【東京高判平成22年10月27日】会社分割と詐害行為取消権

1 「新設分割が会社法に基づく組織法上の法律行為であるとしても、新設分割は、新設分割会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を新設分割設立会社に承継させる法律行為であって財産権を目的とする法律行為というべきであり、また、法人格の取得という点に着目して新設分割による会社設立をいわば身分上の行為であるということができるとしても、そのことによって新設分割が財産権を目的とする法律行為でなくなるものではない。」

2 「民法は私人及びその取引行為等に適用される一般法であり、会社であっても、会社法等の特別法に規定がない事項については民法の適用を受けることは当然である。

また、・・・詐害行為取消権は、総債権者の共同担保となるべき債務者の一般財産を保全し、債権者を害する債務者の一般財産減少行為(詐害行為)を取り消して逸出した財産を返還させ、又は返還に代えてその価格賠償をさせることにより債務者の一般財産を原状に回復させるための制度であり、広く債権者を害する財産権を目的とする法律行為が詐害行為取消権の対象となるものであって、特定の債権者に対する返済などだけを対象とするものではない。」

3 「新設分割無効の訴えと詐害行為取消権は要件及び効果を異にする別個の制度であり、新設分割無効の訴えの制度があること、あるいは新設分割による新設分割設立会社に新たな法律関係が生じていることなどによって、新設分割により害される債権者の詐害行為取消権の行使が妨げられると解すべき根拠はない。」

4 「新設分割が企業再編のために用いられるものであるとしても、そのことによって詐害性がないとすることはできない。

また、新設分割は、債権者がこれに主体的に関与することがないまま行われ得るものであって、経済的に窮境にある債務者について、その債権者の多数の同意を得、かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により、当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し、もって当該債務者の事業又は経済生活の調整を図ることを目的とする民事再生法に基づく再生手続によるものではないから、再生手続による場合と同列に論じることはできない。」

5 「本件被保全債権を弁済し得る資力を有していない無資力の状態にあった控訴人Y1社が債権者を害することを知って行う総債権者の共同担保となる一般財産を減少させる法律行為は詐害行為となるのであって、これを取り消し得ることは当然である。

なお、相当の対価を得てした財産の処分行為の否認についての破産法161条の規定を考慮しても、本件会社分割が詐害行為に該当しないということはできない。」


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