1 「・・・前項において認定した事実、殊に、X(女性)が都内文京区及び同区内の肩書住所地に居住するようになって以来、Y(男性)も同所から出社するなど同所を生活の本拠としているものと認められ、その後も同様に生活を継続していたことも考慮するとXとYとの関係は、内縁関係に当たると認め得る。
・・・以上によれば、Yと妻との関係は、戸籍上は昭和53年まで婚姻関係が継続していたものの、XとYが内縁関係に入るまでには、既に形骸化していたものと認めるのが相当である。
・・・離婚の届出から10年後に死亡した者について妻として葬儀をした事実は、同人との婚姻が形骸化していたことを否定する事情とはならない。
・・・重婚的内縁関係であっても、妻との婚姻が形骸化している場合には、内縁関係に相応の法的保護が与えられるべきであり、これを理由なく破棄することは、不法行為を構成する。
・・・XとYが共に生活した期間が30年にも及ぶこと、内縁関係の破棄が専らYの意向でされ、Xに責められるべき事情があるとは窺えないことなど諸般の事情を考慮し、慰謝料額は、1000万円をもって相当とするものと定める。」
2 上記裁判例のように、法律婚が形骸化し、事実上離婚状態になっている場合には、重婚的内縁関係にも相応の法的保護が与えられます。
3 参考事例
19歳の女性に対して、妻と離婚して結構する旨を告げて、性的関係をもち2ヶ月近く暮らし、女性の出産を機会に関係を一方的に解消した事案で、女性の責任に比べ男性の責任の方が大きいことを考慮して、慰謝料を認めた例(京都地判平成4年10月27日)