Category Archives: 守秘義務・内部告発

守秘義務・内部告発12 元従業員による顧客情報の利用及び第三者への開示・提供の差止めが認められた事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、元従業員による顧客情報の利用及び第三者への開示・提供の差止めが認められた事案を見ていきましょう。

X事件(横浜地裁令和4年3月15日・労経速2480号18頁)

【事案の概要】

本件は、美容師であるXを雇用し同人をQ1が運営する美容室において就労させていたY社が、Xが退職後において、Q1の顧客の情報を利用し、また、第三者に開示し、提供するおそれがあると主張して、Xに対し、雇用契約上の秘密保持特約に基づく差止請求権を被保全権利として、別紙1記載の情報の利用等の差止めの仮処分を申し立てた事案である。

【裁判所の判断】

Xは、令和6年3月15日が経過するまで、神奈川県内及び東京都内において、Xが就労又は運営する美容室等の顧客にする意図で別紙1記載の顧客に電話をかける、電子メールを送信するという営業活動及び別紙1記載の情報の全部又は一部について第三者に開示、提供をしてはならない。

【判例のポイント】

1 Y社は、Q1との間で、Q1が運営する美容室の運営を委託されているところ、Y社の被用者がその退職後に美容室の顧客の情報を利用し又は第三者に開示、提供するなどして美容室の顧客の情報が漏洩した場合、Q1との信頼関係が棄損され、業務委託の範囲の縮小や契約解除などに至るおそれがあると認められる。これらは、事後的な金銭賠償では償うことができないものというべきである。

2 そして、Xは、Y社との雇用契約終了後の就業先を探している中で、本件店舗の顧客の情報を携帯電話に記録しているのであるから、Xが新たな就業先において別紙1記載の情報を利用して営業活動をするおそれ及び就業先などの第三者に別紙1記載の情報を開示、提供するおそれがあると認められる。
よって、Xによって本件店舗の顧客の氏名、住所、電話番号が利用され又は第三者に開示、提供された場合には、Y社が著しい損害を被るおそれがあることが認められる。

実際にここまでの対応をとるケースは少ないですが、是非、参考にしてください。

日頃から顧問弁護士に相談をする体制を整えておき、速やかに相談することにより敗訴リスクを軽減することが重要です。

守秘義務・内部告発11 代表者らの背任行為の通報等を理由とする懲戒解雇の有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、代表者らの背任行為の通報等を理由とする懲戒解雇の有効性について見ていきましょう。

神社本庁事件(東京地裁令和3年3月18日・労判1260号50頁)

【事案の概要】

本件は、雇用主であるY社から平成29年8月25日付けで懲戒解雇されたXが、懲戒解雇が無効であると主張して、①Y社に対する雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、②Y社に対し、雇用契約に基づく賃金として、平成29年9月から本判決確定の日まで毎月21日限り63万5789円+遅延損害金の支払等を求めた事案である。

【裁判所の判断】

懲戒解雇無効

【判例のポイント】

1 解雇理由1にかかる行為は、庁内の秩序を保持する義務に反したものとして就業規則67条1号および3号、就業規則67条2号「社会的規範にもとる行為のあったとき」、5号の「本庁の信用を傷つけ」る行為のあったときに、それぞれ外形的に該当する行為であるといえ、Xは、Y社の神職であるから、神職懲戒規程の適用があると解されるところ、神職懲戒規程細則3条2号ハおよびニにも該当するから、この点でも就業規則67条1号の懲戒事由に外形的に該当する。

2 解雇理由1にかかる行為は、労働者が、その労務提供先である使用者の代表者、使用者の幹部職員および使用者の関係団体の代表者の共謀による背任行為という刑法に該当する犯罪行為の事実、つまり公益通報者保護法2条3項1号別表1号に該当する通報対象事実を、Y社の理事および関係者らに対し伝達する行為であるから、その懲戒事由該当性および違法性の存否、程度を判断するに際しては、公益通報者保護法による公益通報者の保護規定の適用およびその趣旨を考慮する必要がある

3 公益通報者保護法の規定の内容、および公益通報者を保護して公益通報の機会を保障することが国民生活の安定および社会経済の健全な発展に資するとの当該規定の趣旨に鑑みると、労働者が、労務提供先である使用者の役員、従業員等による法令違反行為の通報を行った場合、通報内容の真実性を証明して初めて懲戒から免責されるとすることは相当とはいえず、①通報内容が真実であるか、または真実と信じるに足りる相当な理由があり、②通報目的が、不正な利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でなく、③通報の手段方法が相当である場合には、当該行為がY社の信用を毀損し、組織の秩序を乱すものであったとしても、懲戒事由に該当せず、または該当しても違法性が阻却されることとなり、また、①~③のすべてを満たさず懲戒事由に該当する場合であっても、①~③の成否を検討する際に考慮した事情に照らして、選択された懲戒処分が重すぎるというときは、労働契約法15条にいう客観的合理的な理由がなく、社会通念上相当性を欠くため、懲戒処分は無効となると解すべきである。

4 丙総長及びI会長が、本件売買について背任行為を行った事実、およびL課長がこれに加担した事実については、①真実であるとは認められないものの、本件文書を理事2名に交付した当時、Xが、これを真実と信じるに足りる相当の理由があったといえ、②不正の目的であったとはいえず、③手段は相当であったから、公益通報者を保護し、公益通報の機会を保障することが、国民生活の安定などに資するとの公益通報者保護法の趣旨などに照らし、本件文書の交付をもってこれらの事実を摘示した行為は、違法性が阻却されて懲戒すべき事由といえないというべきである。

公益通報・内部通報関連の懲戒事案の対応は、上記判例のポイント3を参考にして慎重に対応することが求められます。

感情的になって、詳細な調査等をせずに懲戒解雇することは避けなければいけません。

解雇を行う場合には、必ず顧問弁護士に相談をしつつ、慎重に対応していきましょう。 

守秘義務・内部通報10 障害福祉施設の従業員の内部通報を理由とする解雇(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も1週間お疲れさまでした。

今日は、障害者福祉施設の従業員に、県や市への通報により施設の信用を損ねたとする解雇が無効とされた裁判例を見てみましょう。

兵庫県・川西市事件(神戸地裁令和2年12月3日・労経速2451号52頁)

【事案の概要】

甲事件は、Y社の運営する障害者福祉施設である「a施設」に勤務していたXが、Y社の理事長であるY2及び被用者であるY3から、XをY社から排除する意図のもとにセクシャルハラスメント及びパワーハラスメントを受けたほか、虚偽の事実を流布され名誉を棄損されたとして、Y2及びY3に対しては共同不法行為に基づく200万円の損害賠償の連帯支払及び名誉回復措置を、Y社に対しては安全配慮義務違反、代表者責任又は使用者責任に基づく同額の損害賠償の連帯支払及び名誉回復措置を求めるとともに、Y社がXを平成28年10月24日付けで解雇したことに関連し、県及び市がY社と共謀の上、Xに対し不当な取扱いを行ってY社と一体となって本件解雇を招来したとして、Y社、県及び市に対し不法行為又は国家賠償請求に基づく210万円の損害賠償の連帯支払を、被告県及び被告市が障害者虐待の防止,障害者の養護者に対する支援等に関する法律18条に反する情報漏示を行ったことにより損害を受けたとして、県及び市に対し国家賠償請求に基づく50万円の損害賠償の連帯支払をそれぞれ求めた事案である。

乙事件は、本件解雇が防止法16条4項、公益通報者保護法3条に違反し、又は解雇権濫用により無効であるとして、Y社に対し、労働契約に基づき、労働契約上の地位の確認を求めるとともに、平成28年12月から本判決確定の日までの給与(月額17万7000円)と賞与(1回当たり34万4000円)の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

解雇無効
→バックペイ、付加金認容

Xのその余の請求は棄却

【判例のポイント】

1 本件解雇が防止法16条4項の解雇禁止に違反する旨のXの主張は、前提を欠くものであって採用することができない。

2 本件解雇が保護法3条3号の解雇禁止に違反する旨のXの主張は、前提を欠くものであって採用することができない。

3 本件解雇には客観的に合理的な理由があるとまでは認められない。

4 解雇は、労働者を職場から排除し、その生活の糧を奪うという効果をもたらすものであるから、これに至る過程で、十分な指導・注意、場合によっては懲戒処分などがなされ、それでも改善されない場合に検討されるべき手段である。しかし、上記のとおり、Y社は、Xに対する十分な指導・注意を行わず、法人内部での検討も経ないで本件解雇に至ったものである
したがって、本件解雇には、社会的相当性があるものとは認められない。

判例のポイント4では、解雇に関する一般的な注意事項が述べられています。

段階を踏むという意識を持てるかどうかが鍵となります。

解雇を行う場合には、必ず顧問弁護士に相談をしつつ、慎重に対応していきましょう。  

守秘義務・内部告発9 公益通報が不正であるとしてなされた懲戒処分が無効と判断された事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、公益通報を不正としてなされた懲戒処分の有効性等に関する裁判例を見てみましょう。

学校法人國士舘ほか(戒告処分等)事件(東京地裁令和2年11月12日・労判1238号30頁)

【事案の概要】

本件は、Y法人から雇用されてY法人の設置する大学の教授を務めていた際にY法人から戒告の懲戒処分を受けたXらが、Y法人に対して、①Xらに対する前記各懲戒処分がいずれも無効であると主張してその無効確認、②前記各懲戒処分が不法行為であると主張してそれぞれ不法行為に基づく損害賠償金220万円+遅延損害金の支払を求め、前記各懲戒処分の懲戒委員会の委員長を務めた被告Y2に対して、③被告Y2が前記各懲戒処分の懲戒事由の当事者であるのに同委員長を辞することなく、虚偽の事実を前提に懲戒を促す言動をして前記各懲戒処分に至らせたことが不法行為に当たると主張して、それぞれ損害賠償金110万円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

Y法人が、Xらに対し平成30年3月27日付けで行った戒告処分がいずれも無効であることを確認する。

Y法人は、原告らに対し、各60万円+遅延損害金を支払え。

XらのY1に対するその余の請求及びY2に対する請求をいずれも棄却する。

【判例のポイント】

1 Y法人は、公益通報者が公益通報を行ったことを理由として、懲戒処分などの不利益処分をしてはならないと定める(本件公益通報規程11条1項)。同規程の公益通報は、Y法人の諸規定に違反する行為又はそのおそれのある行為を対象とするものであり(1条)、二重投稿は、Y法人が定める本件行動規範において研究者がしてはならない行為としたものであるから(1(1)ウ)、Y法人の諸規定に違反する行為又はそのおそれのある行為といえ、本件公益通報は、本件公益通報規程に基づく公益通報に当たる。
Y法人は、本件行動規範が平成26年に制定されたことから、それ以前の二重投稿は本件公益通報規程の対象ではない旨主張するが、本件行動規範は、その内容からして平成26年文科省ガイドライン及び日本学術会議報告を基づき制定されたものと認められるところ、これらの制定の前から、二重投稿が不正行為であると指摘されていたこと(1(1)ア)に照らせば、本件公益通報が通報対象とする平成22年より前の二重投稿も、「被告法人の諸規定に違反するおそれのある行為」に当たるから、本件公益通報規程の保護の対象外とはいえないものである。
Y法人は、本件出来事(1)~(3)が虚偽であると判断した上,本件出来事(1)~(3)が虚偽であるから本件公益通報は不正目的のものであり、保護の埒外にあると解釈して、本件公益通報書の記載を理由とする懲戒処分を行ったものである。本件公益通報の対象となったB教員の二重投稿問題に根拠がなく、これが真実ではないがゆえに本件公益通報が不正目的であるというなら格別、二重投稿の存否を検討することなく、本件公益通報に至った事情として記載された本件出来事(1)~(3)が虚偽であるから本件公益通報も不正目的であるとの判断は、根拠があるとはいい難い
したがって、本件各処分は、本件公益通報書の記載を理由としてXらに懲戒処分を行ったものであるから、本件公益通報規程11条1項に反しており、この点でも違法といえる。

使用者側の主張の意味は理解できますが、認識の誤りと判断されています。

公益通報を含む各種内部通報を理由に不利益な取扱いをすることは禁止されていますので細心の注意が必要です。

日頃から顧問弁護士に相談をする体制を整えておき、速やかに相談することにより敗訴リスクを軽減することが重要です。

守秘義務・内部告発8 公益通報をめぐる内部資料の持ち出しと懲戒処分(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、公益通報をめぐる内部資料の持ち出し等に対する懲戒処分の適法性に関する裁判例を見てみましょう。

京都市(児童相談所職員)事件(京都地裁令和元年8月8日・労判1217号67頁)

【事案の概要】

Y社の職員であるXは、京都市の児童相談所に勤務していた平成27年3月及び10月、京都市内の児童養護施設で起きたと疑われる被措置児童虐待の不祥事について、同児童相談所が適切な対応を採っていなかったとの認識を有したことから、これを問題視し、京都市の公益通報処理窓口に対して二度にわたり、いわゆる公益通報を行った。
Xは、同年12月4日、上記の各公益通報の前後の時期に行ったとされる各行為、すなわち、(1)勤務時間中に、上記虐待を受けたとされる児童とその妹の児童記録データ等を繰り返し閲覧した行為、(2)上記虐待を受けたとされる児童の妹の児童記録データを出力して複数枚複写し、そのうちの1枚を自宅へ持ち出した上に無断で廃棄した行為、(3)職場の新年会及び組合交渉の場で、上記虐待を受けたとされる児童の個人情報を含む内容を発言した行為について、地方公務員29条1項各号所定の事由に該当するものとして、京都市長から、停職3日の懲戒処分を受けた。

本件は、本件懲戒処分を不服とするXが、上記の各内部通報の前後の時期に行ったとされる上記各行為は、事実と異なる部分があることに加え、上記被措置児童虐待の不祥事に対する上記児童相談所の対応が不適切であるとの問題意識に基づき行った正当な行為として懲戒事由にそもそも該当しないと主張するほか、また、仮に懲戒事由に該当するとしても、Xによる上記各行為の目的の正当性や、本件懲戒処分が結論ありきで行われたこと、他の事例との比較において重きに失すること、手続の適正の欠如などを考慮すれば、京都市長が行った本件懲戒処分には裁量権を逸脱又は濫用した違法があるなどと主張して、本件懲戒処分の取消しを求める事案である。

【裁判所の判断】

停職3日の懲戒処分を取り消す。

【判例のポイント】

1 本件行為2の原因,動機,性質を検討するに,まず,本件行為2のうち本件複写記録の持ち出し行為については,原告は,1回目の内部通報の結果を受けて,その調査結果に個人的に不満を抱いたため,2回目の内部通報を行うこととし,その際にE弁護士に渡す本件児童の●の児童記録に係る複写文書1枚とともに,本件複写記録を自宅に保管したものといえる。このような経緯を経て行われた本件複写記録の持ち出し行為は,いわゆる公益通報を目的として行った2回目の内部通報に付随する形で行われたものであって,少なくとも原告にとっては,重要な証拠を手元に置いておくという証拠保全ないし自己防衛という重要な目的を有していたものであり,このほかに,本件複写記録に係る個人情報を外部に流出することなどの不当な動機,目的をもって行われた行為であるとまでは認められないのであるから,その原因や動機において,強く非難すべき点は見出し難い
 また,本件行為2のうち本件複写記録の自宅での廃棄行為については,F課長からの返却の指示があったにもかかわらず,原告がこれに従わず,安易に本件複写記録を自宅で廃棄したことそれ自体は,今後の情報漏えいの可能性が万に一つないようにするために持ち出した現物を返却させるという被告の正当な目的の実現を妨げた点からも,大いに非難されるべきものである。しかしながら,原告は,上記廃棄行為の翌日に自ら自宅で本件複写記録を廃棄したことを申告しているのであって,原告による上記廃棄行為について,証拠隠滅を図るなどの不当な動機や目的があったとは考え難い。そうすると,原告による本件複写記録の自宅での廃棄行為は,非常に軽率な行為として大いに非難されるべきものではあるが,その動機や目的において,殊更に悪質性が高いものであったとまではいえない

2 原告による本件複写記録の持ち出し行為は,飽くまで,本件虐待事案に対する原告の職務上の関心に起因して行われた性質の行為である。そして,原告は,本件複写記録を自宅で保管していたにすぎず,その保管状況は必ずしも明らかではないものの,自宅で保管していた本件複写記録が外部に流出した事実は認められず,同記録が外部の目に触れる状況ではなかったものと考えられることからすると,必ずしも情報漏えいの危険性の高い不適切な態様での保管状況であったとまではいい難い

3 本件行為2の結果,影響についてみるに,原告が自宅に持ち出した本件複写記録はシュレッダーで廃棄されており,結果としては,同記録が一般市民の目にする形で外部に流出することのないまま処分されたものである。そして,被告の保健福祉局の調査の結果によっても,●●議員による本件児童記録の情報の入手経路は明らかになっておらず,本件全証拠を検討しても,原告が自宅に持ち出した本件複写記録によって,本件児童の個人情報が●●議員に流出したことを認めるに足りる証拠はない。この点に関して,本件児童からは,原告による本件行為2を含む各行為について京都市児童相談所に対する信頼を損ねるものである旨の強い非難が寄せられていることは十分に考慮すべきであるとしても,原告による本件行為2によって,被告の児童福祉行政に対する信頼が回復不能なほどに大きく損なわれたとまでは認めることはできない。

4 原告の懲戒処分歴等についてみるに,原告にはこれまで懲戒処分歴は存在せず,かえって,原告は,FA制度で京都市児童相談所支援課に配属となった平成26年度の人事評価においては,いずれの評価項目も良好な評価を得ており,かつ,日頃の勤務態度についても,児童に対し得て熱心に対応しており,業務面においては特段の問題はないとの評価を得ていたものである。これに加え,原告は,本件行為2についても,基本的には,京都市児童相談所の職員としての職責を果たすべきとの自らの有する職業倫理に基づいて行ったものであるから,大いに軽率な面があったことを踏まえてもなお,上記の原告の懲戒処分歴や勤務態度といった事情は,酌むべき事情として考慮されるべきものといえる。

5 以上に加え,前記1で認定した事実経緯に照らすと,本件懲戒処分は,原告が主張,供述するような「結論ありきで行われた」あるいは「内部告発に対する報復」といった不当な目的ないし動機をもってされた処分であるとの評価はできないものの,本件懲戒指針では,情報セキュリティーポリシー違反の非違行為については戒告から免職まで処分量定の幅は広く規定されている中で,過去に非公開情報がインターネットを経由して外部から閲覧できる状態となり当該情報の拡散を招いた職員が停職10日の懲戒処分とされた懲戒事例との比較において,本件行為2を行った原告に対する懲戒処分として,本件複写記録の情報が拡散するまでには至らなかったにもかかわらず,停職3日とする本件懲戒処分を選択することは,重きに失するものといわざるを得ない
以上によれば,本件懲戒処分は,社会観念上著しく妥当を欠いて,その裁量権を逸脱又は濫用した違法がある。

処分がそれほど重くないため、評価権者によって判断が分かれる可能性があると思います。

懲戒処分の相当性判断は非常に悩ましいです。是非、顧問弁護士に相談しながらご判断ください。

守秘義務・内部告発7(甲社事件)

おはようございます。

今日は、内部告発等を理由とする懲戒解雇が有効とされた裁判例を見てみましょう。

甲社事件(東京地裁平成27年11月11日・労経速2275号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員であったXが、Y社から懲戒解雇されたものの、当該解雇は無効であるとして、①労働契約上の権利を有する地位にあることの確認並びに②Y社がXの就労を拒絶している期間である平成25年9月以降の労働契約に基づきY社がXに対し支払うべき賃金+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 ・・・以上のとおり、懲戒事由①から③までの事実を認めることができ、これらの事由は、就業規則63条2号、4号及び5号に該当するところ、情状の程度に応じて懲戒解雇の処分を行うことができることになる。
そこで情状の程度について検討するに、懲戒事由③について、本件告発の主たる目的がXの私的な利益を図るものであったというべきことや本件告発の態様等に照らせば、労働者が負っている誠実義務に著しく違反するものと評価するべきであり、本件告発が契機となって、本件過剰請求が明らかになり、Y社による不適切なガソリン代金請求が是正されたことを十分斟酌しても、その情状は悪いというべきである
懲戒事由①について、Xは他の従業員に対して大声で怒鳴るなどの行為について譴責処分を受けたその日のうちに他の従業員に暴言を吐くなどしており、その発言内容も次第に過激なものになっていることからすれば、その情状は芳しくない。
懲戒事由②について、Xは、油外販売に取り組まない姿勢を示していたことについて上司から指導を受け、その際には反省の態度を示していたにもかかわらず、態度を改めることなく、別件未払賃金請求や本件告発に関連づけて、敢えて油外販売に取り組まない姿勢を継続していたことからすれば、単純な営業成績不良とは異なるものであって、その情状を軽く見ることはできない。

2 また、Y社は、本件懲戒解雇時、Xに弁明の機会を与えていたことなどを踏まえれば、本件懲戒解雇の手続は相当なものといえる。
以上の事情を総合考慮すれば、本件懲戒解雇は、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められるから、労働契約法15条に違反せず有効である。

本件内部告発については、告発目的の正当性、告発の態様・手段の相当性を否定しています。

X・Y社間には、未払賃金を巡る紛争があり、本件告発の目的は、当該未払賃金に関連する私的な利益を図る目的があったと認定されています。

非常に参考になる裁判例です。

やはり事前に顧問弁護士に相談することが敗訴リスクを大幅に軽減させますね。

守秘義務・内部告発6(レガシィ事件)

おはようございます。

今日は、情報漏洩行為に関する裁判例を見てみましょう。

レガシィ事件(東京地裁平成27年3月27日・労経速2246号3頁)

【事案の概要】

本件は、Xらにおいて、Y社に対し、Y社がXらの業務上の機密を第三者に漏洩したとして、労働契約上の機密保持義務違反による債務不履行に基づく損害賠償として各々200万円の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件においては、Xが、本件漏洩行為のうち本件持出行為を雇用期間中に行ったうえ、本件交付行為を退職後に行っていることから、就業規則の禁止規定が本件漏洩行為ないし本件交付行為に適用することができるものであるのか否かを検討する必要がある。
思うに、退職後に機密保持の内容となっている情報を不当に開示する目的で、雇用期間中に当該情報を勤務先から持ち出した場合、雇用期間中に就業規則違反という債務不履行行為に着手しているのであり、その後は、労働契約上の機密保持義務を負わないという点で身分ない自己を道具としてその目的を達しようとするものであると評価できることから、本件漏洩行為は、本件交付行為の部分も含めて、労働契約上の機密保持義務の適用を受けるものと解すべきである

2 漏洩とは、いまだその情報の内容を知らない第三者に情報を伝達することをいうところ、既にその情報を熟知する者に交付するものであっても、その者が提供した情報をさらにその情報の内容を知らない第三者に伝達することが当然に予定されているような場合には、漏洩したことになるというべきである。そして、公開の法廷で行われる訴訟に利用することを前提とした情報の提供も、その情報の内容を知らない第三者に伝達することが当然に予定されている場合として、漏洩に当たるものというのが相当である。したがって、本件交付行為は、本件漏洩行為の一部分を構成するものとして、Y者の就業規則31条4項に違反する債務不履行行為となる。

3 Y社は、代表取締役であるAにおいて、本来の税務・営業活動等に従事することができなくなった時間が生じ、その時間に別紙記載の各項目の業務を行うことができなくなって、利益を喪失したことを主張する。
・・・仮に何らかの必要な作業が主張に係る時間をかけて行われたものと措定するとしても、・・・そのように処理ができなくなった業務により具体的な因果関係をもって発生した逸失利益及びその数額を認めるに足りる証拠も全くない。・・・そうすると、Y社の損害を認定することができない

債務不履行を認定しましたが、損害が認定できないということで棄却されました。

損害の立証が難しいところですね。

日頃から顧問弁護士に相談をする体制を整えておき、速やかに相談することにより敗訴リスクを軽減することが重要です。

守秘義務・内部告発5(学校法人田中千代学園事件)

おはようございます。 

さて、今日は、マスコミに対する内部告発と懲戒解雇の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

学校法人田中千代学園事件(東京地裁平成23年1月28日・労判1029号59頁)

【事案の概要】

Y社は、服飾の専門学校および短期大学を開設する学校法人である。

Xは、Y社の総務部総務課長であるが、Xは、週刊Pの記者に対し、内部告発をした結果、本件内部告発を掲載した週刊誌が発刊された。

これを受け、Y社は、Xを懲戒解雇した。

【裁判所の判断】

懲戒解雇は有効

【判例のポイント】

1 本件のような内部告発事案においては、①内部告発事実(根幹的部分)が真実ないしはXが真実と信ずるにつき相当の理由があるか否か、②その目的が公益性を有しているか否か、③労働者が企業内で不正行為の是正に努力したものの改善されないなど手段・態様が目的達成のために必要かつ相当なものであるか否かなどを総合考慮して、当該内部告発が正当と認められる場合には、仮にその告発事実が誠実義務等を定めた就業規則の規定に違反する場合であっても、その違法性は阻却され、これを理由とする懲戒解雇は「客観的に合理的な理由」を欠くことになると解するのが相当である

2 内部告発一般の位置付けからみて、その目的の公益性が認められることが大原則とされるべきである。そうすると内部告発の目的として公益的要素とそれ以外の要素が併存する場合には、その主たる目的が公益的要素にあることが必要であると解するのが相当である。

3 Xは、専ら自らの身分すなわち本件雇用契約上の地位を保全する意図の下、Gらが行っている文科省OB役員の退陣運動に賛同し、これに乗じて、偶さか知り合いになった週刊Pの記者に対して、本件内部告発を行うに至ったものと認めるのが相当である。・・・結局、本件内部告発に上記目的の公益性は認められないものというべきである

4 労働者は雇用契約上使用者に対して上記誠実義務を負っているのであるから、まず企業内部において当該不正行為の是正に向け努力すべきであって、これをしないまま内部告発を行うことは、企業経営に打撃を与える行為として上記誠実義務違反の評価は免れない。

5 本件内部告発先の週刊Pの記者は、本件内部告発事実についてXから実名報道の了解を得ただけで、Y社に対する反対取材を全く行わないまま本件週刊誌を発刊しており、このような報道姿勢は極めて誤報を生む危険性の高いものである。そうだとすると以上のような取材手法に基づき本件各記事を本件週刊誌上に執筆した上記週刊Pの記者ないしは同誌の公刊元は、少なくとも本件に関する限り、公通保護法所定の外部通報先には当たらない
よって、本件懲戒解雇に公通保護法3条の適用があるとするXの上記主張は失当ないし理由がなく、採用することはできない。

規範部分が明確に示されているため、参考になります。

内部告発、公益通報に関する問題は、顧問弁護士に相談の上、慎重に対応しましょう。

守秘義務・内部告発4(Yタクシー会社(雇止め)事件)

おはようございます。

さて、今日は、内部告発に関する裁判例を見てみましょう。

Yタクシー会社(雇止め)事件(京都地裁平成19年10月30日・労判955号47頁)

【事案の概要】

Y社は、タクシー会社である。

Xは、Y社に入社し、Y社のA営業所に勤務していた。

XとY社は、嘱託労働契約書をもって、契約期間を1年間とする有期雇用契約を締結した。

Xは、Y社労働組合A支部からA営業所内における従業員およびA営業所所長の白タク営業、メーターの不正操作、営業日誌ねつ造等の疑惑がある旨記載されている文書を入手し、労働組合全支部長、Y社代表へ、真相解明および問題の解決を求める書面を作成し、送付した。

その後、Xは、警察署に対し、白タク行為を把握した旨申告した。

組合は、Xが問題として指摘した点については、問題解決に向け、支部労使会を開催することで対処する旨が決定されていたのに、制裁処分として、Xに対し戒告および罰金を課した。

所長は、Xに対し、雇止めにする旨を通告した。

この際、所長は、有期労働契約の期間が経過したという理由を述べただけで、なぜ更新しないのかについては理由を説明しなかった。

Xは、雇止めは無効であるとして、地位保全等仮処分を申し立てた。

【裁判所の判断】

雇止めは、無効であり、地位保全および賃金仮処分の必要性を認めた。

【判例のポイント】

1 Y社就業規則には、組合によって制裁を受けた者を再雇用しない旨が規定されているが、こうした規定に基づいて使用者が組合に対して雇止めをすべき義務負うのは、組合による処分が有効な場合に限られ、当該処分が無効と解される場合には使用者は雇止めをすべき義務を負わない。

2 使用者が労働組合に対する義務の履行として行う雇止めは、雇止めの義務が発生している場合に限り、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当なものとして是認できるのであって、処分が無効な場合には、他に解雇の合理性を基礎づける特段の事情がない限り、解雇権の濫用として無効であり、このことは、Y社就業規則が、所定の基準に該当している場合であっても、状況に応じては再雇用をする場合がある旨規定していることからも明らかである。

3 公益通報者保護法が制定された趣旨にかんがみても、Xの行動は組合による処分に相当するものとは評価すべきではなく、ユニオン当該行動が、組合が告発等をしない方向性を打ち出している状況の下で告発等をしたという意味で、形式的には権限を越えて行動した場合に該当するとはいえても、本件統制処分は、もともとの問題行動への関与者を処分せずに、これを指摘したXのみを処分するものとして不平等であり、著しく裁量を濫用したものとして無効といわざるを得ない。

本来は、有期雇用における雇止めの問題です。

この裁判例は、内部告発に関する問題以外にも、たくさんの重要な問題が含まれています。

上記判例のポイント2は、重要です。

この点は、ユニオンショップ協定に基づく解雇の効力に関する日本食塩製造事件(最高裁昭和50年4月25日・労判227号32頁)と同様の判断です。

なお、ユニオンショップとは、使用者が労働協約において自己の雇用する労働者のうち当該労働組合に加入しない者、および当該労働組合の組合員ではなくなった者を解雇する義務を負う制度です。

その他、使用者が、雇止めの意思表示の際に明示していなかった理由を訴訟上主張することは許されるが、雇止めが懲戒解雇事由の存在を根拠として、実質的に懲戒解雇の趣旨でなされた場合においては、懲戒解雇事由以外の普通解雇事由に該当するにすぎないような解雇理由を主張することは許されない、という点も参考になります。

この点は、山口観光事件(最一小判平成8年9月26日・労判708号31頁)と同様の判断です。

同事件は、懲戒当時に使用者が認識していなかった非違行為は、その存在をもって当該懲戒の有効性を根拠づけることはできないと判断したものです。

懲戒解雇をはじめとする懲戒処分を行う際は、必ず事前に顧問弁護士に相談をすることを習慣にしましょう。

守秘義務・内部告発3(骨髄移植推進財団事件)

おはようございます。

さて、今日は、内部告発に関する裁判例を見てみましょう。

骨髄移植推進財団事件(東京地裁平成21年6月12日・労判991号64頁)

【事案の概要】

Y財団は、骨髄移植の仲介事業を行い、骨髄移植を推進するために設立許可を受けた財団である。

Xは、Y財団の総務部長の地位にあり、事務局長を補佐し事務局の運営を統括する立場にあった。

Xは、Y財団代表者である理事長に対し、A常務理事のパワハラ、セクハラとも言える言動により、体調を崩したり退職を考慮する職員も出てきており、事務局運営に障害が発生しないよう早急に改善措置を講ずることを要望するなどと記載された報告書を提出した。

その後、Y財団はXに対し、総務部長の職を解き、システム改善担当参事に異動を命じる(本件降格人事)旨の内示を行った。

この内示に納得ができなかったXは、理事長に再考を促し面談を求めるファックスを送信し、Y財団の常務理事らにも人事異動の凍結を求める要請をするなどし、Xの支持者である職員やボランティア団体の幹部らも、Y財団や厚労省幹部に人事異動の凍結を求める働きかけをした。また、新聞に「骨髄バンク”迷走”」、「骨髄バンクセクハラ 厚労省に調査要請へ」といった見出しの記事が掲載された。

その後、Y財団では、内部調査委員会及び外部調査委員会による調査を経て、セクハラ、パワハラに当たる事実があったとは認められないとの結果を発表した。

Y財団は、Xに対して諭旨解雇を通告し、Xが自主退職に応じなかったため、Xを解雇した。

解雇理由は、(1)報告書の報告内容に事実に反する虚偽の部分があると判断されたこと、および報告書が内部告発文書の枠を超えて、個人に対する誹謗中傷文書ともいえる内容となっていること、(2)報告書について十分な情報管理が行われず、結果的には新聞報道にも発展して、財団の社会的信用を著しく損なわせるととともに財団内部に混乱をもたらし、財団の運営に重大な支障を生じさせたこと、(3)人事の内示を外部に漏らして人事凍結の働きかけを行ったこと、業務懈怠により財団の信用を損なったこと、上司の指示に従わず、会議の場で暴言を吐いたことである。

Xは、本件解雇の不当性を主張し、提訴した。

【裁判所の判断】

懲戒解雇は無効。

【判例のポイント】

1 Y財団において、A常務理事の不適切な言動について改善措置を求める旨の報告書を作成し理事長に提出したXのに対し、総務部長解任の後、懲戒処分としての諭旨解雇がなされた件につき、常務理事に、真実、パワハラ、セクハラとも解される問題行動があるのであれば、これをY財団の理事長に伝え是正を図ること自体は、総務部長の職責というべきものであり、かえってこれを認識しながら放置し、適切な措置をとることを阻害した場合には、そのことが総務部長の任務懈怠として問責されることもありうる。

2 本件報告書提出は内部告発そのものではないが、Xが総務部長の職責として報告をした場合であっても、事実でない事柄を、不当な目的で、不相応な方法で行うものであれば、違法なものとなり懲戒事由ともなりうるから、本件においては、X主張の内部告発の適法性の判断要素(1)内部告発の真実性、2)目的の正当性、3)手段・方法の相当性)から検討するのが相当である。

3 内部告発の真実性については、本件報告書のような文書を提出する場合には、慎重な配慮が必要ではあるものの、その内容中に客観的事実と一致していない部分があるとしても、それゆえに当該報告書提出が直ちに違法であって懲戒事由に該当するということはできないとして検討がなされ、報告書は、基本的に真実性のある文書と評価できる。

4 目的の正当性、手段・方法の相当性についても違法性は認められず、Xによる本件報告書提出は、懲戒事由に該当しない。

5 報告書に記載された内容は、パワハラやセクハラに関するものであり、とりわけセクハラに関する情報はプライバシーに深く関わる情報であって、細心の注意を払う必要のあるものといえるところ、Xはかかる情報を収集し管理する総務部長として、当該情報の外部漏出がないようにすることはもちろん、Y財団内部においても、必要な範囲に当該情報が保持されるように努める義務(情報管理義務)を負っていた。

6 Xにおいては、上記情報管理義務に基づいて、報告書記載の情報が、本来、保持されるべき範囲内にとどまるように慎重な配慮をすることが求められていたところ、その具体的な情報管理の方法としては、単に報告書の写しを第三者に交付しなければよいというものではなく、第三者に報告書の写しを閲読をさせたり、その内容を口頭で告げたりすることも、当該義務に違反した行為となる。

7 本件事実に照らすと、Xは上記義務に反して、本来、情報を保持すべきでない多数の者に報告書記載の情報を伝達していたといわざるを得ず、また、少なくともXの情報管理の不十分さによって本件各新聞報道に至ったものといえ、この点につきXには懲戒事由に該当須する事実が認められるが、他方、Y財団は、基本的に真実性のある報告書を無視し、的確な調査を行わないまま、Xに対し降格人事を行おうとしたのであり、XがY財団への対抗措置として外部への働きかけを強めていった結果、当該各報道に至ったともいえ、Xの本件情報管理義務違反およびそれによるY財団内部の混乱等については、Y財団にも責任の一端はあり、これらを総合考慮すれば、Xの情報管理義務違反を理由として本件解雇をすることは重きに失する

内部告発そのものではないですが、同様の判断基準に基づき判断されています。

内部告発の正当性が認められ、懲戒解雇は無効となりました。

会社としては、参考にすべき点が非常に多いと思います。

日頃から顧問弁護士に相談をしながら、1つ1つ慎重に対応することが大切ですね。