1 「当裁判所は、控訴人(夫)と被控訴人(妻)の婚姻が控訴人の不貞行為によって破綻し婚姻を継続し難い重大な事由があると認められるところ、当分の間別居生活を続ける旨の調停が成立した後約13年の別居期間が経過しようとしており、子らはいずれも高校生に成長し、当審における家庭裁判所調査官の事実調査の結果からも経済的な面を別とすれば離婚によって大きな影響を受ける可能性は低いこと、これを踏まえて当審で合意された一部和解において、控訴人が離婚慰謝料150万円及び二男の大学進学費用150万円の各支払を約束し債務名義が作成されていることなどの事情をも考慮すれば、現時点においては、破綻の経緯やその後の事情等を十分考えに入れたとしても有責配偶者である控訴人の本件離婚請求を信義誠実の原則に反するものとして棄却すべき理由はないものと判断する。」
2 上記裁判例によれば、有責配偶者が婚姻費用を負担していない等の事情がある場合には、別居期間が長期間に及んでいたとしても、なお離婚請求が認められないという判断になりうる。