【名古屋高決平成25年6月10日】取締役を解任する株主総会決議の効力停止の仮処分

1 「本件総会の招集に当たり、抗告人において取締役会の決議がされ、その日時・場所が代表取締役に一任された事実の疎明がない・・・。

この点、抗告人は、従前、抗告人の株主総会の具体的な日時・場所は代表取締役に一任される運用が続いていたことが考慮されるべきである旨主張する。

しかし、本件総会は、抗告人の代表取締役が、平成二四年七月一〇日、昭和五三年以来代表者を務めていたD(相手方の実兄)から、相手方の甥であるAに交代した後、わずか三か月弱で開催されたもので、同族会社である抗告人の経営を巡って、親族間で新たな利害対立や経営方針についての意見の相違が生じ得る状況にあったといえるし、実際にも、昭和四八年以来取締役を務めていた相手方の解任が諮られるなど、そこで決議された内容も関係者にとって重要なものであったことを考慮すると、仮に抗告人の株主総会に係る従前の運用が主張のとおりだとしても、これをもって、本件総会の招集に係る手続的瑕疵が不存在ないし治癒されたと評価することはできない。」

2 「抗告人は、会社法施行規則七八条が、取締役が取締役の解任に関する議案を提出する場合には、株主総会参考書類には対象取締役の氏名を記載しなければならないと規定していることを指摘して、対象取締役の氏名は議案であって、議題の一部ではないと主張する。

しかし、上記規定は、株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができること(書面による議決権の行使)を定めた場合において、株主総会招集通知に際して交付すべき書類について定めたものであり(会社法三〇一条一項、同法施行規則六五条)、それ以外の場合において、対象となる取締役の氏名を明示する必要がないことを示すものとはいえない。

むしろ、取締役の解任は、必然的に、特定の取締役についての決議となるから(たとえ取締役全員を解任する場合であっても、解任対象となる取締役が特定されていることには変わりがない。)、特段の事情がない限り、あらかじめ対象となる取締役を明示しておく必要があるというべきである。」

3 「取締役に、取締役会を通じて代表取締役の職務執行を監督する権限や、取締役会において株主総会の目的事項の決定に関与する権限があること、これらの権限を行使できないことによる損害は、その性質上、金銭的賠償によって回復され得ないものであり、相手方に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるために本件決議の効力を停止する必要がある」
 


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