1 「抗告人(妻)が相手方(夫)からの突然の離婚の申出を短期間で受け入れたのには、相手方からの離婚の要求が応ぜざるを得ないほど強いものであるとともに、抗告人において離婚を受け入れやすい経済的条件の提示があったからであると推認されること、抗告人の収支の均衡は住居費の負担がないことによって保たれていること、相手方が抗告人が子らと居住する建物に関する費用を負担することを前提に養育費が算定されていること、抗告人の1000万円近い持参金が夫婦共有財産として残存していないこと等の諸般の事情を総合すると、抗告人が子らと居住し、相手方所有とすべき建物について、期間を第三子が小学校を卒業するまでの間とする使用貸借権を設定するのが相当である。」
2 また、この事例では、使用貸借終了後の抗告人の転居費用について、本来離婚後の自助努力によるべきところであるが、抗告人の生活状況等及び相手方の転居費用が婚姻費用によって賄われたことなども考慮し、その一部である50万円を相手方に分与させることとしている。