1 「相手方との面会交流を拒否する未成年者の意向には抗告人の影響が相当程度及んでいることが認められるから,抗告人は自ら積極的にその言動を改善し,未成年者に適切な働き掛けを行って,相手方と未成年者との面会交流を実現すべきであるが,従前の経緯や抗告人の原審及び当審における主張からすると,抗告人に対し少額の間接強制金の支払を命ずるだけではそれが困難であると解されること,抗告人が年額2640万円の収入を得ていること,その他本件に現れた一切の事情を考慮すると,本件における間接強制金を不履行1回につき30万円と定めるのが相当である(原決定は,本件における間接強制金を不履行1回につき100万円と定めたが,相手方の原決定前の不履行の態様等に照らして,そのような判断にも理由のないものではないものの,その金額は,上記事情を考慮しても余りにも過大であり相当でない。)。
なお,そもそも抗告人は確定決定に基づき本件義務を履行しなければならないものであるし,仮に抗告人の本件義務が今後再び履行されず,その不履行が続くようであれば,民事執行法172条2項により間接強制金が増額変更される可能性があるから,抗告人は,それらのことも念頭に置いて,本件義務を履行しなければならない。」
2 「抗告人は,間接強制が認められるためにはその義務が債務者の意向のみによって履行できる義務であることが必要であるところ,13歳になった未成年者が相手方との面会交流を拒絶する意思を明確に示している以上,抗告人が自己の意向のみによって本件義務を履行することは不可能であるから,本件申立ては却下されるべきであると主張する。
しかしながら,子の面会交流に係る審判又は審判に代わる決定(以下「審判等」という。)は子の心情等を踏まえた上でされているから,監護親に対し非監護親が子と面会交流をすることを許さなければならないと命ずる審判等がされた場合,子が非監護親との面会交流を拒絶する意思を示していることは,これをもって,上記審判等がされた時とは異なる状況が生じたといえるときは上記審判等に係る面会交流を禁止し,又は面会交流についての新たな条項を定めるための調停や審判を申し立てる理由となり得ることなどは格別,上記審判等に基づく間接強制決定をすることを妨げる理由となるものではないところ(最高裁平成25年3月28日第一小法廷決定参照),本件において,確定決定時と異なる状況が生じていることを認めるに足りる資料はない。」