【東京高決平成28年9月14日】専門委員の意見に基づきDCF法による評価を基礎とし純資産法による評価も考慮して株式の買取請求に係る公正な価格が決定された事例

1 「本件においては,本件株式交換により参加人に企業価値の増加は生じないから(審問の全趣旨)、本件各買取請求に係る「公正な価格」は、本件承認決議がされることがなければ本件各買取請求がされた日(抗告人X1につき平成26年11月27日、抗告人X2につき同月26日)において本件各株式が有したであろう価格をいうものと解される。」

「そして、本件各株式の評価方法につき、参加人が提出するB報告書、抗告人らが提出するC算定書のいずれも、インカム・アプローチに分類されるDCF法を用いているところ、インカム・アプローチは、評価対象会社から期待される利益ないしキャッシュフローに基づいて価値を評価する方法であって、一般的に企業の将来の収益獲得能力や固有の性質を評価結果に反映させる点で優れているといえ、継続企業の株式の評価方法として、原則としてDCF法によるのが相当であると解される。

もっとも、DCF法により株式の評価をするためには、経営者による誠実な事業計画が策定されていることが前提となるが(当審で選任した専門委員Fの意見)、事業計画等の将来情報に対する恣意性の排除は難しいことが多く、客観性が問題となるケースもあると解されるところ、B報告書は、専ら平成23年4月期から平成26年度4月期まで過去4年間の計算書類とAが作成した平成27年4月期の単年度予算とを基礎として評価しており、それ以外に参加人において具体的な事業計画が策定されていたことはうかがわれない。

他方、参加人はゴルフ場の経営等を目的とするところ、一般にゴルフ場経営は成熟した事業で保有不動産が収益の源泉となっていることからネットアセット・アプローチに分類される純資産法による評価に適しているといえ(専門委員の意見)、このことは昭和34年に設立されクラブハウス等を保有する参加人にも当てはまらないものではない。

さらに、マーケット・アプローチに分類される取引事例法は、適切な取引事例があれば一定の客観性を有しているものといえる(専門委員の意見)。

そうすると、本件各株式の評価に当たっては、DCF法による評価を基礎としつつ、純資産法や取引事例法による評価も考慮するのが相当であると解される。」


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