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【東京高決平成23年6月・養育費/婚姻費用】義務者が退職して無職の場合の認定方法

1 原審判は、従前の就労の内容や、通院及び服薬の継続を考慮しても、就労が困難とまでは認め難く、一定程度の就労は可能な状況にあるものというべきとして、稼働能力を認め、申立人(夫)の年齢や学歴等を項御呂して収入認定した。

一方、相手方(妻)については、就職が内定しているという事情をふまえて、就職時までの収入は現在得ているアルバイト収入を基準に、就職後は見込み給与額を基準に収入認定を行い、婚姻費用を算定した(高裁も同旨)。

2 義務者が退職して無職であっても、潜在的稼働能力が存在すると認められる場合には、稼働能力に応じた収入を賃金センサスを用いる等して認定し、算定の基礎とする。

3 潜在的稼働能力の有無・程度は、退職した経緯や退職後の状況に基づき判断される。

具体的には、過去の経験や就業状況、健康状態、学歴、資格の有無、年齢、退職の経緯、再就職が困難な事情の有無等が判断材料となる。

本事例では、義務者(夫)が、退職前に強制執行について自ら調べていたことや、裁判が終わるまで仕事を見つけないと妻に告知していたという退職前後の経緯や、別居前に勤務先での仕事以外にも各種副業をして収入を得ていたという従前の就労状況を考慮し、稼働能力を認めている。

4 参考事例

①アルコール依存症等の診断を受け無職となったため、診断書の記載や保佐開始申立予定であること等から稼働能力がないとして収入を0と認定した例(大阪高決平成21年4月16日)

②歯科医師が退職して減収を主張したが、仮に退職がやむを得なかったとしても、その年齢、資格、経験等からみて、同程度の収入を得る稼働能力はあるものと認めることができるとして、退職後の減少した収入を算定の基礎とすることはできないとした例(大阪高決平成22年3月3日)

③家業の食品会社が破産し、自らも破産し無職となった義務者が、調理師免許を有し、相応の職歴も有しているから、短期間労働者と同程度の潜在的稼働能力しかないとみることは妥当でないが、年齢や経済情勢に鑑みると、賃金センサスに匹敵する収入を確保することも難しいとして賃金センサスの額の約半額を収入として認定した例(大阪高決平成21年9月4日)


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