1 裁判所は、長女が①大学浪人生であること、②アルバイトも見つからない状況であること、③精神的に不安定な状況であること、④両親が双方とも4年制大学を卒業していることが考慮され、長女が成人した現時点でも未成熟子であるとして、その監護に要する費用を両親が分担するのが相当であると判断した。
2 このように、子が未成熟子に当たるか否かは、両親の職業・学歴・子の教育に対する意向、子が生育してきた家庭の経済水準・教育水準、子の健康状態・稼働能力・進学状況などの諸般の事情を考慮した上で判断されることになる。
3 参考事例
①子が成年に達していたものの貧血で通常の就職稼働はできない状態であったことに照らし、未成熟子に当たるとした例(福岡家小倉支審昭和47年3月31日)
②成人した後に私立大学に在籍する娘から父親に扶養料を請求した事案において、原審判が「申立人は健康体の成人であって、知的能力は問題がなく、身体的にも何らの障害も認められず、申立人の潜在的稼働能力は十分である」として申立てを却下したことに対し、抗告審は、大学進学率が高く、学歴が就職の差異につながっている現状においては、子の大学卒業までの学費・生活費については、その不足する額や経緯、奨学金やアルバイトの見込み、親の資力、親の進学に関する意向等を考慮すべきであるとして差し戻した例(東京高決平成12年12月5日)
③原告被告とも子らが大学を卒業することを強く望んでいる旨明確に供述しており、4年制大学の卒業が予定される満22歳時までは、養育費支払義務が継続されるべき格別の事情が存在するとした例(東京地判平成17年4月15日)