弁護士法人栗田勇法律事務所 > 離婚問題重要判例紹介 > 【福岡高判平成28年1月20日・面会交流】面会交流の具体的取り決めを当事者の協議に委ねる調停合意の後、協議ができず面会交流が実施されなかったことにつき、一方的に原審被告らの責めに帰すべきものとはいえず、原審被告代理人弁護士が原審原告への連絡方法に書面郵送を用いたことが不適切とはいえない等として、誠実協議義務違反による共同不法行為の成立を否定した事例

【福岡高判平成28年1月20日・面会交流】面会交流の具体的取り決めを当事者の協議に委ねる調停合意の後、協議ができず面会交流が実施されなかったことにつき、一方的に原審被告らの責めに帰すべきものとはいえず、原審被告代理人弁護士が原審原告への連絡方法に書面郵送を用いたことが不適切とはいえない等として、誠実協議義務違反による共同不法行為の成立を否定した事例

1 「確かに,監護親は,子の福祉のため,別居中の非監護親と子が適切な方法による面会交流をすることができるように努力すべきであり,協議が調わないとき又は協議をすることができないときは,非監護親は,民法766条を類推適用して,家庭裁判所にこれを求める調停・審判を求めることができる。
もっとも,調停・審判により面会交流の具体的日時,場所,方法等が定められて具体的権利として形成されるまでは,面会交流を求める非監護親の権利を仮にこれを観念できるとしても,いまだ抽象的なものにとどまるというべきである。したがって,本件調停成立前の上記期間中に,原告が二男と面会交流をすることができなかったからといって,直ちに原告の法的保護に値する利益が侵害されたとはいえないから,被告Y1のその間の行為が原告に対する不法行為を構成するということはできない。」

2 「本件調停においては,面会交流の実施回数と実施日を月2回程度(原則として第2,第4土曜日)と具体的に定めた上で,その具体的日時,場所,方法等の詳細については当事者間の協議に委ねている。そして,面会交流が子の福祉のために重要な役割を果たすことに鑑みれば,当事者は,本件調停を尊重し,これに従って面会交流を実施するため具体的日時,場所,方法等の詳細な面会交流の条件の取決めに向けて誠実に協議すべき条理上の注意義務(誠実協議義務)を負担していると解するのが相当である。
そして,一方当事者が,正当な理由なくこの点に関する一切の協議を拒否した場合とか,相手方当事者が到底履行できないような条件を提示したり,協議の申入れに対する回答を著しく遅滞するなど,社会通念に照らし実質的に協議を拒否したと評価される行為をした場合には,誠実協議義務に違反するものであり,本件調停によって具体化された相手方当事者のいわゆる面会交流権を侵害するものとして,相手方当事者に対する不法行為を構成するというべきである。」

3 「原告は,被告Y2との間での面会交流に関する協議に際し,被告Y2がメールではなく専ら書面郵送の方法により原告に連絡をしていることが,面会交流の不実施を目的とする意図的な遅延行為であると主張する。
確かに,メールに比較して書面郵送に時間がかかるのは原告主張のとおりであり,特に,面会の日時,場所,方法等に関する単なる事務的な打合せのためには,双方の都合の調整のため必要に応じて1日に何度もやりとりが可能なメールによる方法が便宜であるとはいえる。
しかし,書面郵送による連絡方法を採ることが,面会交流の実質的拒否に匹敵するほどの遅延を招くものとは通常は考えにくい
本件において,被告Y2が受任した後に面会交流が実施されなかった原因は,上記認定説示のとおり,双方の感情的対立等から面会条件の具体的協議が困難になったことによるものであって,被告Y2が書面郵送による連絡方法をとったことによるものでないことは明らかである。
また,内容によっては慎重さを期すために書面による方法が適切な場合もあり,本件においても,原告は,協議に際し,被告Y2の受任後の面会交流の拒否が被告Y2の教唆によるものか,被告Y2の提案した面会条件が子の福祉を考慮したものか回答を求めるなど,その回答の可否の判断及びその内容を直ちに回答することが困難な事項も含まれている。これらの事項は,上記事務的打合せの範囲を超えるものである上,原告は,その点に関する回答が面会交流実施の前提条件のように読めるメールを被告Y2に送信しているのである。
その場合,被告Y2がこれに即事に回答することはいずれにせよ困難であり,被告Y2から原告への連絡方法が書面郵送によることが面会交流の協議の進展に実質的な影響があったことは窺われない。
なお,そもそも原告は,当初は連絡は書面又はメールで行うことを求めていたものである。
以上のとおり,被告Y2が原告との連絡方法として採った書面郵送の方法が適切さを欠くということはできないし,ましてやこの方法を採ったことが,ことさら面会交流の遅延を目的としたものであるなど,原告に対する不法行為責任を生じさせるような行為であると認めることは到底できない。」


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