Monthly Archives: 10月 2019

解雇308 職場の秩序を乱したことを理由とする解雇(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

56日目の栗坊トマト。花が咲きそうになっています!

今日は、職場の秩序を乱したことを理由とする解雇に関する裁判例を見てみましょう。

協同組合つばさ事件(東京高裁令和元年5月8日・労判ジャーナル90号36頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間の雇用契約によりY社の被用者として稼働していた元職員Xが、Y社から解雇の意思表示を受けたところ、この解雇が無効であるとして、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認及び賃金の支払いを求めたところ、原判決が、Xの請求をいずれも棄却したため、Xが控訴した事案である。

【裁判所の判断】

控訴棄却

【判例のポイント】

1 Xの警察への通報(警察に対し、自らがY社の職員であることを説明せず、女性の技能実習生が男に拉致されそうだという虚偽の通報をしたもの)は、Y社の信用を毀損し、又はその業務を妨害するもので、Xが監査結果報告書(入国管理局に提出するもの)を持ち出したことはY社の業務を妨害するものであり、さらに、Xは明示の職務命令に反して外出した上、Y社に敵対的な感情を明らかにし、Y社の職場の秩序を乱したものであって、その内容に照らせば、いずれもその程度は強いものというべきであるから、解雇をするについての客観的に合理的な理由があると認められ、そして、Y社の業務を妨害し、その信用を毀損する警察への通報を繰り返したこと、監査結果報告書を持ち出してY社の業務を妨害したこと、明示の職務命令に反して外出し、Y社に敵対的な感情を明らかにし、Y社の職場の秩序を乱したことによれば、これらの言動によってY社とXとの信頼関係は完全に失われていたといわざるを得ず、個別的な指導等によってもXがY社の職務に戻ることについては社会通念上相当なものと認められるから、解雇権を濫用したものとはいえず、本件解雇は有効である。

大切なのは、このような行為をいかに立証するかということです。

日ごろから記録を残すことを意識することがポイントです。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介965 しないことリスト(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

私と同い年の著者が、「なぜしないといけないかが、自分でよくわからないことは、もうやめよう」(8頁)というメッセージを送っています。

まったく同感です。

なんとなくの義務感で行うことの多くは、本来やらなくても生きていけますし、そのほうが百倍幸せです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

自分が他人の世界の中で取るに足らない存在であったり、他人の価値観でダメな人間であっても気にする必要はない。他人の評価なんてどうでもいい。自分が自分自身の世界の中でそれなりに自己評価できるかどうかが重要だ。自分をわざわざ大きく見せることをしなくても、自然な自信を持てるような状態を目指していこう。」(83頁)

そういうことです。

他人の評価を気にして、やりたくもないことをやるなんて、死んでも嫌なのです。

そんなことやっても全然幸せではないので。

他人の評価から解放されて生きることができると悩みのほとんどはなくなります。

労働者性27 学習塾講師の労働者性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

51日目の栗坊トマト。縦とともに横にも大きくなってきました!

今日は、学習塾講師の労働基準法上の労働者性に関する裁判例を見てみましょう。

類設計室事件(大阪地裁令和元年5月30日・労判ジャーナル90号24頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が運営する学習塾に務めていた元講師Xが、Y社に対し、労働契約に基づき、未払の時間外、休日及び深夜割増賃金計約487万円等の支払、また、労働基準法114条に基づき、上記未払賃金と同額の付加金の各支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

一部認容

付加金請求は棄却

【判例のポイント】

1 Y社の講師は、Y社が指定する教室においてY社が指定する教科を担当することが指示され、これを拒否することはできなかったこと、Y社が作成したテキストをY社が作成したマニュアルに従って授業を行わなければならなかったこと、原則として午後2時から午後11時までの間、指定された教室で、各種事務に加えてY社が定めた授業配置表に従って授業を行うとともに、活動記録により毎日の出退社時刻及び活動内容別の活動時間数を本部へ報告することを義務付けられていたこと、Y社の講師は、自己の判断だけで代講者を決めることはできなかったこと、毎月、給与の名目で固定額の基本給及び扶養手当から構成される報酬が支払われていたこと、Y社は、講師の報酬について給与所得として源泉徴収を行っており、かつ講師を労働保険の適用対象としていたことから、Y社の講師は、Y社の具体的な仕事の依頼、業務従事地域の指示等に対して許諾の自由を有しないこと、Y社から業務の内容及び遂行方法について具体的な指揮命令を受けていること、勤務場所・勤務時間に関する拘束性があること、業務の代替性が認められないこと、報酬の労務対償性があること等から、Xは、労働基準法上の労働者である。

まあ、これを雇用ではなく業務委託というのは無理がありますね。

労働法の適用を排除する目的で無理矢理、一人親方とするような例が後を絶ちませんが、大方、雇用ですので、裁判を起こされれば、多くは負けることになります。

労働者性に関する判断は本当に難しいです。業務委託等の契約形態を採用する際は事前に顧問弁護士に相談することを強くおすすめいたします。

本の紹介964 世界の果てで大切なことに気づく100の言葉(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

いろいろな方の「いい言葉」を集めた系の本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

偉業を達成した人たちは突然の跳躍でその高みに達したわけではない。仲間が眠っている間に懸命に上を目指して努力した結果である。-ヘンリー・ワズワース・ロングフェロー(詩人)」(184頁)

人間にとって成功とはいったい何だろう。結局のところ、自分の夢に向かって自分がどれだけ挑んだか、努力したかどうか、ではないだろうか。ー岡本太郎(芸術家)」(193頁)

死ぬまで「成功」なんていう頂に立つことはないのでしょうが。

そもそも何をもって「成功」かなんてのはわからないのではないでしょうか。

結局、一歩一歩、山の頂に向かって歩いている途中に寿命が来るのです。

その過程で努力して、達成感を感じることそれ自体が幸せなのかもしれません。

残された人生で、どこまで登っていけるのでしょうね。

今とは違う景色なのでしょうか。登れるところまで登ってみたいと思います。

解雇307 即戦力採用の管理職に対する本採用拒否(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

49日目の栗坊トマト。そろそろ花が咲きそうな感じです!

今日は、即戦力採用の管理職に対する本採用拒否の適法性について判断した裁判例を見てみましょう。

社会福祉法人どろんこ会事件(東京地裁平成31年1月11日・労判1204号62頁)

【事案の概要】

本件は、Y社により発達支援事業部長として採用されたXが、Y社から平成29年1月31日限りで解雇されたところ、同解雇は無効であると主張して、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、同年3月25日以降本判決確定の日に至るまで、支払期日又は支払期日後の日である毎月25日限り、同年2月分以降の月例賃金月額83万4000円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、その履歴書における経歴から、発達支援事業部部長として、さらにはY社グループ全体の事業推進を期待されるY社の幹部職員として、Y社においては高額な賃金待遇の下、即戦力の管理職として中途採用された者であったものであり、職員管理を含め、Y社において高いマネジメント能力を発揮することが期待されていたものである。

2 ・・・これらの点からすると、Xの業務運営の手法は、少なくとも施設長らとの円滑な意思疎通が重要となるY社の発達支援事業部部長としては、高圧的・威圧的で協調性を欠き、適合的でなかったと評価せざるを得ない。

3 結局、以上の点に照らすと、上記のように高いマネジメント能力が期待されて管理職として中途採用されたXにつき、少なくとも、本件就業規則14条1項6号、29条5号、11号及び同就業規則14条1項1号に規定するように、他の職員の業務遂行に悪影響を及ぼし、協調性を欠くなどの言動のほか、履歴書に記載された点に事実に著しく反する不適切な記載があったことが認められるところであり、本件本採用拒否による契約解消は、解約権留保の趣旨、目的に照らし、客観的に合理的な理由が存し、社会通念上相当なものと認められる。

4 以上に対し、Xは、採用に際して「経営陣との軋轢を恐れない」ことが条件とされており、大胆な意見具申と改革提案が期待されていたなどと主張する。確かに、募集要項にそのような記載はあり、外部の人材であったXに意見具申と改革提案が期待されたとはいえるが、現実に軋轢を生じては企業活動が進まないことは自明であって上記募集要項の記載もそのような気概で募集に応じてくれる者を求めた程度の趣旨にすぎない。以上のとおり、上記記載と実際に職員と軋轢を生じることとは別であり、その記載からXの所為が正当化されるものではない。

上記判例のポイント1のような事情がある場合には、通常の本採用拒否ないし解雇の場合よりも判断が緩やかになる傾向があります。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介963 持たない幸福論(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

サブタイトルは、「働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない」です。

まあ、賛否両論あると思いますが、生きたいように生きればいいのです。

自分と価値観の違う他人を捕まえてその人の生き方を批判する必要はどこにもありません。

批判する人の多くは、自分の正義感や常識に反するか、心の底では羨ましいと思っているかのどちらかです。

批判をする必要も、批判も気にする必要もありません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

お金がなくても楽しく暮らすための心がけとして一番大事なのは、『他人と自分を比べない』ということじゃないかと思う。そして他人と自分を比べなくても平気になるためには、『自分の価値基準をはっきり持つ』ということが必要だ。自分と他人とを比較して、『他の人はもっといい暮らしをしてる』とか『他の人はもっといい物を持ってる』とか考えて劣等感を抱いてしまうと、人並み程度や人並み以上にお金を得たりお金をかけた生活をすることにこだわってしまう。」(135~136頁)

物欲が強いと、お金がいくらあっても足りません。

物欲がないとそんなにお金は必要ありません。

だって、欲しい物がないですし、物を所有して幸せを感じることがないのですから。

だから、欲しいものが手に入らないことへの不満やストレスも当然ありません。

「足るを知る」なんていうやせ我慢のレベルではなく、物に対する執着がないというレベルの話です。

承認欲求の低さからくるものなのかどうかはよくわかりませんが、他人にどう思われるかを基準にどうでもいいことを気にしながら生きていくのがアホらしいのですよ。

みなさん、生きたいように生きればいいのです。

どうやって生きたって、人生なんてあっという間に終わるので。

賃金176 固定残業制度が有効と判断される場合とは?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

47日目の栗坊トマト。この休日中に成長を加速させたようです!

今日は、プランナーにおける定額残業代の割増賃金該当性に関する裁判例を見てみましょう。

結婚式場運営会社A事件(東京高裁平成31年3月28日・労判1204号31頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であったXが、Y社に対し、Y社との間の雇用契約に基づいて、未払賃金等512万1111円(残業代483万3379円、遅延損害金28万7732円)+遅延損害金+付加金の支払を求めた事案である。

原審は、法内残業代87万2095円、時間外割増賃金224万1433円+遅延損害金並びに155万1380円+遅延損害金の支払を求める限度でXの請求を認容したところ、X及びY社が、同判決を不服として控訴した。

【裁判所の判断】

1 Y社は、Xに対し、3万9565円+遅延損害金を支払え

2 Xのその余の請求を棄却する。

3 Xの本件控訴を棄却する。

【判例のポイント】

1 被用者が時間外労働等を立証した場合に時間外労働手当等が発生するかどうかと、定額残業代の約定として効力を有するかどうかとは、別の問題であって、使用者の労働時間管理の有無によって定額残業代の効力が左右されるものとはいえない

2 本件特約によれば、職能手当は、時間外・休日・深夜割増賃金として支給されるものであって、基本給と明確に区分されており、その割合賃金に適用される基礎賃金の1時間当たりの金額(残業単価)を具体的に算定することも可能であるから、明確性の要件に欠けることはないというべきである。

3 本件雇用契約書及び本件特約によれば、職能手当相当額と労働基準法所定の割増賃金との差額精算の合意は存在している上、支給が行われた場合に、その超過分について割増賃金が別途支払われることは労働基準法上当然に求められるから、差額の精算合意を定額残業代の定めの有効要件とする必要はない

4 職能手当が約87時間分の時間外労働等に相当することをもって、給与規程及び本件雇用契約書において明確に定額残業代と定められた職能手当につき、時間外労働等の対価ではなく、あるいはそれに加えて、通常の労働時間内の労務に対する対価の性質を有すると解釈する余地があるというには足りない。

5 Y社は、実際に行われた時間外労働等の時間に基づいて計算した割増賃金の額が、職能手当で定めた定額割増賃金の額に満たない月があったとして、Xに対し、その差額を請求する権利があることを前提に相殺の主張をするが、一般に、定額残業代に関する合意がされた場合についての当事者の合理的意思解釈としては、実際に行われた時間外労働等の時間に基づいて計算した割増賃金の額があらかじめ定められた定額割増賃金の額に満たない場合であっても、満額支払われると解するのが相当である。XとY社との間の本件雇用契約においても同様であって、差額を請求しない旨の合意があったと解するのが相当であるから、Y社の差額請求及びその存在を前提とする相殺の主張は認められない。

いつも言っていることですが、しっかり要件を満たしながら運用している限り、裁判所はちゃんと固定残業制度を認めてくれます。

是非、痛い目に合う前に、ちゃんと賃金制度を運用するようにしましょう。

残業代請求訴訟は今後も増加しておくことは明白です。素人判断でいろんな制度を運用しますと、後でえらいことになります。必ず顧問弁護士に相談をしながら対応しましょう。

本の紹介962 GACKTの勝ち方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

タイトルに偽りなし。

GACKTさんの勝ち方が書かれています。

この本を読んで、GACKTさんのような努力を続けることができれば成功します。

99%の人は途中で投げ出すと思いますが。

成功したい人は是非読んでください。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

何かを選択する時に、甘えはいらない。週に一度のトレーニングでも鍛えることはできるが、ポイントはそこじゃない。毎日継続するということが、精神の軸になる。『これだけやってんだから誰にも負けない』という自信になる。・・・嘘つきは信用できない。だから、自分に嘘をつかないためにも、一度決めたトレーニングは必ず毎日続ける。」(109頁)

トレーニングを継続している人なら、誰もが理解できる内容です。

途中で投げ出してしまう自分が嫌だから、どれだけ忙しくても、絶対に継続するのです。

忙しいのはみんな同じです。

忙しさを理由に途中で投げ出すような、そんな弱い自分になりたくないだけなのです。

仕事も勉強もトレーニングも、根っこはすべて同じであることを知っているのです。

途中で投げ出さず続けること。

ただそれだけです。

賃金175 賃金減額と将来請求の可否(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

43日目の栗坊トマト。順調に大きくなっています!

今日は、賃金減額に関して、将来請求及び一定の賃金の支払いを受ける地位の確認請求が認められた裁判例を見てみましょう。

キムラフーズ事件(福岡地裁平成31年4月15日・労経速2385号18頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に勤務するXが、Y社に対し、①平成29年5月支払分以降の月額賃金のうち、基本給について1万円、職務手当について5万円及び調整手当について1万円をそれぞれ減額されたことについて、上記賃金減額は労働契約法8条に違反し、また、Y社の給与決定に関する裁量権を逸脱したものであるから、無効であると主張して、(ア)月額賃金として基本給13万5000円、職務手当5万5000円及び調整手当8万0900円の支給を受ける労働契約上の地位にあることの確認を求めるとともに、(イ)平成29年5月支払分から労働契約終了時までの間の差額賃金の支払を求め、(2)平成27年夏季賞与から平成29年年末賞与までの各賞与額を不当に減額されたことにより、本来支給されるべき賞与額との差額分の損害を受けたとして、又は精神的苦痛を被ったとして、不法行為に基づく損害賠償金の支払を求め、(3)Y社代表者及びY社従業員からのパワーハラスメントにより精神的苦痛を受けたとして、労働契約上の就業環境配慮義務違反による債務不履行責任若しくは民法709条、会社法350条及び民法715条による不法行為責任に基づく損害賠償金+遅延損害金の支払をそれぞれ求める事案である。

【裁判所の判断】

1 Xが、Y社に対し、基本給として月額13万5000円、職務手当として月額5万5000円及び調整手当として月額8万0900円の支給を受ける労働契約上の地位にあることを確認する。

2 Y社は、Xに対し、平成29年5月からXとY社との間の労働契約が終了するまでの間、毎月10日限り7万円を支払え。

3 Y社は、Xに対し、20万円を支払え。

4 Y社は、Xに対し、50万円+遅延損害金を支払え。

5 Xのその余の請求をいずれも棄却する。

【判例のポイント】

1 本件賃金減額は、Xの同意なくされたものであることが認められ、また、Y社の就業規則及び給与規程には、懲戒処分としての減給の定めがあるほかは、降格や減給についての規定はなく、本件賃金減額は懲戒処分としてなされたものではないから、本件賃金減額は、就業規則等に基づく処分や変更としてなされたものであるとも認められない。

2 本判決確定後の将来請求分については、本件賃金減額が2回目の賃金減額であり、前件訴訟における和解成立からわずか半年余り後に行われたものであることや、Y社代表者が、本件訴訟の尋問において、たとえXの給料を元に戻すという判決が出ても、また減額する旨供述していることを考慮すると、今後もこのような賃金減額を継続する蓋然性はあると認められるから、あらかじめその請求をする必要があり、適法であると認める

3 賞与の支給及び算定が使用者の査定等を含む裁量にゆだねられていても、使用者はその決定権限を公正に行使すべきであり、裁量権を濫用することは許されず、使用者が公正に決定権限を行使することに対する労働者の期待は法的に保護されるべきであるから、使用者が正当な理由なく査定その他の決定を怠り、又は裁量権を濫用して労働者に不利な査定その他の決定をしたときは、労働者の期待権を侵害するものとして不法行為が成立し、労働者は損害賠償請求ができるというべきである。

4 製造部門に異動後のXの勤務成績やY社に対する貢献度は他の従業員と比べて必ずしも芳しくなかったことが認められる。
しかし、他方で、Xが製造部門に配転されてからそれほど期間が経過していないことに加え、配転前の営業担当時期のXに特段の問題行動や失敗があったことはうかがわれず、前記認定のとおり、上記配転がY社の経営判断として行われたことを考慮すると、Xの賞与を査定するに当たって、配転先の業務における作業の速度や成果等の勤務成績を大きく考慮することは、査定における公平を失するといわざるを得ない。そして、Y社が賞与の減額要素として主張する事情のうち、Y社の業績が良くなかったという事情については、他の正社員についても共通の事情であること、Xの勤務成績についても、前記のとおり作業速度や成果の点において芳しくないとしても、XにY社やその従業員に大きな損害を与えるような事故や失敗があったことは認められないことなども考慮すると、他方で、Xの給与及び賞与等を併せた年収額が、本件賃金減額及び本件賞与減額後においてもなおY社における他の正社員の各年収額を上回っているというY社における従業員全体の賃金の実情があることを斟酌しても、本件賞与減額のうち、少なくとも、Xが平成26年以前に支給された賞与の最低額の2分の1を下回り、かつ平成27年から29年までの間の他の正社員の賞与支給率のうちの最低の支給率をも下回った平成28年夏季賞与以降の賞与の査定については、これを正当化する事由を見出しがたいというべきである。
・・・以上によれば、Y社は、平成28年夏季賞与から平成29年年末賞与までのXの賞与については、裁量権を濫用して、これを殊更に減額する不公正な査定を行ったことが認められ、これは、Y社が査定権限を公正に行使することに対するXの期待件を侵害したものとして不法行為が成立するというべきである。

上記判例のポイント2は参考になりますね。

通常、将来請求までは認められませんが、このような事情があれば、裁判所は認めてくれるようです。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介961 売上を、減らそう。(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

営業時間はわずか3時間半。

どんなに売れても100食限定。

だから飲食店でも残業ゼロ。

こんなお店を実現している経営者の本です。

売上至上主義からの脱却を考えるいい本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・これは、国が定めた『国民が適切に働ける条件』です。それなら、この基準内で、そもそも就業時間内に利益を出せない商品とか企画ってダメじゃないですか。基準を大幅に超えて、従業員が必死に働いて維持している商品やサービスは、たとえ多くの人に支持されて、たくさん売れたとしても、『誰かが犠牲になっている』という事実は消せません。就業時間内に利益が出せない事業なんてやめてしまえばいい、と思います。」(168頁)

これからますます労働時間を削減するように求められます。

月100時間も残業しないと成り立たないような仕事は、もはや存在を許されなくなってきます。

今なお、長時間労働によるトラブルが後を絶ちませんが、そろそろ本気で働き方を変えることが求められています。

そのためには短い時間で利益を上げるような仕事のしかたに変えていくことを考えるしか道はありません。

時間ばかりかかって、利益はほんの少し。こんな仕事からは手を引くという決断が求められます。