1 裁判所は、自営業者の収入認定の際に、確定申告書上の「課税される所得金額」に現実の支出がない控除項目等を加算して総収入とした。
その上で、自営業者として、公租公課及び職業費を標準的な割合とみて、基礎収入を総収入の50%と認定した。
2 相手方が、審判に対して即時抗告したが、福岡高裁那覇支部は収入認定について原審を維持し、即時抗告を棄却した(福岡高那覇支決平成22年9月29日)。
また、相手方による特別抗告及び許可抗告についても棄却した(最決平成23年3月17日)。
3 なお、具体的に「課税される所得金額」に加算すべき項目は以下のとおりである。
①現実に支出されていないもの
「雑損控除」、「寡婦、寡夫控除」、「勤労学生、障害者控除」、「配偶者(特別)控除」、「扶養控除」、「基礎控除」、「青色申告特別控除」
また、「専従者給与(控除)額の合計額」についても、現実の支払がない場合には加算する。
②算定表で収入に応じた標準額が既に考慮されているもの
「医療費控除」、「生命保険料控除」、「地震保険料控除」
なお、標準額を超える支出がある場合には、別途特別経費として考慮する場合もある。
③現実の支出であっても養育費・婚姻費用の支払に優先しないとされるもの
「小規模企業共済等掛金控除」、「寄附金控除」