【大阪高判平成29年4月27日】資本金の額の減少が、債権者を害するおそれがなく、これを無効とすることはできないとされた事例

1 「資本金の額の減少における「債権者を害するおそれ」については、当該資本金の額の減少によって抽象的に将来に向けて剰余金の分配可能性が高まる(会社財産に対する拘束が弱まる)というだけでなく、資本金の額の減少が債権者により具体的な影響を与えるかどうかを検討して判断すべきである。

その判断に当たっては、資本金の額の減少の直後に剰余金の配当等が予定されているか否かに加え、当該会社債権者の債権の額、その弁済期、当該会社の行う事業のリスク、従来の資本金及び減少する資本金の額等を総合的に勘案し、当該会社債権者に対して不当に付加的なリスクを負わせることがないかという観点から行うべきである。」

2 「確かに、本件においては、上記認定のとおり、被控訴人会社の会社財産の分配が直ちに可能となるわけではないとしても、資本金の額が4億7810万2123円であったものを、突然2000万円に減少されてしまっては、物的会社である株式会社に対する信用は著しく低下せざるを得ない。このような場合、例えば、会社の規模(資本金の額)を信用して、多額の債権を長期で貸し付けている会社債権者にとっては「債権者を害するおそれ」があるといえる場合もあり得るものと解される。

しかし、本件においては、控訴人の被控訴人会社に対する債権額は400万円程度であり、その請求を認容する原判決には仮執行宣言が付されていて、いつでも強制執行が可能な状態となっている上、被控訴人会社は、当審において上記債権を争っていないから、将来における被控訴人会社のリスクを考慮する必要はないといえる。

したがって、控訴人については、本件資本金額減少が現時点において控訴人を害するおそれがあるかどうかという観点から検討すれば足り、少なくとも現時点においては、上記で検討したとおり、本件資本金額減少により被控訴人会社の会社財産が減少することはないのであるから、控訴人を害するおそれはないというべきである。」

3 「なお、控訴人は、債務超過である被控訴人会社が資本金の額の減少を望むのであれば民事再生手続の申立てをすべきであり、それをせずに資本金の額の減少をしておきながら、債務超過を理由に債権者保護手続を執らないことは、民事再生法の脱法行為として許されない旨主張する。

しかし、被控訴人会社が会社法所定の手続により、前者の方法を執ることが民事再生法の脱法行為として許されないとはいえない。」


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