1 「(1) 株式交換完全子会社は,法定の備置期間中,後記アのほかイからエまでの事項等法務省令で定める事項を記載し,又は記録した書面又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない(会社法782条1項,2項,同法施行規則184条。以下,前記書面又は電磁的記録を「備置書面等」という。)。
ア 株式交換契約の内容
イ 交換対価の相当性に関する事項
ウ 交換対価について参考となるべき事項
交換対価の全部又は一部が株式交換完全親会社の株式又は持分である場合,株式交換完全親会社の過去5年間にその末日が到来した各事業年度(最終事業年度等を除く。)に係る貸借対照表の内容等
エ 計算書類等に関する事項
(ア) 株式交換完全親会社に関する事項
最終事業年度に係る計算書類等(最終事業年度がない場合にあっては,株式交換完全親会社の成立の日における貸借対照表)の内容等
(イ) 株式交換完全子会社に関する事項
(2) したがって,被告会社は,遅くとも本件株主総会の日の2週間前の日である平成24年8月17日から本件株式交換が効力を生ずる日である同年10月1日後6箇月を経過する日までの間,本件株式交換契約についての備置書面等をその本店に備え置かなければならなかったことになる。」
2 「・・・上記の事実によれば,平成24年8月17日から同年9月28日頃までの間,被告会社の本店において,本件株式交換契約についての備置書面等が備え置かれていなかったことを推認することができる。」
3 「そうすると、・・・本件株式交換については,備置書面等が備え置かれていなかったことになるが,それは,株主等利害関係人が本件株式交換の公正等を判断することを妨げ,株主の議決権行使等の権利行使に重大な支障を来すものである上,本件においては,被告会社の株主である原告X3に現実の支障が生じているといえるから,本件株式交換の無効原因になるというべきである。」