不当労働行為192 労組の受け入れがたい提案への固執と不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、労働協約改定を議題とする団交において、労組の受け入れがたい提案に固執して労働協約を失効させた会社の対応が支配介入に当たるとされた事案を見てみましょう。

セコニック事件(東京都労委平成29年5月9日・労判1167号146頁)

【事案の概要】

本件は、労働協約改定を議題とする団交において、労組の受け入れがたい提案に固執して労働協約を失効させた会社の対応が支配介入に当たるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

支配介入にあたる

【命令のポイント】

1 これらY社の主張する理由は、第3条と組合案第48条以外は全て合意している労働協約の締結を拒否する理由としては、極めて説得力に乏しく、また、これらの条項と、就業規則との重複解消、時間内組合活動の無給化など合意済みの事項が相互に密接不可分であって、全てが合意に至らない限り労働協約を締結しても無意味であるとの事情も認められず、Y社の説明する上記理由がY社が部分合意を拒否する真の理由であったとは、およそ考え難い
むしろ、Y社の頑なな態度から、Y社は、組合が会社案に同意しないことの報復として、合意している部分を含めて本件労働協約全体を失効させ、もって組合の弱体化を企図したものといわざるを得ない

2 したがって、Y社が、組合に対し、本件ユシ協定を解約するが、組合員の範囲を制限する規定は維持するという、組合が受け入れられない労働協約の改定案を提示し、その条件に固執した結果、本件労働協約の失効に至ったことは、組合運営に対する支配介入に該当する

上記命令のポイント2のやり方には十分注意しましょう。

会社としては支配介入という認識はないとしてもこのように判断されてしまいますので。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。