不当労働行為183 定年退職後の処遇と義務的団交事項(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、組合員の再雇用における労働条件等を団交事項とする団交の申入れについて、定年退職後の処遇は労働条件の変更に当たらず団交事項でないとして団交に応じなかったことが不当労働行為にあたるとされた事案を見てみましょう。

学校法人文際学園事件(大阪府労委平成29年3月13日・労判1161号90頁)

【事案の概要】

本件は、組合員の再雇用における労働条件等を団交事項とする団交の申入れについて、定年退職後の処遇は労働条件の変更に当たらず団交事項でないとして団交に応じなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる。

【命令のポイント】

1 定年退職後も引き続き再雇用されることを前提とした組合員の再雇用後の労働条件に関する事項は、定年前の労働条件を踏まえた組合員の個別の労働条件の変更に該当し、労使で協議することが可能な労働条件であるとみるのが相当であり、義務的団交事項に該当するのは明らかである。

2 ・・・以上のとおり、組合員の再雇用後の労働条件は義務的団交事項であるにもかかわらず、Y社は交渉に一切応じていないのであるから、Y社の主張はいずれも採用できず、組合の団交申入れに対するY社の対応は、労働組合法7条2号に該当する不当労働行為である。

継続雇用が予定されている以上はまだ継続雇用が始まっていないからといって義務的団交事項にあたらないと判断するのは難しいでしょうね。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。