Monthly Archives: 7月 2020

本の紹介1060 世界に何が起こっても自分を生ききる25の決断本(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

久しぶりの千田さんの本です。

人生は決断の連続であり、その決断如何によって人生が決まるという永遠の真理について書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

頭でわかっているのと行動に移せるのとではまるで違う。さらに、行動に移すだけでなく習慣化しなければ人生は変わらない。」(120頁)

ほとんどの人間は口先だけ。行動するだけでおのずと抜きん出る。」(123頁)

おそらく何千年も前から言われ続けてきた真実です。

行動し、習慣化できる人だけが結果を出せるという仕組みは未来永劫変わりません。

何も難しいことではありません。

不当労働行為246 労組法上の労働者性の判断方法(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、法人の会員である組合員は、法人との関係で労組法上の労働者に当たると断定できず、労組の申し入れた団交に応じない法人の対応が不当労働行為に当たらないとされた事案を見てみましょう。

公益社団法人富田林市シルバー人材センター事件(大阪府労委令和元年9月2日・労判1220号129頁)

【事案の概要】

本件は、法人の会員である組合員は、法人との関係で労組法上の労働者に当たると断定できず、労組の申し入れた団交に応じない法人の対応が不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 法人が、会員に対し、配分金を支払うに当たり、作業確認書の提出を求めて作業の完了を確認することは当然必要な手続であり、この事実のみをもって、C組合員が、法人に対して、広い意味で指揮監督の下に労務提供を行っていたと解することはできない。さらに、C組合員は、作業終了後は法人の了解を得ることなく帰っており、時間的に拘束されていたともいい難い

2 C組合員が、法人から独立した事業者性を有していたとは直ちには認められない。しかしながら、そのことが、C組合員の労働者性を積極的に肯定できるまでの事情ともいえない。
以上のとおり、C組合員は法人との関係で労働組合法上の労働者に当たると断定できない上に、29.12.9団交申入れも、8年以上も就業がなく、しかも5年半以上にわたり何らの問題提起もなされなかった事項に関するものであることを総合考慮すると、組合の29.12.9団交申入れに対する法人の対応は、正当な理由のない団交拒否とはいえず、本件申立ては棄却する。

上記命令のポイント2にあるとおり、かれこれ前の話について団交が申し立てられたものであり、相当難しいことは申立て前の段階で予想できます。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介1059 仕事ができる人の鬼インプット(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

著者は弁護士の方です。

いかに大量の情報を正確にインプットするか、という多くの人が頭を悩ませる問題について、著者の経験に基づく方法論が書かれています。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

試験の勉強において私が記憶について学んだことはたった一つ。シンプルなものだ。それは、『ひたすら繰り返すこと』である。」(186頁)

はい。そのとおり。

僕ら凡人が1度や2度黙読しただけで記憶できるなんて幻想は捨てましょう。

繰り返すこと、そして、続けること。

ただそれだけのことです。

やるべきことはシンプルです。

でも、やり続けられる人はほんの一握りです。

賃金192 退職手続不履行を理由に退職手当を支給しないのはアリ?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、就業規則所定の退職手続不履行を退職手当不支給事由とする定めが無効とされた裁判例を見てみましょう。

芝海事件(東京地裁令和元年10月17日・労経速2411号30頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であったXらがY社を退職したことに関し、Xらが、Y社に対し、労使慣行により自己都合退職の場合でも定年退職の場合と同額の退職手当が支払われるべきである、そうでないとしても自己都合退職の場合には給与規定によって定年退職の場合の6割相当額の退職手当が支払われるべきである旨主張して、労働契約に基づく退職手当及びこれに対する民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、X1:323万8227円、X2:307万9210円、X3:315万8883円、X4:302万5500円、X5:233万2925円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 就業規則54条は退職しようとするときはY社の同意を得なければならない旨定めるところ、この規定にかかわらず辞職の意思表示がY社に到達すれば雇用契約終了の効果が生ずるのであるから(民法627条1項)、就業規則54条の退職手続をしなかったことを退職手当の不支給事由と定めても直接的に退職の自由が制限されるものとはいい難い。
しかしながら、Y社の給与規程上、退職手当の額は、定年退職の場合と自己都合退職の場合とで異なるものの、勤続年数に概ね比例するように定められていることに照らすと、Y社における退職手当は功労報償的な性格を有するのみならず、賃金の後払い的性格を有するものであるということができる。このような退職手当の性格に鑑みると、就業規則54条に定める退職手続によらないということのみを退職手当の不支給事由とすることは、労働条件として合理性を欠くものというほかない(労働契約法7条参照)。
したがって、給与規程12条1号ただし書のうち就業規則54条の退職手続をしなかったことを退職手当の不支給事由とする部分は無効である。

2 これに対し、Y社は、本件不支給規定部分は、就業規則54条の趣旨が従業員の退職に伴って引継ぎや人員補充の必要性が生ずることから、退職する従業員とY社とが相互に協力して円満に退職することを促進することにあることを受けて規定されたものである旨主張するが、そのような趣旨自体に合理性があるとしても、給与規程12条1号ただし書は従業員の退職によって生ずるY社の不利益等の有無や程度にかかわらず形式的に就業規則54条の退職手続によらないことのみを退職手当の不支給事由とする点において、合理性を欠くというべきである。

Y社の狙いは十分理解できますが、実際のところ、なかなか難しいところです。

目的のみならず手段の合理性・相当性についても十分検討する必要があるということです。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介1058 プロティアン(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

サブタイトルは「70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術」です。

ちなみに「プロティアン」とは「神プロテウスが自在に姿を変えた」ことに由来します。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

生涯年収の格差は、日頃の行動習慣の総体的な蓄積から生まれています。例えば、テクノロジーが発達した現代社会では、誰もがいつでもどこでも学べる時代です。学びを深めながら働く人と、目の前の仕事をただこなすだけの人。この両者の間には、明確な行動格差が存在します。」(159頁)

プロティアン・キャリアを構築するうえで何よりも重要なのは、自分に対する投資の戦略と、長期的な計画を練り上げていくことです。」(174頁)

生涯年収に限らず、人生そのものが、日頃の行動習慣の総体的な蓄積から成り立っています。

日頃、どのような行動習慣があり、何を継続するかによってすべてが決まります。

これは疑う余地のない真実です。

人が休んでいるときに自分の価値を高める努力を続けてきたかどうか。

ただそれだけの話です。

労働災害104 長時間労働と労災(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、労働者の自殺につき業務起因性を否定した原審の判断が覆された事案を見てみましょう。

青森三菱ふそう自動車販売事件(仙台高裁令和2年1月28日・労経速2411号3頁)

【事案の概要】

本件は、Aらが、子でありY社の従業員であった亡Xが違法な長時間労働等により精神疾患を発症して自殺したとして、Y社に対し、使用者責任、不法行為又は債務不履行に基づき、損害賠償及び亡Xが自殺を図った日を起算日とする民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

原審が、Aらの請求をいずれも棄却したところ、Aらは、控訴を提起した。

【裁判所の判断】

原判決を取り消す。

Y社は、A1に対し、3681万3651円+遅延損害金を支払え

Y社は、A2に対し、3678万0062円+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 亡Xは、平成28年1月上旬頃、それまでのY社八戸営業所における業務に起因して適応障害を発症したところ、その後も長時間労働が続き(平成28年1月上旬以降の労働時間についても、それまでの時期と異なる認定をすべき事情は見当たらず、むしろ、同年3月は繁忙な決算月として、他の月よりも長時間の労働を余儀なくされたと推認することができる。)、出来事に対する心因性の反応が強くなっていた中、同年4月16日、先輩従業員であるCから叱責されたことに過敏に反応して自殺を図るに至ったと認めることができる。

2 亡Xが適応障害を発症して自殺を図るに至ったことについては、Y社八戸営業所の長であるG所長及び亡Xの上司であるE課長代理において、亡Xに業務上の役割・地位の変化及び仕事量・質の大きな変化があって、その心理的負荷に特別な配慮を要すべきであったところ、亡Xの過重な長時間労働の実態を知り、又は知り得るべきであったのに、かえって、従業員が実労働時間を圧縮して申告しなければならない労働環境を作出するなどして、これを軽減しなかったことに要因があるということができ、G所長らには亡Xの指導監督者としての安全配慮義務に違反した過失がある。そうすると、Y社は、使用者責任に基づき、Aらに対し、亡Xの死亡につき同人及びAらが被った損害を賠償すべき責任がある。

長時間労働が原因となった労災は、パワハラ等と比べて、業務起因性や素因減額を争いにくいですね。会社によって繁忙期があるのはよくわかりますし、労働力不足も重なって、どうしても長時間労働になりがちです。

会社としては、労働時間を短縮するために、サービス内容を再定義するなど、できることをやっていくしかありません。

日頃から顧問弁護士に相談しながら、適切に労務管理をすることが大切です。

本の紹介1057 劣化するオッサン社会の処方箋(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

サブタイトルは「なぜ一流は三流に牛耳られるのか」です(笑)

劣化しないようにがんばりまーす。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・ひるがえって、現在の日本のオッサンたちはどうでしょうか。ほとんどの人は理想もなく、ダラダラとただ昨日までの日常の延長線上を家畜のように生きているだけでしょう。・・・『現在挑戦していることはなにか』と問えば、30秒とて語れない人がほとんどのはずです。こんなことを数十年にわたって続けていれば、知的パフォーマンスが低下するのは当たり前のことです。」(145~146頁)

日常の延長線上を家畜のように生きているだけ・・・すごい言われよう(笑)

毎日、やりたいことをやりたいようにやって生きているので、こういうことを言われても完全に他人事ですが、基本的に世の中のオッサンに対する評価はこんなものでしょう。

人生は一度きりで、かつ、とても短いです。いつ終わるかわからないし、どちらにしてもあっという間に終わってしまいます。

嫌なことを我慢する人生を何十年と送るなんて、もう考えただけ気絶しそうです。

いろんな重い荷物を背負っているとそうもいかないかもしれませんが、自分の人生なのですから生きたいように生きればいいのです。

賃金191 PCログ記録から労働時間を認定?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、残業を月30時間以内とする指導の事実を考慮し、PCログ記録を根拠に労働時間が認定された事案を見てみましょう。

大作商事事件(東京地裁令和元年6月28日・労経速2409号3頁)

【事案の概要】

本訴請求事件は、Y社の従業員として稼働していたXが、在職期間中、時間外・深夜労働に従事していたとして、Y社に対し、労働契約に基づき、時間外労働等に係る割増賃金+遅延損害金、付加金の支払を求めた事案である。

反訴請求事件は、Y社が、Xにおいて、在職中、遅刻をしていたのに給与を不正に取得していたなどとして、Xに対し、不法行為又は不当利得に基づき、損害金又は不当利得金78万9577円+遅延損害金の支払を求めるとともに、Xが在職中、不正な出勤簿を作成し、不正なパソコンのログデータを作成し、挙句、不正な本訴請求に及んだことが不法行為又は債務不履行に該当するとして、Xに対し、不法行為又は債務不履行に基づき、損害金712万4040円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

Y社はXに対し、139万8751円+遅延損害金を支払え

Y社はXに対し、付加金50万円+遅延損害金を支払え

Y社の反訴請求は棄却

【判例のポイント】

1 Xは、X主張を裏付ける証拠として、自身が利用していたパソコンから抽出した記録であるというログ記録を提出している。その内容は概ね別紙4記載のとおりであって、これによれば、Xが出勤簿記載の労働時間よりも長く業務に従事していた可能性があるとみることができる。
よって検討するに、X本人は、出勤簿を作成するほかログ記録を残していた理由について、要旨、残業実績が出勤簿記載の労働実績より実際には多かったため、念のため残しておいた旨の供述をしている、かかる供述内容自体に特段不自然な点は見出されず、その抽出方法も、他の証拠に照らし、自然なものとして首肯することができる
この点、Y社は、ログイン・ログアウトを人為的に行った記録を特定することは困難であるとの意見書を提出し、ログ記録について争うが、上記甲号証に照らせば、少なくとも使用していたパソコンのWindowsの起動と正常シャットダウンの日時の特定に妨げないものとはいえる。
また、Xは、Y社において本件業務に当たってきたものであるところ、その業務の性質上、パソコンを多く利用する業務であったことは前記認定のとおりである。しかも、Xの供述によればもちろん、証人Bの証言によっても、パソコンを利用するのは、基本的には当該パソコンを割り当てられた個々の従業員であったものである。この点、証人Bの証言中には、他の従業員がXのパソコンを使用することもあったという趣旨の供述部分はあるが、B自身も頻繁にはないとしている上、具体的な頻度について自発的に明確な供述をできておらず、その供述を裏付ける証拠もないから、その証言はたやすく採用できない。しかも、前記認定のとおり、Y社においては週初めの午前8時30分から朝礼が行われていたところ、ログ記録は、内容的にもこうした事実に多く沿っているとみることができるほか、グループウェアのタイムカード記録(出勤記録)との齟齬もほぼ認められず、むしろ、ごくごく断片的証拠ではあっても、Y社の業務に係る画像データや動画データの更新日時との符合も認められる。なお、Y社は、これらデータにつき、更新日時を変更することが可能で信用性がないなどとも主張しているが、そのように改変がなされたと見るべき形跡は認められない。

2 Y社は、X本人が、本人尋問において、新人研修の際にY社従業員のCから月当たりの残業時間を30時間以内としなければならない旨の指導を受けたなどと供述していることをとらえて、そのような事実はなく、その旨述べるX本人の供述は不自然であるなどと主張する。確かに、証人Cは、月30時間を超える残業時間を記載することを禁ずる指導をしたことを否定する証言をしており、他にそのような指導がなされたことを裏付ける的確な証拠もなく、かえって、Y社の従業員の中には月30時間を超える残業時間を申告していた者がいると認められることは前記認定のとおりである。
しかしながら、X申告の出勤簿の残業時間をみると、月当たり30時間未満とされている月も散見されるものの、どの月も30時間を超えることはなく、多くは寸分違わず30時間と申告されているところであって、このこと自体、Xが、実際の労働時間いかんにかかわらず、月30時間以内に残業時間をとどめようとしていたことを強く窺わせるものといえる。そして、証人Bや同Cも、業務の効率的遂行といった観点から、個々の従業員の月当たりの残業時間が30時間以内となるよう指導していたこと自体は否定をしていない。そうしてみると、Xがこうした指導故に出勤簿記載の残業時間を多くとも30時間にとどめることとしていたと推認するのが合理的というべきであって、X本人の供述は同旨を述べるものとしてむしろ首肯することができる。
したがって、Y社指摘の点は、上記説示の点においてXの供述の信用性を高めこそすれ、その信用性を損なうものということはできない

残業時間を一定限度に制限するよう指導することはよくあることですが、ただ指導するだけでは足りず、当該指導に従わない従業員に対する労務管理を行わないと、結局、指導が有名無実化してしまいます。

残業代請求訴訟は今後も増加しておくことは明白です。素人判断でいろんな制度を運用しますと、後でえらいことになります。必ず顧問弁護士に相談をしながら対応しましょう。

本の紹介1056 スマホ人生戦略(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

堀江さんの本です。

もうパソコンは使わず、スマホだけで仕事しているということです。

これまでの本の寄せ集めのような内容です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

質・量ともに高い情報が大量に流布している現在、時間をかけて学びを得るという態度では、他人に後れを取ることにもなる。場合によっては、ステップアップのチャンスを逃すこともある。『急がば回れ』は間違いだ。正しくは、『考えながら急いで回れ』だ。ツールを駆使して、すべての時間コストを圧縮する。」(160~161頁)

仕事等が遅い人は、能力の問題と捉えるのではなく、やり方を変えることをおすすめします。

当然のことながら、能力の問題が9割なのですが、それを言っても始まらないので、方法論として捉えるのです。

自己流の遅いやり方に固執せず、仕事でも勉強でも、成果を上げている人のやり方をまねしてみるのです。

文章を読むスピード、書くスピード、調べるスピードを可能な限り上げる。

本来必要のないアイドリングタイムをなくす。

そして止まらず、流れるように仕事をする。

普通の人の数倍の速さで時間が流れているかのように次々と事を進めていく。

そんな習慣ができると劇的に効率が上がり、どんどん結果が出るようになります。

 

継続雇用制度30 懲戒処分歴を理由とした定年後再雇用拒否(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、懲戒処分歴を理由とした定年後再雇用拒否を無効とした原判決が維持された事案を見てみましょう。

学校法人Y学園事件(名古屋高裁令和2年1月23日・労経速2409号26頁)

【事案の概要】

本件は、Y社が設置するY大学の教授であり、平成29年3月31日をもって定年に達したXが、Y社に対し、(1)Y社による再雇用を希望する旨の意思表示を拒否する旨のXの意思表示が正当な理由を欠き無効であって、Y社との間で再雇用契約が成立していると主張して、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、(2)当該雇用契約に基づき、同年4月1日から上記地位確認の判決確定日又は令和2年3月31日のいずれか先に到来する日までの間、毎月末日限り、賃金月額75万5040円の支払を求め、(3)無効な懲戒処分・再雇用の拒否によって精神的苦痛を被ったとして主張して、不法行為に基づき、慰謝料500万円の支払を求める事案である。

原審が、Xの地位確認請求を認めるとともに、賃金支払請求を月額63万0700円の限度で、慰謝料請求を50万円の限度で、それぞれ認めたところ、Y社が控訴し、Xが附帯控訴した。

【裁判所の判断】

控訴・附帯控訴いずれも棄却

【判例のポイント】

1 Y社は、本件処分は純然たる大学内部の問題として一般市民法秩序と直接の関係を有するものではないから、司法審査は及ばず、仮に、本件処分の当否が司法審査の対象になるとしても、懲戒権者であるY社の所定機関の合理的な裁量に委ねられるべき旨主張する。
しかしながら、Xの請求は、本件処分が無効であることを前提に、雇用契約上の地位を有することの確認、同契約に基づく賃金支払及び不法行為に基づく損害賠償を求めるものであるから、民法、労働契約法等で規律される法律関係及び権利に関するものとして一般市民法秩序に直接の関係を有し、Xの単なる内部規律の問題にとどまらないことは明らかである。

2 Y社は、平成29年度の再任用が認められなかったことにより、Y大学名誉教授の称号が授与されることもなくなった旨主張する。しかしながら、本件処分が無効であって、Xについて再任用規程3条3号の欠格事由がなく、定年後も再任用規程に基づき再雇用されたのと同様の雇用関係が存続していることは、上記に判示したとおりであるから、Xに対してY大学名誉教授の称号が授与されるかどうかは、本判決確定後にXにおいて判断されるべきものであり、現時点において、上記称号の可能性の有無を慰謝料額算定の要素として考慮するのは相当でないというべきである。

上記判例のポイント1は大学等の紛争の際に登場する論点ですが、まず認められません。

高年法関連の紛争は、今後ますます増えてくることが予想されます。日頃から顧問弁護士に相談の上、慎重に対応することをお勧めいたします。