管理監督者37 弁当チェーン店店長の管理監督者性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、弁当チェーン店元店長の管理監督者性と割増賃金等請求に関する事案を見てみましょう。

プレナス(ほっともっと元店長B)事件(大分地裁平成29年3月30日・労判1158号32頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員であり、平成26年8月5日にY社を退職したXが、Y社に対し、時間外労働の賃金及び寮費相当額として控除されてきた賃金部分+遅延損害金、付加金+遅延損害金、慰謝料50万円+遅延損害金の支払いを求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、Xに対し、1011万4971円+内953万3480円に対する遅延損害金(6%)を支払え

その余の請求はいずれも棄却

【判例のポイント】

1 Xは、その職務内容、責任と権限、勤務態様及び賃金等の待遇などの実態からすれば、労働時間、休憩及び休日に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない重要な職務と責任を有するとも、現実の勤務態度が労働時間等の規制になじまないような立場にあるともいえないから、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者、すなわち管理監督者に該当するとは認められない。 

2 本件では、Xの時間外労働の割増賃金支払義務の前提問題として、Xの管理監督者該当性が主要な争点として争われているところ、この点に関する当事者双方の主張内容や事実関係のほか、栃木労基署はY社に対し是正勧告を行ったものの、Y社から管理監督者に該当する旨の報告書が提出されて以降特段の手続が取られていないことなどに照らせば、Y社がXの割増賃金の支払義務を争うことには合理的な理由がないとはいえないというべきである。
したがって、未払賃金に対する遅延損害金については、商事法定利率によるべきである。

3 Y社は、Xに対し、労基法37条の定める時間外割増賃金及び休日割増賃金の支払義務を怠っているものといえるが、当事者双方の主張内容や事実関係、その後の訴訟経過に照らせば、Y社に対し、付加金という制裁を課すことが相当とはいえない

管理監督者性に関しては、上記判例のポイント1のとおり、箸にも棒にもかからない感じですが、この争点の裏の意味としては、上記判例のポイント3のとおり、付加金を抑えるということが挙げられます。

うまくいくときといかないときがありますが。

あと、上記判例のポイント2についても、14.6%になっていない点で参考になります。

管理監督者性に関する対応については、会社に対するインパクトが大きいため、必ず顧問弁護士に相談しながら進めることをおすすめいたします。