弁護士法人栗田勇法律事務所 > 離婚問題重要判例紹介 > 【東京高判平成26年6月12日・離婚】2人の未成熟子がいる夫婦のフランス国籍の妻が日本国籍の夫に対し婚姻を継続し難い重大な事由があるとして離婚及び親権者の指定等を申し立てている事案において、妻が有責配偶者であるとして離婚請求を棄却した原判決を取り消し、離婚請求及び親権者の指定等が認容された事例

【東京高判平成26年6月12日・離婚】2人の未成熟子がいる夫婦のフランス国籍の妻が日本国籍の夫に対し婚姻を継続し難い重大な事由があるとして離婚及び親権者の指定等を申し立てている事案において、妻が有責配偶者であるとして離婚請求を棄却した原判決を取り消し、離婚請求及び親権者の指定等が認容された事例

1 「民法770条は、裁判上の離婚原因を制限的に列挙していた旧民法八一三条を全面的に改め、一項一号ないし四号において主な離婚原因を具体的に示すとともに、五号において「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」との抽象的な事由を掲げているところ、同条二項は、法定の離婚原因がある場合でも離婚の訴えを提起することができない事由を定めていた旧民法八一四条ないし八一七条の規定の趣旨の一部を取り入れて、一項一号ないし四号に基づく離婚請求については、各号所定の事由が認められる場合であっても、二項の要件が充足されるときは離婚請求を棄却することができるとしているのであるが、一項五号に基づく請求についてはかかる制限は及ばないものとしているのであって、民法七七〇条の立法経緯及び規定の文言からみる限り、同条一項五号は、夫婦が婚姻の目的である共同生活を達成し得なくなり、その回復の見込みがなくなった場合には、夫婦の一方は他方に対して、訴えにより離婚を請求することができる旨を定めたものと解されるのであって、同号所定の事由(以下「五号所定の事由」という。)につき何らかの責任のある一方の当事者は、いかなる場合でも離婚を請求することができないとまで定めたものではないというべきである

もっとも、五号所定の事由がありさえすれば常に離婚請求が認められるとすると、自らその原因となるべき事実を作出した一方の配偶者において、そのことを自己に有利に利用して一方的に他方の配偶者に対して離婚を求めることができる事態となって、他方の配偶者の立場を著しく不安定なものとして、夫婦間の信義則に反する結果となるから、そのような離婚請求を許容するべきではないことはいうまでもない。

そして、憲法二四条の趣旨に照らし、婚姻は、両性が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思をもって共同生活を営むことを本質とするものであるから、夫婦の一方又は双方が既にその意思を確定的に喪失するとともに、夫婦としての共同生活の実体を欠き、その回復の見込みが全くない状態に至り、もはや社会生活上の実質的基礎を失っている場合においてまで、なお戸籍上の婚姻を存続させることは不自然であり、不合理であるといわざるを得ないが、それと同時に、婚姻関係が法律秩序の一環である以上、その離婚請求が正義や公平の観念、社会的倫理の観念に反し、信義誠実の原則に反するものであるときは、これを許容することは相当ではないというべきである。

そして、五号所定の事由による離婚請求が、その事由につき専ら責任のある一方の当事者(有責配偶者)からなされた場合において、その請求が信義誠実の原則に照らして許容されるか否かを判断するに当たっては、有責配偶者の責任の態様・程度はもとより、相手方配偶者の婚姻継続についての意思及び請求者に対する感情、離婚を認めた場合における相手方配偶者の精神的・社会的・経済的状態及び夫婦間の子、特に未成熟子の監護・教育・福祉の状況、別居後に形成された生活関係等が斟酌されるべきである(最高裁昭和六二年九月二日大法廷判決)。

そして、これまでそのような有責配偶者からの離婚請求が否定されてきた実質的な理由の一つには、一家の収入を支えている夫が、妻以外の女性と不倫や不貞の関係に及んで別居状態となり、そのような身勝手な夫からの離婚請求をそのまま認めてしまうことは、残された妻子が安定的な収入を断たれて経済的に不安定な状態に追い込まれてしまい、著しく社会正義に反する結果となるため、そのような事態を回避するという目的があったものと解されるから、仮に、形式的には有責配偶者からの離婚請求であっても、実質的にそのような著しく社会正義に反するような結果がもたらされる場合でなければ、その離婚請求をどうしても否定しなければならないものではないというべきである。」

2 「長男は現在六歳で、平成二六年四月に小学校に入学し、英語教室と空手教室に通っていること、長女は現在四歳で保育園に行きながら、空手教室に通っていること、控訴人が被控訴人と別居してから約二年が経過しているところ、未成年者らはいずれも健康体で、心身ともに特段の問題もなく控訴人と一緒に生活していること、他方、被控訴人は、仕事が忙しく、海外出張もあるなど、継続的かつ安定的に未成年者らの養育監護をすることは困難であることなどの事情が認められるのであって、これまでも主に控訴人が未成年者らの養育監護に当たってきたことや、現在の控訴人による養育監護の状況が未成年者らの福祉に反することを具体的にうかがわせる事情はなく、これを変更する特段の理由がないこと、未成年者らがまだ幼く、母である控訴人を愛着の対象として必要としていることなど、諸般の事情を考慮すると、本件では、未成年者らの親権者をいずれも控訴人と定めるのが相当である。

そして、被控訴人と未成年者らとの父子関係は、面会交流を充実させることによって維持発展させるのが相当であり、未成年者らの福祉にとっても必要なものであるから、控訴人は、被控訴人と未成年者との今後の面会交流については、できるだけ寛容な態度で臨み、未成年者らの福祉に反することのないよう十分に配慮すべきである。」


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