1 「子ども手当制度は、次代を担う子供の育ちを社会全体で応援するとの観点から実施されるものであるから、夫婦間の協力扶助義務に基礎を置く婚姻費用の分担の範囲に直ちに影響を与えるものではない。
公立高等学校の授業料はそれほど高額ではなく、長女の教育費ひいては相手方の生活費全体に占める割合もさほど高くはないものと推察されるから、授業料の無償化は、抗告人(夫)が負担すべき婚姻費用の額を減額させるほどの影響を及ぼすものではない。
また、これらの公的扶助等は私的扶助を補助する性質のものであるから、この観点からも婚姻費用の額を定めるに当たって考慮すべきものではない。」
2 参考事例
児童手当及び児童育成手当について、公的扶助の補充性からして養育費の分担額の決定に当たりこれを基礎収入に加えることは相当でないとした例(東京高決平成15年8月15日)