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【東京地判平成29年9月29日】取締役非設置会社における代表取締役と他の取締役の権限

1 「被告会社においては,本件解任に至るまで定時株主総会が開催されたことを認めるに足りる的確な証拠はないが,・・・平成26年3月頃まで,一人株主である被告Y2が,自ら経理を担当して会計帳簿等や計算書類を管理することにより財務状況を把握し,決算書類を作成していたこと,本件解任直前の決算期は同年9月末であったことが認められる。
これらの事情を踏まえると,原告が本件解任前に定時株主総会を招集して計算書類及び事業報告を提出し計算書類の承認を受けなかったこと(会社法438条1項4号及び2項参照)は,本件解任の正当な理由を基礎付ける程度に注意義務又は忠実義務に反したものであるとまではいえない。」

2 「被告Y2は,平成26年2月末頃までは,本件新所沢工事に係るa社に対する代金請求に困難を生じ被告会社に著しい損害を生ずるおそれのある状況を把握していたというべきであるから,仮に原告が同月以降被告Y2に対して上記資料の準備の進捗状況等について報告をしていなかったとしても,原告が会社法357条1項所定の報告義務に反したということはできない。」

3 「原告は,被告会社において,①f社から受注した工事につき,原価管理や発注額に係る交渉等に適切さを欠く面があり,②その業務執行が被告会社において工事現場の監理等を担当する取締役として期待される水準に達していたとは認められず,③e社の経費ともなるべき本件物件の賃料や光熱費等の全額を被告会社の経費に計上したほか,法律上の原因なくe社に対して55万円を送金するという忠実義務違反があったものである。
これらの事情を総合すると,原告については,被告会社の唯一の株主である被告Y2が,原告に被告会社の取締役として職務の執行を委ねることができないと判断することもやむを得ない客観的,合理的な事情が存在するものといえ,本件解任については正当な理由があるものと認める。」

4 「代表取締役は株式会社の業務に関する一切の裁判外の行為をする権限(代表権)を有するが(会社法349条4項),取締役会設置会社以外の株式会社において取締役が2人以上ある場合,会社の業務は,定款に別段の定めがある場合を除き取締役の過半数をもって決定するものとされており(会社法348条2項),代表取締役が選定された場合であっても,他の取締役の有する同項所定の権限が当然に失われるものではないと解される。
これを本件業務委託契約についてみると,・・・被告会社は取締役会設置会社ではなく,代表取締役以外の取締役の同項所定の権限を制限する旨の定款の定めは設けられていないことが認められるところ,本件業務委託契約は,被告会社の下請業者等に対する支払を被告会社の外の第三者に委託することを内容とし,その締結の決定は被告会社の業務に係る判断であって,被告会社において,本件解任前の原告又はBが取締役として単独で決定することができたものとはいえない。
そして,被告会社の取締役の過半数が本件業務委託契約の締結に賛成していたことを認めるに足りる的確な証拠はなく,また,本件全証拠によっても,平成26年10月26日まで被告会社の代表取締役であった原告がこれらの事情を知らず,又は知り得なかったというべき事情は認められないから,本件業務委託契約は効力を生じない。」


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