不当労働行為175 自殺を図った組合員を配転したことの不当労働行為該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、自殺を図った空港送迎タクシー業務に従事していた組合員を内勤業務に配転したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案を見てみましょう。

中央タクシー(配転等)事件(群馬県労委平成29年3月9日・労判1158号153頁)

【事案の概要】

本件は、自殺を図った空港送迎タクシー業務に従事していた組合員を内勤業務に配転したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案

【労働委員会の判断】

不当労働行為にはあたらない

【命令のポイント】

1 睡眠導入剤を服用していることだけでも、運転の安全管理上十分な配慮が必要であり、これに加えて上記の欠勤の経緯をみれば、自動車運転事業者としては、Xが自殺未遂の原因となった精神的な症状から回復しておらず、運転業務につかせることに慎重になるのは当然であり、むしろ、乗客の安全を確保する義務を負っている同事業者の責務であって、本件配置転換等には合理的な理由が十分にある
・・・以上のとおり、本件配置転換等は、Y社の不当労働行為意思によって行われたものであるとはいえないので、労組法7条1号の不当労働行為には該当しないと判断する。

当然の配慮です。

むしろ会社がこの状態でそのまま運転を継続させていて何か事故でもあれば、逆に責任追及をされてしまいます。

日頃から顧問弁護士に相談する体制を整え、無用なトラブルを回避することが肝要です。