不当労働行為251 組合と協議せず、合理的理由なく既得権益を奪う行為の不当労働行為該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、労組に対する平成29年4月3日付で組合ニュースの教職員用メールボックスへの投函を禁止したことが不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

学校法人名古屋自由学院事件(愛知県労委平成31年3月8日・労判1222号138頁)

【事案の概要】

本件は、労組に対する平成29年4月3日付で組合ニュースの教職員用メールボックスへの投函を禁止したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 組合ニュースの内容は組合の組合員を含む教職員の労働条件及び処遇に直接関係するもの及び何らかの形で影響を与えると考えられるもの並びに一般的な組合活動に関するものであるといえ、組合ニュースの表現は個人及び学院の運営に関するひぼう中傷とまではいえず、また、A執行委員長に対する中傷ビラがメールボックスに投函され、組合から調査を求められたことを施設管理規程ないし経理規則を厳格に適用するようになった契機ということもできないことから、施設管理規程ないし経理規則を厳格に適用したことに正当な理由がある旨の学院の主張には合理的な理由が採用できない

2 以上より、学院が組合による組合ニュースのメールボックスへの投函を禁止したことは、長年にわたり許容し、容認してきた取扱いを大きく変更し、その取扱いに一方的な制限を加えようとするもので、組合活動に大幅な不便や不利益を生じさせるものであるにもかかわらず、学院は、事前にその取扱いの変更について組合と協議を尽くさず、また、合理的な理由もなく当該行為を行ったものであって、さらに、学院の当該行為が、組合と学院との関係が相当悪化していた時期に行われたことに鑑みれば、組合の組合活動を制限することを意図した支配介入であるというべきである。

既得権益を侵害する対応は、合理的理由がしっかり説明できないと、本件のように不当労働行為と判断されますのでご注意ください。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。