【東京地判平成27年10月2日】譲渡会社の略称の続用と会社法22条1項の類推適用

1 「会社法22条1項は、事業を譲り受けた会社が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合には、その譲受会社も、譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負う旨を規定しているところ、ここにいう事業の譲渡とは、一定の営業目的のために組織化され、有機的一体として機能する財産(得意先関係等の経済的価値のある事実関係を含む。)の全部又は重要な一部を譲渡し、これによって、譲渡会社がその財産によって営んでいた営業的活動の全部又は重要な一部を譲受人に受け継がせるものをいうものと解される(最高裁昭和40年9月22日大法廷判決・民集19巻6号1600頁参照)。」

2 「会社法22条1項が、営業譲渡の譲受会社のうち、商号を続用する者に対して、譲渡会社の債務を弁済する責任を負わせた趣旨は、営業の譲受会社が譲渡会社の商号を続用する場合には、従前の営業上の債権者は、営業主体の交替を認識することが一般に困難であることから、譲受会社のそのような外観を信頼した債権者を保護するためであると解するのが相当である(最高裁昭和29年10月7日第一小法廷判決・民集8巻10号1795頁、同昭和47年3月2日第一小法廷判決・民集26巻2号183頁参照)。」

3 「被告は、a社がかねてより英語表記の略称として用いていた「Y」という名称を商号とし、また、a社がかねてより使用していた本件標章を使用しているものであるところ、「Y」という名称はa社という営業主体を表すものとして業界で浸透し、ブランド力を有するに至っており、また、本件標章はそのブランドの象徴として利用されてきたものと認められる。

そして、一般に標章には、商号と同様に、商品等の出所を表示し、品質を保証し、広告宣伝の効果を上げる機能があるということができるところ、被告は、本件標章を従業員の名刺、ホームページのほか、顧客に交付する提案資料等に表示していたことが認められ、被告が、a社の略称である「Y」を商号の主たる部分としていたことと相まって、a社という営業主体がそのまま存続しているとの外観を作出していたものということができる。

そうすると、a社の略称である「Y」を商号の主たる部分とする被告が、a社が使用していた本件標章を引き続き使用したことは、商号を続用した場合に準ずるものというべきであるから、被告は、会社法22条1項の類推適用により、a社の原告に対する債務を弁済する責任を負うものと解するのが相当である。」


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