【大阪高決平成25年11月8日】株主による取締役会議事録の閲覧謄写の可否

1 「相手方が本件株主提案を行う意図は、抗告人における本件原発関連各事項に関する基本的認識及び姿勢には重大な問題があり、これを是正する必要があるというものである。

そうすると、相手方が本件株主提案をするためには、抗告人における本件原発関連各事項に関する基本的認識及び姿勢がどのような経緯で形成されてきたのかを把握するとともに、その当否について分析する必要があり、そのためには、抗告人取締役会における集約意見を検討するだけでは不十分であり、本件議事録各部分の閲覧・謄写をする必要性があるものと認めることができる。

相手方が閲覧及び謄写を求める本件議事録各部分は、本件原発関連各事項に関連性を有する部分に限定されているのであるから、相手方には、株主としての権利行使のために本件議事録各部分の閲覧及び謄写をする必要性があるものといえる。」

2 「抗告人は、相手方が主張する権利行使の必要性は、漠然とした抽象的なものにすぎないから、必要性は認められない旨主張する。

しかし、前回株主提案のうちの定款一部変更の件の主要なものが、電力事業会社である抗告人の原子力発電事業に関する基本的認識及び姿勢を是正させるため、抗告人の同事業に関する基本的な経営方針を定める内容の条項を定款に新設する議案であったこと、前回株主提案の件のうちの取締役選任の件は、抗告人における原子力発電事業の転換期において求められる経験と見識を備えていると相手方が認識する人物を取締役に選任することを求める議案であったこと、相手方が、前回株主提案と同様に、本件株主提案についても、本件原発関連各事項について、抗告人の基本的認識及び姿勢を是正させるための株主提案として、上記同様の本件株主提案をすることを検討していること、相手方が問題としている上記基本的認識及び姿勢は、抗告人取締役会における集約意見からだけではなく、抗告人取締役会における議論経過及び内容がどのようなものであったかにより、明らかにされるべきものであることを考慮すると、相手方の主張する権利行使の必要性は、十分具体的なものであるといえるし、これを認めることができる。」

3 「抗告人は、抗告人取締役会における議論内容は既に公表又は開示されているから、閲覧及び謄写の必要性は認められない旨主張する。

しかし、抗告人が公表又は開示した情報は、抗告人取締役会における議論経過及び内容そのものではなく、最終的に集約された内容にすぎないのであるから、本件議事録各部分に基づき抗告人取締役会における過去の議論経過及び内容が明らかになることにより、相手方は、本件株主提案、同理由説明及び事前質問について、十分に検討することが可能となる。そうすると、本件株主提案に関連する事項について、抗告人が情報を公表又は開示していることを考慮しても、本件議事録各部分を閲覧及び謄写する必要性があるものと認めることができる。」

4 「抗告人は、相手方が本件議事録各部分を閲覧及び謄写することにより、抗告人に著しい損害を及ぼすおそれがある旨主張する。

しかし、相手方が閲覧及び謄写する部分が、本件議事録各部分に限られていること、相手方には上記一説示のとおり、株主としての権利行使のために、本件議事録各部分の閲覧及び謄写をする必要性が認められること、相手方代理人が抗告人取締役会議事録を正当な理由なく外部に公表しないことを誓約する旨の書面を提出していることを考慮すると、相手方が本件議事録各部分を目的外使用するものとは認められないし、相手方が本件議事録各部分を公表することにより、抗告人に著しい損害を及ぼすおそれがあるものと認めることができない。」


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