原告は、本件不貞関係発覚後、被告が不貞開始時期につき虚偽の事実を述べており、これが慰謝料の増額事由にあたると主張するので、この点につき検討する。
前記のとおり、被告は、平成24年7月14日の原告らとの話合いの際、本件不貞関係の開始時期は同年3月末くらいだと述べており、客観的事実に反する虚偽を原告に申し向けている。
そして、被告は被告補助参加人から別居開始時が同年3月末であると聞いていた。
被告本人及び被告補助参加人の尋問結果からすれば、これは被告が被告補助参加人から別居開始時を聞き、これに本件不貞関係の開始時期を合わせたものと考えられる。
また、同年8月14日送付の回答書では、本件不貞関係の期間は3か月であると虚偽の事実を原告に告げている。
これらは、被告が自身の責任を矮小化するために事実と異なる虚偽を申し向けたものであるといえ、これにより原告の精神的苦痛が増大したといえる。
原告は、約6か月間(性交渉は約20回程度)にわたる本件不貞関係により、婚姻生活の平和が侵害され、約8年間の婚姻生活を終えて離婚に至り、妻(被告補助参加人)を失うと共に、同人との間にできた未成年の2人の子と共に家庭生活を営むこともできなくなった。
これにより原告の受けた精神的苦痛は大きく、前記の事情も考慮し、慰謝料額を320万円とするのが相当であると解される。
また、原告は本件不貞関係と相当因果関係のある弁護士費用についても被告に請求できると解されるところ、それは慰謝料額の1割に相当する32万円とするのが相当である。
原告は、本件不貞関係開始時である平成24年1月10日からの民法所定の遅延損害金も請求しているが、慰謝料に対する遅延損害金の起算日は不法行為終了日と解すべきであるから、原告と被告補助参加人とが離婚した平成24年7月22日を起算日とすべきである。