した経緯があることからしても、本件配転命令に当たってのY社の準備等はいかにも場当たり的であって、この点も、本件配転命令の不合理性を示すものといえる。

3 しかも、本件配転命令には、他の組合員の継続雇用に関する非組合員との差別的取扱いや団交拒否について、Y社に対し、複数の不当労働行為救済命令が出されている中で発せられたという経緯があり、その経緯からは、Y社が労働組合を嫌悪し、本社社屋から組合員を排除するという不当な目的をもって本件配転命令を発したことが推認されるというべきところ、・・・この推認を覆すような証拠は見当たらず、前述のとおり、業務上の必要性が認められないことも、この推認を支えるものである。

わかりやすく配転の必要性がないケースですね。

これではさすが無効です。

実際の対応については顧問弁護士に相談しながら慎重に行いましょう。

本の紹介717 成功の心理学(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
新訳 成功の心理学 人生の勝者に生まれ変わる10の方法

帯には、「全世界2000万人が感動した『ザ・シークレット』のロンダ・バーンが『師』と仰ぐ著者の代表作」と書かれています。

そう書かれたら、嫌でも読みたくなってしまいますね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

勝者が勝者たる理由は、『最も重要なのは、1日の中の1分1秒の積み重ねだ』と心得ていることだ。たいていの人が、多くの時間をムダにしている。緩慢な動作、ムダ話、余計な資料調べ、パーティや会合・・・・・・わかり切った結論を引き延ばし、小さなことを取り上げて騒ぎ、些細な問題で意地を張るなど、きりがない。優先順位の低い、そして緊張度の乏しいものに時間をかけ、重要な目標に到達するための活動を後回しにしている。」(135~136頁)

どうでもいいことにこだわらないというのは、日々、私が考えていることです。

日々の決断力を上げる1つのコツかもしれませんね。

たいした話ではないことについては秒速で決める。

さもないことであーでもない、こーでもないと悩まない。 

優柔不断というのは性格ではなく、判断のしかたのくせ(習慣)の問題です。

日頃から意識をして決断スピードを上げることです。

不当労働行為175 自殺を図った組合員を配転したことの不当労働行為該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、自殺を図った空港送迎タクシー業務に従事していた組合員を内勤業務に配転したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案を見てみましょう。

中央タクシー(配転等)事件(群馬県労委平成29年3月9日・労判1158号153頁)

【事案の概要】

本件は、自殺を図った空港送迎タクシー業務に従事していた組合員を内勤業務に配転したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案

【労働委員会の判断】

不当労働行為にはあたらない

【命令のポイント】

1 睡眠導入剤を服用していることだけでも、運転の安全管理上十分な配慮が必要であり、これに加えて上記の欠勤の経緯をみれば、自動車運転事業者としては、Xが自殺未遂の原因となった精神的な症状から回復しておらず、運転業務につかせることに慎重になるのは当然であり、むしろ、乗客の安全を確保する義務を負っている同事業者の責務であって、本件配置転換等には合理的な理由が十分にある
・・・以上のとおり、本件配置転換等は、Y社の不当労働行為意思によって行われたものであるとはいえないので、労組法7条1号の不当労働行為には該当しないと判断する。

当然の配慮です。

むしろ会社がこの状態でそのまま運転を継続させていて何か事故でもあれば、逆に責任追及をされてしまいます。

日頃から顧問弁護士に相談する体制を整え、無用なトラブルを回避することが肝要です。

本の紹介716 急いてはいけない(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
急いてはいけない 加速する時代の「知性」とは (ベスト新書)

オシム元サッカー日本代表監督の本です。

サッカーに関する記述が多いですが、その中でも含蓄のある発言がいくつもあり、業界を問わずとても勉強になります。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

何の問題もなしに暮らすことなど誰にもできない。すべてはストレスだ。ストレスは現代の象徴でもある。すべてのストレスを避けることなど誰にもできない。成功したいと思ったら、ストレスにうまく対処するしかない。それができなければ、成功はおぼつかない。・・・ストレスと無関係には生きられない。もしそうであるならば、成功する気がないからだ。成功しようと思ったら、ストレスとともに生きるしかない。」(164~165頁)

競争社会で生きていくのであれば、ストレスを避けることはあきらめたほうがいいですね。

ストレスを避けたいのであれば、競争社会で生きるのを避けるほかないという考えです。

ストレスはもはや不可避である以上、ストレスにどう対処するかを考えるのが現実的です。

個人的には「慣れる」ほかないと思っています。

どっぷりストレスフルな生活に浸かり、その状態がもはや当たり前になればストレスは空気のようなものになります。

逆にストレスがないと不安になり、ストレスがたまります(笑)

解雇243 窃盗を理由とする懲戒解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、地方公務員の窃盗に基づく懲戒免職処分等取消請求に関する裁判例を見てみましょう。

東宇陀環境衛生組合ほか事件(奈良地裁平成29年3月28日・労判ジャーナル64号24頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の技能労務職員であったXが、公務外非行(窃盗)を行ったことなどを理由に、Y社から懲戒免職処分を受け、また、これに伴い奈良県市町村総合事務組合管理者から退職手当支給制限処分を受けたことから、本件懲戒免職処分は重大な手続違反や事実誤認に基づくものであって違法であり、これを前提とする本件退職手当支給制限処分も違法であるなどと主張して、上記各処分の取消しを求めた事案である。

【裁判所の判断】

懲戒免職処分は違法
→請求認容

【判例のポイント】

1 確かに、Xは、タイヤ窃盗を理由として3箇月の停職処分を受けたにもかかわらず、停職期間満了後4箇月ほどしか経たないうちに2度にわたり景品応募シールを盗み、さらにその半年後に再び同シールの窃盗(本件非行)に及んでいるのであって、本件非行には常習性が認められ、また、その動機も短絡的で、再犯のおそれも否定できず、Y社の職員としての信用を重ねて失墜させたものとして、厳しい非難は免れないというべきであるが、Xの窃盗行為は上記の限度にとどまっており、その頻度や回数等に照らし、常習性の程度が特に著しいとまではいえず、そして、Xは、逮捕直後から事実を認めて被害者に謝罪し、示談も成立しているのであり、Y社に対しても、謝罪文を提出し、事情聴取の際に反省の弁を述べるなど、本件非行について反省の態度を示していたこと等から、Y社が懲戒免職処分を選択したことは、その裁量権を逸脱又は濫用したものというほかなく、本件免職処分は違法というべきである。

・・・ですって。

このケースで解雇しない会社があるでしょうか・・・。

たまにこういう裁判例を見ると、とても違和感を感じます。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介715 「好きなことだけやって生きていく」という提案(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
「好きなことだけやって生きていく」という提案

タイトルと内容が一致しているかは微妙ですが、そんなことはよくある話ですので、たいしたことではありません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

普段の会話で、僕たちはつい、自分の伝えたいことばかり言ってしまいがちです。・・・『伝えたい』という欲望や感情を一度脇に置いて、伝えられる側のことを考えてから発言する。」(183頁)

タイトルとは全く関係のない話ですが、普段の仕事でも日常生活においても、このことはとても大切です。

自分が話したいことだけ話しまくる。

会話はキャッチボールだということを忘れて、ただひたすら自分のことを延々と話し続ける。

こういう人にならないように気をつけましょう。

一事が万事、こういう人は、仕事においても他者への想像力が低い方ですので、一緒に仕事をしないほうが賢明です。

いかに相手に話してもらうか、そのためにどのような質問をしたらよいのか。

こういうことを考えながら会話に臨むくらいがちょうどいいと思います。

いずれにせよ、ボールを持ちすぎる人はデリカシーがないため嫌われます。気をつけましょう。

競業避止義務22 元従業員に対する競業禁止の合意に基づく損害賠償請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は元従業員に対する競業禁止の合意等に基づく損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

リンクスタッフ元従業員事件(大阪地裁平成28年7月14日・労判1157号85頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が元従業員であったXに対し、Y社・X間では退職後一定期間は同業他社に就職しないこと等を内容とする競業禁止の合意があったにもかかわらずXはこれに違反した、Xは他の退職従業員と共謀してY社の事業の妨害を図ったなどとして、債務不履行ないし不法行為に基づき、損害賠償を請求する事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 退職後の競業禁止の合意は、労働者の職業選択の自由を制約するから、その制限が必要かつ合理的な範囲を超える場合は公序良俗に反し、無効である。
本件についてみると、Xはいわゆる平社員にすぎないうえ、Y社への在籍期間も約1年にすぎない。他方、競業禁止義務を負う範囲は、退職の日から3年にわたって競業関係に立つ事業者への就職等を禁止するというものであり、何らの地域制限も付されていないから、相当程度に広範といわざるを得ない。
Y社は、業務手当の中には、みなし代償措置である2200円が含まれているとも主張するが、Xは、業務手当の中には、みなし代償措置が含まれているとの説明を受けたことはないと供述しているうえ、仮にこれが代償措置として設けられているとしても、その額は、Xの在籍期間全部を通じても総額で3万円ほどにすぎず、上記のような広範な競業禁止の範囲を正当化するものとは到底言えない。
そうすると、本件誓約書による競業禁止の範囲は合理的な範囲にとどまるものとはいえないから、公序良俗に反し無効であり、競業禁止の合意に基づく請求は理由がない。

このような事情であれば、訴訟を起こす前から結論は目に見えています。

訴訟をやるだけ時間とお金の無駄です。

訴訟の是非を含め、対応方法については事前に顧問弁護士に相談しましょう。