Daily Archives: 2020年10月5日

不当労働行為250 有期雇用の組合員を雇止めにしたことの不当労働行為該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、有期雇用契約の組合員を期間満了を理由に雇止めにしたことが不当労働行為に当たらないとされた事案を見てみましょう。

双葉産業事件(大阪府労委令和2年2月10日・労判1222号135頁)

【事案の概要】

本件は、有期雇用契約の組合員を期間満了を理由に雇止めにしたことが不当労働行為に当たるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 確かに、30.2.8面談の内容は、組合脱退勧奨ととられても仕方のないものであり、また、社長ではないとしても、それ以外の会社関係者がY氏に何らかの依頼をした疑いもぬぐい切れないとはいえ、Y氏自身や会社がそれを否定している状況において、会社の指示によるものと明確に認めることまではできない。
もっとも、Y氏に組合との対応について知恵を貸してほしいと依頼したのは会社であり、また、30.2.8面談の際、Y氏がX組合員に話してもよいかと許しを求めた際に、社長は「大丈夫です」としてそれを許しているのだから、30.2.8面談におけるY氏の言動に対して、会社にも一定の責任があるというべきであるが、そのことから、会社が組合を嫌悪していたとまで認めることはできない

2 会社は、組合と事前協議合意に関する協定を結んでおきながら、組合と協議することなく、本件雇止め通告を行ったといえ、会社が本件雇止めを行うまでに30.3.9団交及び30.3.16団交を行ったことなどを考慮しても、会社の対応は、事前協議合意に関する協定である29.6.1協定書を軽視した行動であるといえる。
しかしながら、①本件雇止め通告の際、社長はX組合員に、アルバイトでもいいのであればと、引き続き会社での就労を容認する発言を行ったこと、②会社はX組合員だけでなく、同組合員より勤務期間の長い非組合員2名も併せて雇止めとしていることが認められ、これらの事実と前記の判断を併せ考えると、X組合員が組合員であることを理由に雇止めとなったとまで認めるに足る疎明はないと言わざるを得ない。

ぎりぎりの判断ですが、組合員のみならず、非組合員も併せて雇止めとしている点等が影響し、不当労働行為性が否定されています。

もっとも、この雇止めの有効性については別途問題になります。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。