「未成年と非看護者との面会交流が、未成年者の健全な成長と発達にとって非常に重要であることはいうまでもなく、未成年者は、別居当時には生後10か月で、現在1歳7か月になったばかりの乳児期にあって、母親である抗告人の身上監護を受けているとはいえ、できるだけ速やかに父親である相手方との定期的な面会交流の実施が望まれるところである。
抗告人と相手方との間には、離婚をめぐって厳しい対立関係にある様子がうかがわれ、相手方において、未成年者との面会交流の実施につき、抗告人が離婚交渉に応ずることを条件とするようであるが、そもそも面会交流は、上記のとおり未成年者の健全な成長と発達にとって非常に重要であり、その未成年者の利益を最も優先して考慮して実施すべきものであるから、監護親及び非監護親は、その実施に向けて互いに協力すべきものであって、本件においては、監護親である抗告人が面会交流の実施を強く望んでいることは上記のとおりであり、一件記録によれば、非監護親である相手方も未成年者との面会交流自体には必ずしも否定的な姿勢ではなく、第三者機関を利用した方法による実現の可能性も考えられるところである。
そうすると、なお、当事者に対する意向調査等を通じて、面会交流の趣旨の理解とその実施への協力が得られるように働き掛けを行うなど、面会交流の実施に向けての合意形成を目指して両当事者間の調整を試み、これらの調査や調整の結果を踏まえた上で、最終的に面会交流の実施の当否やその条件等を判断する必要があるというべきである。
したがって、本件においては、原審において、更に審理をする必要があると認められるので、原審に差し戻した上、改めて面会交流の実施に向けて調整等をし、その結果を踏まえて判断することが相当であるといわなければならない。」