不当労働行為242 団交拒否と救済の必要性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、組合員の定年後の再雇用条件に関する3回の団交後、労組の申し入れた団交に応じなかった会社の対応が不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ事件(東京都労委平成31年4月23日・労判1216号87頁)

【事案の概要】

本件は、組合員の定年後の再雇用条件に関する3回の団交後、労組の申し入れた団交に応じなかった会社の対応が不当労働行為にあたるかが争われた事案

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 組合は、表題こそ通知申入書としたものの、会社が団体交渉に応じたそれまでの要求書と全く同じ書式で、団体交渉の候補日を記載して応諾について回答を求めているのであるから、組合は会社に対して明確に団体交渉を申し入れているというべきである。ましてや、30年2月16日付通知申入書に回答や交渉を拒否した場合は直ちに争議行為を開始するなどとの記載があることからも、意向を尋ねたにすぎないという会社の主張は採用できない。
そして、組合が候補日を示して3回にわたり団体交渉を申し入れたことに対し、会社は、書面で団体交渉を行う必要がない旨を述べて、開催日については回答せず、団体交渉は開催されていないのであるから、会社は、団体交渉を拒否したものといわざるを得ない

2 会社は、本件申立て後の団体交渉の要求に誠実に応じたことなどから、救済の必要性等はないと主張する
確かに、会社は、本件申立て後、団体交渉に応じ、A2の月例給与を含む労働条件について協議し、業務用モニターの貸与及び資料提出を指導するようにとの組合の要求に対応していることが認められる。
しかし、団体交渉の開催が、A2の再雇用開始から4か月後である30年6月まで遅れたこと及び会社が団体交渉を拒否したとは本件結審日現在に至るまで一切認めていないことから、将来に向けて円滑な労使関係を築くための救済の必要性等が全く失われたものとはいえない

上記命令のポイント2は救済の必要性との関係で参考になりますので、理解しておきましょう。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。