「婚姻費用の分担額の減額は,婚姻費用分担の程度若しくは方法について協議又は審判があった後,事情に変更を生じたときに認められるものであるところ(民法880条参照),上記「事情の変更」とは,協議又は審判の際に考慮され,あるいはその前提とされた事情に変更が生じた場合をいい,協議又は審判の際に既に存在し,判明していた事情や,当事者が当然に予想し得た事情が現実化したにとどまる場合を含むものではない。
上記の認定事実によれば,抗告人は,前件調停成立後に出生したG,I及びJを認知し,その扶養義務を負うに至っており,前件調停成立後,抗告人が扶養義務を負う未成年の子の数に変更が生じたことが認められ,これは,婚姻費用の分担額の減額を認めるべき「事情の変更」に該当するものである。
これに対し,相手方は,重婚的内縁関係から派生した婚外子の存在を考慮するのは,信義則に反すると主張するが,G,I及びJは,長男及び二男と同様,抗告人から等しく扶養を受ける権利を有するから,上記主張は採用できない。」