解雇256 業務命令違反に基づく解雇が有効と判断されるためには?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、業務命令違反に基づく解雇無効地位確認等請求に関する裁判例を見てみましょう。

シリコンパワージャパン事件(東京地裁平成29年7月18日・労判ジャーナル70号29頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、Y社との間で労働契約を締結し、その後、Xを解雇したが、この解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないものであり、権利を濫用したものとして無効であると主張して、労働契約に基づき、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認等を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、Y社の業務に関連する電子メールにつき、平成27年7月頃から、CCに部長のメールアドレスを入れないようになり、代表取締役から指示を受けても従わず、同年11月9日、重ねてP3から電子メールのCCに必ず部長のメールアドレスを入れるよう指示を受けた後も、これを改めず、同月11日、代表取締役から全ての電子メールのCCに必ず部長のメールアドレスを入れるよう明確に命じられた後も、その日のうちに、これに反し、あえて同じ行為を繰り返したものであり、Xが業務に関連する電子メールのCCに部長のメールアドレスを入れなかったことにより、Y社においては、現に、部長がXが既に対応していた業務を二重に行うこととなったり、Y社として対処するべき問題につき部長として営業部門とマーケティング部門を統括する立場にあった部長の耳に入るのが遅れたりするなど、その業務遂行に不利益が生じたことが認められるから、このようなXに対してY社が解雇に及んだのにはもっともな理由があったものと認められ、本件解雇に客観的に合理的な理由がないとは認められない。

再三にわたり注意指導したにもかかわらず・・・という事実を立証できるように準備することが使用者には求められています。

解雇の合理性の立証責任は使用者側にあることを忘れずに準備をしましょう。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。