Category Archives: 管理監督者

管理監督者42(日産自動車事件)

おはようございます。

今日は、労働時間の裁量と管理監督者該当性に関する裁判例を見てみましょう。

日産自動車事件(横浜地裁平成31年3月26日・労判ジャーナル88号26頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の課長職を務めていた亡Xの妻が、Xの死亡によりその賃金請求権の3分の2を相続したとして、Y社に対し、雇用契約による賃金請求権に基づき、平成26年9月から平成28年3月までの時間外労働分につき、労働基準法上の割増率による割増賃金約525万円等並びに労働基準法114条の付加金支払請求権に基づき、未払時間外割増賃金と同額の付加金等の支払を求めた事例である。

【裁判所の判断】

管理監督者に該当しない
→請求の一部認容

付加金等支払請求は棄却

【判例のポイント】

1 D部に配属されていた当時のXのその他の職責及び権限を考慮しても、その当時のXが、実質的に経営者と一体的な立場にあるといえるだけの重要な職責及び権限を付与されていたとは認められず、また、N部に配属されていた当時のXのその他の職責及び権限を考慮しても、その当時のXが、実質的に経営者と一体的な立場にあるといえるだけの重要な職責及び権限を付与されていたとは認められず、Xは、自己の労働時間について裁量があり、管理監督者にふさわしい待遇がなされているものの、実質的に経営者と一体的な立場にあるといえるだけの重要な職責と責任、権限を付与されているとは認められないから、Xが、管理監督者に該当するとは認められない。

2 Y社が、割増賃金を支払わなかったのは、Xを管理監督者と認識していたためであるところ、Xは、結果として管理監督者とは認められないものの、間接的とはいえ経営意思の形成に影響する職責及び権限を有し、自己の労働時間について裁量も有しており、管理監督者にふさわしい待遇を受けていたことからすれば、Y社がXを管理監督者に該当すると認識したことに、相応の理由があるというべきであり、Y社がX及びXの妻に割増賃金を支払わなかったことについて、その態様が悪質であるということはできないから、本件において、Y社に付加金の支払を命じるのは相当でない

管理監督者の制度運用はもうあきらめたほうがいいかもしれませんね。

要件が厳しすぎてほとんど認められる余地がありません。

管理監督者41(日比谷Bar事件)

おはようございます。 今週も1週間がんばりましょう。

今日は、バーの店長の管理監督者性に関する裁判例を見てみましょう。

日比谷Bar事件(東京地裁平成30年9月28日・労判ジャーナル84号40頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で雇用契約を締結していたXが、Y社に対し、時間外労働に従事していたと主張して、雇用契約に基づく賃金支払請求として約437万円等の支払を求めるとともに、労働基準法114条に基づく付加金請求として約421万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

Xは管理監督者に該当しない

【判例のポイント】

1 Xには本件店舗の従業員のシフト作成、アルバイトの本件店舗への配属にかかる面接、本件店舗の予算案の作成、PLの作成といった本件店舗の労務管理に直接ないし間接に関わる職責を果たしている点があるものの、アルバイトの採否自体の判断はXが基本的に関与することはなくY社において行われているなど、アルバイト等の採用、解雇等に関する実質的な権限がXに存するとまでは評価できず、また、本件店舗におけるXの具体的な労務内容が必ずしも明らかではなく、他の従業員とは異なりもっぱら労務管理に関する業務に従事していたとは認められず、さらに、Xの賃金が他の従業員と比較して管理監督者としての職責に見合う程度有意に高額であったことを認めるに足りる証拠もなく、かえって、店長を含めた出勤表が存在することからすれば、店長も他の従業員と同様の業務に従事していたことが推認される上、Xの賃金額は基本給が21万円、店舗管理給等の諸手当を含めても24万5000円ないし25万円とさほど高額であるとは認められず、以上の点を総合考慮すると、Xが労働基準法41条2号の管理監督者に該当するものとは評価できない。

従業員の採用、解雇等に関する実質的な権限の有無が重要な考慮要素となると、世の中の多くの管理職は管理監督者ではないことになります。

だからこそ、多くの裁判で管理監督者性は否定されているわけです。

管理監督者40(コナミスポーツクラブ事件)

おはようございます。

今日は、スポーツクラブ支店長の管理監督者性に関する裁判例を見てみましょう。

コナミスポーツクラブ事件(東京高裁平成30年11月22日・労判ジャーナル84号24頁)

【事案の概要】

本件は、会員制のスポーツクラブを運営するY社の元従業員X(支店長職又はマネージャー職)が、Y社に対し、時間外労働、休日労働及び深夜労働に対する割増賃金(割増手当)合計約317万円等の支払を求めるとともに、労働基準法114条所定の付加金として割増賃金と同額の支払を求めたのに対し、Y社が、Xは労働基準法41条2号に定める管理監督者に該当し、時間外労働及び休日労働に対する割増賃金請求権は発生しないなどと主張して争った事案である。

原判決は、Xは、管理監督者に該当しないとして、Xの請求を、割増賃金につき約312万円等の支払、付加金につき90万円等の支払を求める限度で認容した。

Y社が控訴し、Xが付帯控訴した。

【裁判所の判断】

控訴棄却

【判例のポイント】

1 Y社は、XがM2級からM3級に昇格してSM職層になって更に支店長に昇進することで月額9万円の増額となるところ、Xの残業時間が1月当たり約37時間にとどまる限り、支店長昇進前の時間外割増賃金相当分と大差ないことから、管理監督者に相当する処遇を受けていたと評価されるべきであると主張するが、そもそもXが本件請求期間中に支店長であった期間の1か月平均の時間外労働時間数は41時間11分であって、上記の約37時間を超えているのであり、支店長の広範な職責を踏まえると、管理監督者としての地位にふさわしい待遇がされていたと認めることはできないこと等から、Xの職責や権限、勤務態様や待遇等に照らせば、Xが労働基準法41条2号に定める管理監督者の地位にあったと認めることはできない。

2 Xは、Xが労働基準法上の管理監督者に該当しない場合には、労働基準法12条によりY社の給与規程22条及び23条が適用される旨主張するが、労働契約法12条は労働契約が就業規則に違反する場合に無効部分については就業規則によるというものであるが、本件はY社の就業規則が労働基準法に反するものであるから、労働基準法13条により無効部分については労働基準法によることになり、当事者の合理的意思解釈としてもそのように解すべきであることは原判決が説示するところである。

ファストフードの店長やスポーツクラブの支店長ですら管理監督者に該当しないわけですから、一般的な会社の部長クラスを管理監督者と考えることはもはやあきらめたほうがいいでしょう。

管理監督者39(MUKU事件)

おはようございます。

今日は、管理監督者の該当性に関する裁判例を見てみましょう。

MUKU事件(大阪地裁平成30年7月20日・労判ジャーナル81号32頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、Y社に対し、労働基準法37条に基づき、平成27年3月から平成29年2月まで毎月20日を支払期日とする割増賃金合計約398万円等の支払を求めるとともに、労働基準法114条に基づく付加金として約379万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

一部認容

【判例のポイント】

1 アルバイトや正社員の採否や昇給等の最終的な決定は、全てY社代表者が行っていたというのであるから、Xが行った募集媒体の提案等は、実質的に経営者と一体的な立場にあるといえるだけの職務及び権限とは認められず、また、Xは、自らを含む本件店舗の従業員のシフト表を作成し、自らもこのシフト表のとおりに勤務していたことが認められるが、Xによるシフト表の作成方法は、Xが本件店舗の店長に就任した平成28年2月以降も、Xの拘束時間が相当長時間に及んでいることに照らせば、Xが自分の都合に合わせてシフト表を作成することができる状況にあったとは認められないから、Xは、本件店舗の店長に就任後、自己の労働時間についての裁量を有していたとは認められず、そして、店長就任後のXの給与の額が、管理監督者の地位にふさわしいものであると評価することはできないこと等から、本件店舗の店長に就任した後のXが、実質的に経営者と一体的な立場にあるとはいえず、労働基準法41条2号所定の管理監督者に当たるということはできない

今は昔の論点です。

本件でも管理監督者性は否定されています。

管理監督者38(エルライン事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、経営に関する権限を相当程度有した労働者の管理監督者性に関する裁判例を見てみましょう。

エルライン事件(大阪地裁平成30年2月2日・労判ジャーナル74号54頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員Xが、Y社に対し、平成25年12月16日から平成28年6月15日までの時間外労働、法定休日労働及び深夜労働に係る割増賃金合計951万1420円等の支払並びに労働基準法114条所定の付加金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

管理監督者には当たらない。

【判例のポイント】

1 Xについては、担当するグループの経営に関する権限を相当程度有し、それなりに高額な賃金を支給されるなど、管理監督者性を肯定する要素も認められるものの、その権限には一定の制約があった上、業務命令により容易に覆されるものであったことも踏まえると、Xが実質的に経営者と一体的な立場にあったとまでいうことはできず、出退勤の自由や待遇の点からみても、労基法上の労働時間等に関する規制による保護が不要であるということはできないから、Xが管理監督者に該当すると認めることはできない。

2 Y社は、Xが管理監督者であると認識して時間外手当等の支給対象外としていたものと認められるところ、Y社の法令解釈は結論として誤っていたといわざるを得ないが、Xの管理監督者性を肯定する要素も一定程度認められ、また、仮にXが管理監督者に該当するとしても、Y社は深夜労働に対する割増賃金の支払義務は免れないところ、本件においては、Xに対し、深夜労働に対する割増賃金の額を超える月額3万円の固定残業手当が支給されていることから、Y社が、Xは管理監督者に該当すると認識し、Xに対する割増賃金を支払わなかったことにも相当の理由があったと認められ、Y社による不払の対応が悪質であったということはできないから、本件において、Y社に対し付加金の支払を命ずるのは相当でない

なかなか管理監督者性のハードルは高いのです。

また、上記判例のポイント2に書かれているように、管理監督者に該当する場合でも、深夜労働に対する割増賃金は支払う必要がありますのでご注意ください。

管理監督者37(プレナス(ほっともっと元店長B)事件

おはようございます。

今日は、弁当チェーン店元店長の管理監督者性と割増賃金等請求に関する事案を見てみましょう。

プレナス(ほっともっと元店長B)事件(大分地裁平成29年3月30日・労判1158号32頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員であり、平成26年8月5日にY社を退職したXが、Y社に対し、時間外労働の賃金及び寮費相当額として控除されてきた賃金部分+遅延損害金、付加金+遅延損害金、慰謝料50万円+遅延損害金の支払いを求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、Xに対し、1011万4971円+内953万3480円に対する遅延損害金(6%)を支払え

その余の請求はいずれも棄却

【判例のポイント】

1 Xは、その職務内容、責任と権限、勤務態様及び賃金等の待遇などの実態からすれば、労働時間、休憩及び休日に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない重要な職務と責任を有するとも、現実の勤務態度が労働時間等の規制になじまないような立場にあるともいえないから、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者、すなわち管理監督者に該当するとは認められない。 

2 本件では、Xの時間外労働の割増賃金支払義務の前提問題として、Xの管理監督者該当性が主要な争点として争われているところ、この点に関する当事者双方の主張内容や事実関係のほか、栃木労基署はY社に対し是正勧告を行ったものの、Y社から管理監督者に該当する旨の報告書が提出されて以降特段の手続が取られていないことなどに照らせば、Y社がXの割増賃金の支払義務を争うことには合理的な理由がないとはいえないというべきである。
したがって、未払賃金に対する遅延損害金については、商事法定利率によるべきである。

3 Y社は、Xに対し、労基法37条の定める時間外割増賃金及び休日割増賃金の支払義務を怠っているものといえるが、当事者双方の主張内容や事実関係、その後の訴訟経過に照らせば、Y社に対し、付加金という制裁を課すことが相当とはいえない

管理監督者性に関しては、上記判例のポイント1のとおり、箸にも棒にもかからない感じですが、この争点の裏の意味としては、上記判例のポイント3のとおり、付加金を抑えるということが挙げられます。

うまくいくときといかないときがありますが。

あと、上記判例のポイント2についても、14.6%になっていない点で参考になります。

管理監督者36(穂波事件)

おはようございます。

今日は、飲食店店長の監理監督者性と固定残業代に関する裁判例を見てみましょう。

穂波事件(岐阜地裁平成27年10月22日・労判1127号29頁)

【事案の概要】

本件は、平成20年7月からY社に勤務しているXが、Y社に対し、平成23年9月分ないし平成25年9月分の未払の時間外・休日・深夜割増賃金282万1547円があると主張して、同金員及びこれに対する遅延損害金を請求するとともに、労基法114条に基づいて、同額の付加金及び遅延損害金の支払を請求した事案である。

【裁判所の判断】

Y社はXに対し282万1547円+遅延損害金を支払え。

Y社はXに対し227万8089円の付加金+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 Xは、Y社の「店長」として勤務しており、担当店舗に勤務するパート等従業員の採用、給料、昇給等について一定の権限を有しており、毎月のシフト割などを決めるほか、担当店舗の金銭の管理、食材の発注量の決定、店舗の什器備品の購入について一定の範囲の権限があったことが認められる。
しかしながら、他方で、当該店舗の営業時間を変更することはできず、パート等従業員の給料や、昇給等についても一定の枠の範囲内での権限であった上、Xに与えられていた権限は、担当店舗に関する事項に限られていて、Y社の経営全体について、Xが、決定に関与することがなされていたとは認められないのであって、企業経営上の必要から経営者との一体的な立場において、労基法所定の労働時間等の枠を超えて事業活動することを要請されてもやむを得ないといえるような重要な職務と権限を付与されていたということは困難である

2 また、その勤務態様についても、タイムカードを打刻することが求められ、出退勤について監理されていた上、店長が担当店舗の営業日や営業時間を自ら決定する権限はなく、休むためにはアシスト等代行者を確保する必要があったというのであるから、Xは、実質的には、自らの労働時間を自由に決定することはできないものであった。
さらに、Xの収入が、賃金センサスによる平均賃金を上回っていたとしても、Y社において、店長が賃金面で、他の一般労働者に比べて優遇措置が取られていたとは認められない
以上を総合すると、Xが労基法の41条2号の監理監督者に該当すると認めることはできないというべきである。

3 Xは、少なくとも、平成25年1月7日以降は、管理職手当(管理固定残業)として毎月10万円支給されているものが、みなし残業手当83時間相当として支給されていることを認識していたと認められる。
しかしながら、上記の83時間の残業は、36協定で定めることのできる労働時間の上限の月45時間の2倍に近い長時間であり、しかも、「朝9時半以前及び、各店舗の閉店時刻以後に発生するかもしれない時間外労働に対しての残業手当」とされていることを勘案すると、相当な長時間労働を強いる根拠となるものであって、公序良俗に違反するといわざるを得ず、これがXとY社との間で合意されたということはできない
また、他方、Y社が本件において、店舗開店前や、閉店時刻以後の残業はあまり考えられないと主張していることなどに照らすと、「朝9時半以前及び、各店舗の閉店時刻以後に発生するかもしれない時間外労働」が、月83時間も発生することはそもそも想定しがたいものであったと言わざるを得ず、その意味でも、これをXとY社との間の労働契約において合意がなされたということはできない。
よって、管理者手当(管理固定残業)は時間外労働に対する手当として扱うべきではなく、月によって定められた賃金として、時間外労働等の割増賃金の基礎とすべきである。

管理監督者性と固定残業代が争点となっています。

いずれももはや昔の論点といえます。

近くに「社長、これだと裁判、100%負けますよ・・・」とアドバイスしてあげる弁護士や社労士がいたらよかったのに・・・と思ってしまいます(実際にはアドバイスをしても聞く耳を持たない経営者もおりますが)。

固定残業制度を導入する場合には、ちゃんとやらないと、基礎賃金が増えてしまうので、余計に多くの残業代を支払うことになってしまうことをまずは理解すべきです。

管理監督者35(新富士商事事件)

おはようございます。

今日は、退職した元営業所長の管理監督者性と割増賃金等請求についての裁判例を見てみましょう。

新富士商事事件(大阪地裁平成25年12月20日・労判1094号77頁)

【事案の概要】

本件は、自動車オークション会場における車両の移動等の業務を請け負っている株式会社であるY社との間で労働契約を締結し、営業所長として勤務していたXが、時間外および深夜割増賃金の支払いを受けていないとともに、一方的に賃金を減額して支給されたと主張して、Y社に対し、上記労働契約に基づき、時間外および深夜割増賃金ならびに遅延損害金の支払いを求めるとともに、不当利得に基づき、減額された賃金相当額の不当利得金及び遅延損害金の支払いを求めた事案である。

Y社は、Xが管理監督者に該当すると主張して、時間外割増賃金の支払義務を争っている。

【裁判所の判断】

管理監督者性を否定
→433万8618円の支払いを命じた

賃金減額分の13万4000円の支払いも命じた

【判例のポイント】

1 Xの職務内容及び権限についてみるに、Y社が行っている事業としては本件業務しか存在せず、本件業務の遂行に当たり、アルバイト従業員に対する業務の割当て、業務内容の指示及び出退勤時間の指定等に加え、A社との間の業務遂行上の調整等も、専らXの権限とされていたことが認められるから、Xは、本件業務の現場における責任者の地位にあり、アルバイト従業員の労務管理上の決定等についても一定程度の権限を有していたものと認められる。

2 しかしながら、Xの業務内容自体は、アルバイト従業員又は役職のない正社員であったときとほぼ変わりがなかったものであるだけでなく、Xは、正社員のみならず、アルバイト従業員についても、採用や賃金等の決定をする権限はないなど、本件業務に伴う経理や人事に関する権限を一切有しておらず、Y社及び関連会社の責任者が集まる幹部会議にも出席することはなかったものであるから、Xが有していた権限の範囲は、現場責任者としての限定的なものにとどまっていたものというべきである。
また、Xの労働時間に関する裁量権の有無についてみるに、Xは、タイムカードにより労働時間が管理されており、出退勤の自由に関する裁量権も有していなかったものといえる。
さらに、Xは、Y社のB営業所長として3万円の役付手当を支給されており、毎月の支給額は上司であるC部長と比較して、約3万5000円しか変わらないこと、年収は合計510万円程度にすぎないし、Xが毎月約30時間から時には100時間以上もの時間外及び深夜労働を行っていたことを考慮すると、その地位と権限にふさわしい処遇がされていたともいい難い

3 以上によれば、Xは、管理監督者にふさわしい職務内容及び権限を有していたとは直ちにいえないだけでなく、労働時間に関する裁量権も有しておらず、賃金上も管理監督者にふさわしい処遇がされていたとはいえないから、Xが管理監督者に該当するということはできない。

久しぶりに管理監督者性が問題となった裁判例を取り上げます。

結果は、やはり認められませんでした。

結果、会社は高額な支払いを命じられています。

裁判所が管理監督者性を認めてくれるのは、本当にごくわずかです。 そのあたりを踏まえた労務管理をする必要があります。

管理監督者34(乙山石油事件)

おはようございます。 今週も一週間がんばっていきましょう!!
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←休日の早朝は、海まで2時間ジョギングをします。

台風の影響でしょうか、波が高く、釣り人はほとんどいませんでした。

平日も休日もだいたい4時に起きているので、早朝ジョギングも特に苦にはなりません。

継続は力なり!

今日は午前中は、事務所で書面作成です。

午後は、顧問先会社の社長と打合せが入っています。

今日も一日がんばります!!

さて、今日は、ガソリンスタンド元所長の管理監督者性と割増賃金等請求に関する裁判例を見てみましょう。

乙山石油事件(大阪地裁平成25年12月19日・労判1090号79頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員であるXが、Y社に対し、未払割増賃金等の支払を求めた事案である。

本件の争点は、Xが、本件SSの所長就任後、労基法41条2号の「監督若しくは管理の地位にある者」に当たるかである。

【裁判所の判断】

管理監督者にはあたらない
→Y社に対し、346万6917円の未払割増賃金等の支払を命じた

【判例のポイント】

1 管理監督者については、労働基準法の労働時間等に関する規制は適用されないが(同法41条2号)、これは管理監督者が、企業経営上の必要から経営者と一体的な立場において、労働時間、休憩及び休日等の規制を超えて行動することを要請されざるを得ない重要な職務や権限を付与され、また、実際に労働時間について広範な裁量を有し、賃金面においても、他の一般労働者に比べてその職務や権限等に見合った十分な優遇措置が講じられている者であれば、同法の厳格な労働時間等の規制に服しないとしても保護に欠けるところはないとの趣旨によるものと解するのが相当である。そこで、同条にいう管理監督者に該当するかの判断にあたっては、この趣旨を踏まえ、職務内容や権限及び責任、勤務態様や賃金面の処遇等の実態に照らして総合的に判断することが相当である。

2 Xは、所長就任後も現場の業務に従事しており、営業時間の変更に関してY社代表者の了解を得た上で実施しており、営業時間を自由に変更する権限までは有しておらず、灯油の仕入値の交渉はY社代表者が担当しており、Xは全ての仕入値の交渉までは担当しておらず、金銭管理はY社代表者が行っていた

3 労務管理に関しても、本件出勤予定表を作成していたのはXであるにしても、Y社代表者も月の休日の日数はミーティングにおいて決めていたと供述するようにXが完全に自由に決められたわけではなく、むしろ、Y社代表者は、XがHやCを早めに退社させていたことについて注意しているから、Xの社員の出勤管理に関する権限は限定的なものに過ぎなかったといえる。また、従業員の給与は予め定められた計算式により計算されておりXには正社員の給与等を決定する権限はなく、アルバイト従業員の時給変更に関しては、Y社代表者の妻に意見を述べ、採用されたに過ぎない

4 これに加え、労働時間に関しては、Xは所長就任後も本件出勤予定表に従って勤務しており、さらに、平成23年11月頃にはY社代表者からタイムカードを退勤時にも打刻するように指示を受けるなど、出退勤に関する裁量権を有していたとは認められず、賃金額については、所長就任の前後で大きな差はなく、労基法上の労働時間等の規制を超えて勤務することを期待するに足りる処遇がされていたとは認め難い
以上を総合勘案すると、Xが管理監督者に該当するとは認められない。

本件の原告(X)に全く管理監督者性を肯定する要素がないとは言えませんが、これまでの管理監督者性についての裁判所の厳しい判断からすると、このような結果になってしまうわけです。

「例外規定の厳格解釈」というルールからすれば、この解釈の厳しさもやむを得ないのでしょうね。

管理監督者33(フォロインプレンディ事件)

おはようございます。

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←先日、いつもお世話になっている社長とセンチュリーにフラメンコディナーショーに行ってきました(笑)

男2人で来ているのは、たぶん私たちだけです(笑)

写真は、「鱸のポワレと剣先烏賊のファルス ハーブ焼き イカ墨のパスタ添え」です。

おいしゅうございました。

今日は、午前中は、離婚訴訟が2件、調停の打合せが1件入っています。

午後は、労働事件の裁判が1件、外部の法律相談、打合せが1件入っています。

夜は、不動産管理会社でセミナーを行います。 

テーマは、「相続道場(基礎編)」です。 3回シリーズの第1回目です。

名前の通り、セミナーというよりも、起こりうる相続のトラブルをしらみつぶしにピックアップし、解決策を伝授します。

今日も一日がんばります!!

さて、今日は、直営飲食店元店長または店長代理による未払賃金請求と管理監督者性に関する裁判例を見てみましょう。

フォロインプレンディ事件(東京地裁平成25年1月11日・労判1074号83頁)

【事案の概要】

Y社は、飲食店の経営等を目的とする会社である。

Xは、Y社との間で、労働契約を締結し、Y社の直営飲食店で勤務した。

Xは、Y社に対し、未払割増賃金を請求した。

Y社は、Xが店長または店長代理を務めていた期間、管理監督者に該当していたと主張し争った。

【裁判所の判断】

Xは、管理監督者ではない。
→Y社に対し、335万余円の割増賃金及び同額の付加金の支払いを命じた。

【判例のポイント】

1 労働基準法41条2号の趣旨は、いわゆる管理監督者については、職務及び責任の重要性並びに勤務実態に照らし、法定労働時間の枠を超えて勤務する必要があるため、法定労働時間等の規制に服させるのが適切でなく、また職務の内容及び権限並びに勤務実態に照らし、労働時間を自由に定めることができ、賃金等の待遇に照らし、労働時間等に関する規定の適用を除外されても、労働基準法1条の基本理念及び同法37条1項の趣旨に反しないと解されるため、労働時間、休憩及び休日に関する規定の適用を排除するところにあると解するのが相当である

2 Xは、平成21年1月末ころから同年8月5日までは「隠れやA店」の店長として、同年11月から平成22年4月までの間は「隠れやB店」の店長代理として、それぞれ稼働しており、アルバイト従業員の採用やその従業員らの労働時間の決定について一定の権限を有していたというのであるが、店長又は店長代理の地位は、XがY社に在籍していた当時における直営の6店舗、フランチャイズ加盟店舗を含めれば50を超える店舗のうち1つの長であって、2か月に1回の頻度で行われる店長会議及び主として毎年度末に開催される経営者会議への参加が義務付けられていたというものの、各店長又は店長代理はその1人として参加するにすぎなかったというのである。また、店長又は店長代理固有の業務は、営業日報・営業月報の作成、毎月のシフトの作成と各従業員の実労働時間の報告、年度ごとの事業計画書の作成、年度末に開催される経営者会議への参加等であり、それ以外は、店舗の営業時間のほとんどにおいて、配下のアルバイト従業員と同様の業務に従事するのが通常の形態であり、平成21年1月末ころ以降のXの基本給は22万円であるほか、役職手当等の権限ないし役職に対応する手当が支給されていたこともなかったというのである。
これらの事情に加え、「隠れやA店」の閉店の際に、Xの意見を聴取した形跡が窺われないこと等を総合すると、Y社が経営する飲食店の店長又は店長代理は、配下のアルバイト従業員等の採用や労働時間の決定等を行っていたものの、Y社そのものの重要決定事項への発言力や影響力があったとまではいえないし、労働時間についても自由に決定することができる状況にあったとは認め難い。また、賃金等の待遇に関しても、労働時間等に関する規定の適用を除外されても、労働基準法1条の基本理念及び同法37条1項の趣旨に反しないということができるものであったとまでは認められない。

久しぶりの管理監督者性に関する裁判例です。 絶滅危惧種です。

上記判例のポイント1は参考になります。

付加金も満額認められていますので、すごい金額になっていますね。

判決までいかずに和解で終わることはできなかったのでしょうか・・・。