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【東京高判平成25年9月26日・面会交流】面会交流の内容や条件を具体的に定めることなく概括的に面会交流を許した審判を審理不尽として原審に差し戻した事例

1 原審判が面会交流の内容及び条件を定めなかったことの当否について

本件においては、未成年者らを監護している相手方は、抗告人の言動等に不安を述べている状況にあり、相手方と抗告人との間には、面会交流の内容や条件を抗告人と相手方との間で任意に協議の上自律的に決定することを可能とするまでの信頼関係が形成されていない

そうであるとすると、本件においては、裁判所において、面会交流の頻度、日時、場所、態様等について、具体的に決定する必要性があると認めるのが相当である。

原審が提案した試行的な面会交流の実施は、長期間抗告人と面会交流をしていなかった未成年者らに対して、抗告人との面会交流の開始に先立ち抗告人と接する機会を設けることにより、面会交流開始時に未成年者らに生じる心理的な混乱を軽減すること、試行的ではあっても面会交流が実際に支障なく行われることを確認することを通じて監護親である相手方の不安を解消し、円滑な面会交流の実施のために必要な相手方の協力を得ることを可能とすること、さらには、試行の過程で面会交流の実施について具体的な問題点が発見された場合には、これを面会交流が円滑に実施されるようにその内容及び条件を決定するための一情報とすることを目的として提案されたものと解されるところ、これらの目的を遂行するに当たり、試行的な面会交流は有効な手法といえる。

しかし、面会交流の内容や条件を決定するについては、試行的な面会交流を実施することが必要不可欠とはいえない

抗告人と未成年者らとの面会交流を認めるのが相当と判断する以上は、試行的な面会交流が実施できないことによって、円滑な面会交流の実現がより難しいことになると考えられるとしても、これによって面会交流の内容及び条件を具体的に決定することが困難となることはないというべきである。

したがって、・・・面会交流について具体的な内容及び条件を定めることを回避したことは相当とはいえない。 」

2 面会交流の内容及び条件を決定するための審理について

面会交流の内容及び条件を具体的に決定するに際しては、子に関する情報として、子の発達や発育の状況、性格や行動傾向、日常的な生活日程等を、父母に関する情報として、心身の状況、経済状況、面会交流に対する理解の程度等を、さらには、面会交流に適した場所や引渡しの場所等の有無、面会交流の援助者の有無などについて可能な限りの情報を収集し、これに基づき検討を行う必要がある

また、当事者間の紛争性が高い場合等は、これに子を巻き込まないように、当事者に最高裁判所作成のDVDを視聴させるなどして、面会交流に際して子の福祉の観点から親が心がけるべき事項に対する理解を深めさせるなど、調整的な働きかけを行う必要がある

これを本件についてみるに、原審では、審問等によって一定の情報収集が行われてはいるものの、試行的な面会交流の実施を通じて調整を行うことに力点を置き、これが実現しないまま審判に至った結果として、面会交流の具体的な内容及び条件を決定するために必要な情報の収集が十分に行われているとは認め難い。

また、面会交流の具体的条件を念頭においた調整も行われないまま審判に至っているといわざるを得ない。

そうであるとすると、本件で面会交流の内容及び条件を具体的に決定するためには、更なる調査と調整が必要であるというべきである。

そして、当事者の住所が当裁判所から遠隔地に所在するため、このような調査等の手続は、原審の裁判所でこれを行った方が、審理をより円滑かつきめ細かい配慮の下に進行させることができ、当事者の負担も少ないと考えられる。

よって、本件は、新潟家庭裁判所高田支部に差し戻すのが相当である。」


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