弁護士法人栗田勇法律事務所 > 離婚問題重要判例紹介 > 【大阪高判平成26年3月13日・財産分与】医療法人に係る夫婦名義の出資持分のほか、夫の母名義の出資持分をも財産分与の基礎財産として考慮し、医療法人の純資産価額に0.7を乗じた金額を出資持分の評価額として財産分与額を算定した事例

【大阪高判平成26年3月13日・財産分与】医療法人に係る夫婦名義の出資持分のほか、夫の母名義の出資持分をも財産分与の基礎財産として考慮し、医療法人の純資産価額に0.7を乗じた金額を出資持分の評価額として財産分与額を算定した事例

1 「本件医療法人が控訴人(夫)と被控訴人(妻)の婚姻届出後に開設され、控訴人が経営してきた旧診療所を引き継いだ本件診療所を法人化して設立されたものであることなどを考慮すると、控訴人の母名義の出資持分をも財産分与の対象財産とするのが婚姻届出後別居時までに形成された婚姻共同財産を清算するという財産分与制度の趣旨目的に副うものというべきである。」

2 「清算的財産分与は、別居時の財産を対象とし、時価評価すべきものがあれば、事実審の口頭弁論終結時をその基準時とするのが相当であるところ、法律的には控訴人が医師の資格を有する者に出資持分を有償譲渡して退社し、理事長等の地位を承継させることによって出資持分の現金化をすることも可能であることを考慮すれば、控訴人の主張するような本件医療法人の解散時の残余財産分配の見込額から清算所得に対する法人税額、控訴人に対して支払うことを予定する退職金支払見込額及び中間利息を控除した金額をもってそのまま出資持分の評価とすることは相当でないし、上記のとおり出資持分を譲渡して退社する時期を現時点において具体的に認定し得るものでもないことを考慮すれば、その時点において控訴人に対して支払うことを予定する退職金見込額を考慮して算定した出資持分の払戻見込額から中間利息を控除した金額をもって出資持分の評価とすることも相当とはいえない。」

3 「本件医療法人の出資持分の評価額を算定するに当たっては、収益還元法によって出資持分の評価額を算定し得るような証拠が提出されているわけではなく、純資産価額を考慮して評価せざるを得ない(最高裁平成22年7月判決参照)。

もっとも、医療法(平成18年法律第84号による改正前のもの)に基づいて設立された医療法人については、社団たる医療法人の財産の出資社員への分配については、収益又は評価益を剰余金として社員に分配することを禁止する同法54条に反しない限り、基本的に当該医療法人が自律的に定めるところに委ねており、本件医療法人のように医療法人の定款に当該法人の解散時にはその残余財産を払込出資額に応じて分配する旨の規定がある場合においては、同定款中の退社した社員はその出資額に応じて返還を請求することができる旨の規定は、出資した社員は、退職時に、当該医療法人に対し、同時点における当該法人の財産の評価額に、同時点における総出資額中の当該社員の出資額が占める割合を乗じて算出される額の返還を請求することができることを規定したものと解されるところ、こうした返還請求権の行使が具体的な事実関係の下においては権利を濫用するものとして制限されることもあり得る(最高裁平成22年4月判決参照)。

また、弁論の全趣旨によれば、控訴人は、当分の間、本件医療法人において医師として稼働する意思を有していることが認められ、形式上も96.66パーセントの出資持分を保有する控訴人が、現時点において本件医療法人に対して退社した上出資持分の払戻を請求するとは考えられない。

さらに、将来出資持分の払戻請求や残余財産分配請求がされるまでに本件医療法人についてどのような事業運営上の変化などが生じるかについて確実な予想をすることが困難な面がある。

こうしたことを考慮すれば,本件医療法人の純資産評価額の7割相当額をもって出資持分3000口の評価額とするのが相当である。」


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