解雇254 訴訟における主張内容も踏まえて解雇の有効性を判断した事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、就業態度・能率不良に基づく解雇無効地位確認請求に関する裁判例を見てみましょう。

日本コクレア事件(東京地裁平成29年4月19日・労判ジャーナル70号38頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で労働契約を締結していたXが、Y社から解雇されたところ、当該解雇は無効であると主張して、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、当該解雇日以降の賃金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

解雇は有効

【判例のポイント】

1 Xは、使用者が従業員に対して通常求める姿勢である、上司の指示、指導等に素直に耳を傾け、上司の意見を取り入れながら円滑な職場環境の醸成に努力するなどといった点に欠ける面が顕著であるといえ、再三のY社からの指示、指導及び警告にかかわらず一向に改善の意欲も認められないことからすれば、XとY社との労働契約における信頼関係は、本件解雇時点においてもはや回復困難な程度に破壊されていると評価せざるを得ず、Y社としては、職場全体の秩序、人間関係への悪影響等に鑑み、職場内の規律維持等の観点から対応せざるを得なかったといえ、本件訴訟においても、Xは、自己の考え方に固執し続けており、このことは、本件解雇以前から職制を踏まえた行動をする意思がなかったことを推認させ、Xの処遇の困難性を示していること等から、Xについては就業規則所定の解雇事由「従業員の就業態度もしくは能率が、会社にとって著しく不適当であると認められた場合」に該当するものと認められ、本件解雇は、その権利を濫用したものとして無効であるとはいえない。

よく解雇事案で、上記判例のポイントのように訴訟中の主張を取り上げて、それも考慮要素とすることがありますので、留意しましょう。

あまりに突拍子もない主張を展開すると判決理由で使われてしまいます・・・。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。